「にしてもこの縄けっこーキツく縛ってあるよね。縄抜けの術が出来ないくらいギッチギチだよコレ」 「あぁ、それ対忍用」 「対忍用!?…ちょっとアンタ、未来人が何でそんな技知ってんのさ」 「拷問用の縛りも知ってるよ。あー、でも君が知る縛り方と同じなのかは分からないけど」 「へぇー。例えばどんな?」 「んーそうだね。特殊な性癖を持つ相手を痛みつける縛り方かな?アレだよ抵抗すればするほど股間が締め上げら「「女が恐ろしい事を言うんじゃねぇ!!」」 第十一話 「腹が減ったマジで」 「…一つ伺ってもいいかい?」 「何か?」 「僕らの戯言を聞いてくれるのはいいんだけど、何故縄を解いたんだい?しかもまるで僕らは客人の様にもてなしてくれている。…一体どういう風の吹き回しだ?」 「あぁ、そう。君はそんなに縄で縛られた状態で放置されたかったのね?それは気付かなかったよゴメンねー私要領悪くって!」 「ちょ!止めたまえ僕はそんな事微塵も思ってなんかいないから是非とも笑顔で縄張るの止めてくれ!」 「だったらご好意に甘えて紅茶飲んでなさい」 不敵な笑みで「気に入った」と言った女の次の行動は彼等にとって予想外の事をしでかした 佐助から奪ったクナイを慣れた手付きで扱っていたと思いきや、シュンッと一振りした瞬間、キツく縛り上げていた縄が綺麗に切られていた。突然の釈放、突然の行動に驚く彼等を尻目に「着いて来て」と言い、警戒しながらも大人しく後を着けてみれば、不思議な長い椅子(ソファー)がある広くて綺麗な部屋に通された 応接室だと女は言った。戦国でいう客間なのだろう。彼等を案内してソファーに座らせた彼女は一時撤退をした。何も知らない不思議な部屋に終始警戒をし続ける彼等に女は戻って来た 銀のトレーの上に温かい紅茶と香ばしい匂いをさせた美味しそうなお菓子を片手に 「出来たてなの。食べて欲しいな」 先程の鋭い眼と威圧を放っていた姿とは打って変わり、優しい表情を浮かべた女に全員は驚く そんな顔も出来るんだな、と。百合の花を連想する柔らかい雰囲気を醸し出す彼女に数分固まり、数分見惚れた。どうしたの?とコテンと頭を傾げたその可愛らしい姿に全員は(顔を赤らめ)慌てて視線をお菓子に向けた いつも飲んでいる飲み物とは違うソレと、見た事の無いお菓子。これが今の未来のお菓子なんだなとしみじみ思った。だが得体の知れないものには変わりはない。腹が減っているのに 食べたそうにそわそわする数名を除き、一向に食べる気配を見せない彼等に女は小さく息を吐いた。その姿を見て佐助は慌てて口を開いた 「ゴメンねー、見ず知らずの人間に出された物を勝手に食べちゃいけないって言われているから、さ」 「そ、某は食べとうござ「旦那?」う…何でも御座らん」 「…そう。好きにしなさい。私はただ君達に提供しただけ。無理に食べて貰う必要は無い」 「「「「「………」」」」」 「……俺は頂くぜ」 「竜の旦那!?」 「一々警戒すんのも相手に失礼だ。それに此所は未来だ。言ってただろ?平和な世界だって。んな世界に武器必要ねぇなら毒もねぇさ。you see?」 「俺も頂くぜ」 「鬼の旦那!」 「腹ァ減ってんだ。朝から何も口にしてねぇしよ。これが未来食っつーのも興味あるしな」 「僕も頂くよ。せっかく僕らに提供してくれたんだ。有り難く頂戴しないと罰が当たってしまうよ」 「我も頂戴致す。気に食わないが長曽我部と竹中と同意見ぞ」 「竹中の旦那、毛利の旦那まで…」 「佐助…、良いではないか。皆もそう言っている。無理な意地を張って御仁の機嫌を損ねたらどうするのだ!」 「あー!もう分かりましたよ分かりました!でも最初俺様から毒味させてもらうからね!」 「っば!テメェ猿!毒味とか言うんじゃ…!?す、すまねぇな嬢ちゃん」 「いえ、お気に召さずに。彼が本当に忍なら主君を守る為致し方の無い行動、咎めるつもりは毛頭無いさ。忍の性なら尚更」 「!アンタ…」 「どうぞ?気が済むまで毒味をすればいいさ。でも…」 グゥゥゥゥ… ×6 「…彼等のお腹と背中がくっついちゃって倒れてしまわない程度に、迅速でよろしく」 「あ、はは…ありがとう」 初めて食べる未来のお菓子 毒味した結果安全だと分かった彼等 この後争奪戦が起きる程ペロリと堪能したのだった |