婆沙羅 | ナノ




「誰だいきなり扉開けやがった奴は!危ねぇじゃねーか!」

「フォオオオ…!長曽我部殿重いで御座る…!」

「我の上に乗るでない若虎!一刻も早く我の上から早々と立ち去れ!」

「それは、こちらにも、言えた、事、だよ元就、く、ん……ガハッ!」

「Shit!!テメェらグチグチ言わずに退け!下に女がいるんだぞ!?」

「は、破廉恥でござあああっ!」

「だ、旦那らマジで、すぐに、速攻に、退いて、あげて、よ!じゃない、と、この子マジで、押し潰されて死んじゃうってちょっとぉぉぉぉ…!!魂出ちゃってるからぁぁぁぁ…!グハァッ!」







第八話
 「破廉恥格好上等」







突然扉が開かれて、詰め詰め状態だった彼等の身体は家の主を巻き込んでなだれ込んでしまった

インターホンと名を呼ばす四角い黒いモノのボタンを押したいが為に我先にと攻め立てて起きた惨事。いきなり現れた家の主の登場に驚いて足場を崩した元親を始め、ドミノ倒しで崩れてしまった

元親、幸村、元就、半兵衛、政宗、佐助、そしてこの家の主

倒れた際、下敷きにされた家の主の頭からゴンッ!と嫌な音が聞こえたのは、佐助の気のせいなんかじゃない。なんとか傷つけず且つ押し潰されない様、政宗と佐助は腕の力と背筋を使って持ち堪えさせようとしたが、上が下の存在を知らずに暴れ始めた為、プチッと家の主を潰してしまう大惨事になってしまう






「お、おい…その女、大丈夫か…!?」

「旦那らのせいだからね!?この子絶対頭打ったから!」

「テメェらが騒ぎやがるから支えんのも支え切れなかったたじゃねーか!」

「いや、元はと言えば元親君が足場を崩してしまったのが原因さ。つまり巻き込まれた僕らは被害者だ。怒るなら加害者の元親君に言ってくれたまえ」

「散れ西海の鬼」

「Σテメェ竹中!責任転換すんじゃねーよ!?」





なんとか起き上がったものの、硬い床(玄関の大理石)の上に倒れた女に回りの者はアワアワと慌て始める

女はピクリとも動かない。頭を打ってしまったのは先程の音でも今見た状況でも安易に想像出来た。脈を計ってみると正常に動いている事だから生きている事は確かだ

大の大人の体重が六人分、しかも戦国武将あるまじき格好をしていても武具を着込んでいる事には変わりはない。女であれこんな数ある重さにプチッとやられてしまったのだ。この者が紫蝶美莉であるかないかはともかく、やっと見つけた未来人(現代の人)を死なせてしまったら大問題だ









「は、ははは、はれ、ん、ち、で、御座る…!」







幸村が顔をみるみる赤く染め、そして歯がかみかみになるのは訳があった

女の着ている服の露出度が高かったからだ。白いキャミソールの上に淡いピンクの半袖のカーディガン、下はデニムのミニスカートにモコモコしたスリッパを履いている。女が今着ている服はこの現代では当たり前に着られている服だ。だが、それは現代であって戦国時代では訳が違う。足や腕が見えただけで色々と煩いのだ

幸村は女の耐性がないのは周知の事実。色沙汰にも恋沙汰にも破廉恥!と騒ぎ立てるし女と対面してもまともに会話なんて出来ない、純粋青年。倒れた女の姿を見て鼻血を出して倒れなかっただけまだ救いだった


しかし真っ赤に赤面するのは幸村だけじゃなかった


流石に足やら腕やらこんなに見せられて、尚且体型が分かる服装を着られてしまえば他の者達も顔を赤くしたり視線を逸らしてしまう。詳しく言えば元親と半兵衛と佐助は顔を赤らめ、元就と政宗は視線を逸らした。意外過ぎる。微妙な空気が流れてしまったのはしょうがない事だと解釈をつけよう

しかし反応が意外過ぎる







「…未来のWomanはこんな服着てんのかよ…!常識疑うぜ…!」

「と、とにかくこやつに何か羽織らせねばならぬな。…未来とやら一体どんな服を着て生活しているのか想像つかんわ」

「…目に保養、だけど逆を言えば目に毒…」

「(白い肌してんのな…綺麗な肌だな)」

「破廉恥でござあああ!!」

「かすがも良い足してるけどこの子も引けを取らない美脚……じゃなくてそれよりもこの子なんとかしないと!」






デニムのミニスカートから伸びる白い肢体になるべく視線を向けない様に佐助は女の身体を抱き上げようと横に回り、彼女の首の下に腕を通してゆっくりと起き上がらせた

倒れた事で漆黒の髪が女の顔全体にかかり、顔が横に向いていた事で顔を識別する事は叶わなかった。が、佐助が上半身を起き上がらせた事で長い髪がサラリと落ち、女の表情を見る事が叶った―――のも束の間に、ピシッと、また空気が固まった


















初めて見た女は

天女とでも言える程、綺麗で美しい表情で眠っていたのだから






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