別にしくじった訳でもなく、

自分の力を過信していた訳でもない






「…どうやら、誤って違う世界に飛んじゃったみたいだね」






目の前に在るのは、壮大な山

その山は並大抵の人が足を踏み入れられない、凶暴で強いポケモンが住み着いている、あの有名なシロガネ山

そのシロガネ山の入り口で、オレンジが印象をつくコートを纏った少女が自嘲的な笑みを零しながら心夢眼から見える世界――――壮大で且つ偉大な山を前に呟く



少女の名前はミリ

百人いる中歩けば百人振り向くくらいの美貌を持つ美しさと賓は勿論、彼女はホウエン地方の元チャンピオンであり、トップコーディネーターであり――――ポケモンマスターである

ミリの後ろに従わすのは彼女と共に歩み、彼女と共に時と空間を渡ってきたポケモン達。シンオウ、ホウエンと活躍した総勢11匹のポケモン達は主の言葉に首を傾げる。それもそうだろう。彼らポケモン達には世界の違いなど区別がつかない。つくとすればやはり自分達の世界で、過去と現実の差でしか分からないのだから






《これからどうしますか?》






ミリの手持ちにして【三強】と呼ばれる、赤いセレビィが心配そうにテレパシーでミリに話し掛ける

ミリは小さく溜め息つきながら、後ろにいるポケモン達に振り返る






「私もそう何度も力を使うわけにはいかないからね…暫くこの世界に滞在することになるかな。アスラン達急に居なくなったら驚くかなぁ…まあでも時間を調整すればなんとかなると信じよう」

《主がそう言うのなら大丈夫だろう》

《あの子を置いてきてしまったのが心残りだが…》

《マスターがそう仰るなら》






返事を返したのは紅色のセレビィと同じテレパシーを使える緑色のミュウツーと黒銀色のダークライに、波動を使える朱色のルカリオ。他のポケモン達はセレビィによって返事が返される。返事は勿論「イエス」だ

彼らは皆、色違いだ

ミリは安堵の息を吐いた






「なら状況確認だね。ここはきっと…いや絶対シロガネ山だという事は分かっているから…」

《油断は禁物、という事か》

「そういう事。それじゃ役割分担ね。蒼空、愛来、上空をお願い。人通り分かったらまた此所へ」

《分かりました!》
《了解した》






蒼空は空色のラティオス、愛来は桃色のラティアス






「蒼華と時杜と刹那は私の眼になってね。闇夜と水姫と轟輝は私と一緒に洞窟に。轟輝はちょっとサイズ小さくしましょうか〜。野生のポケモン達が飛び出して来るかもしれないけど、みねうち程度でよろしく」

「…(コクリ」
《はい!》
《分かった》
《あぁ》
「ミロー」
「ガルル」






蒼華は水色のスイクン、時杜は紅色のセレビィ、刹那は緑色のミュウツー、闇夜は黒銀色のダークライ、水姫は金色のミロカロス、轟輝は褐色のバンギラス






「風彩と炎妃はこの辺りを捜索。ポケモンセンター見つけてくれたら嬉しいね。朱翔は波動で人々の動きを観察して。それから蒼空と愛来と合流してテレポートまでこっちに来てね」

「ふりり〜」
「キューン…」
《承知しました。全てはマスターの為に》






風彩は橙色のアゲハント、炎妃は銀色のキュウコン、朱翔は朱色のルカリオ



このポケモン達こそ、シンオウ地方とホウエン地方を制覇していった最強無敵なミリの自慢のポケモン達である

ポケモンの世界には手持ちは六匹までというルールがあるらしいが、ミリにとってそんなことは関係ない






「シロガネ山か…」






ミリは再度、心夢眼から視える眼前の山を見上げる






「…この世界は、私を楽しませてくれるかな…?」






ミリはニヤリと笑った









巻き起これ旋風よ






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