「おねえさまのバカ!ずっといっしょに遊んでよ!どうしてそんなことをいうの…?」

「…ごめんね、私は帰らないと」

「かえるお家ならあるじゃないの!それにわたしのお家もあるのに…!やだやだおねえさま行かないで!」

「こら、この子ったら…」

「駄目だぞ、お姉ちゃんに迷惑かけちゃ」

「………おねえさまなんて…だいっきらい!もうかおも見たくないわ!あっちいっちゃえ!きらいきらい!だいっきらい!」

「ブルー!!」

「うわーん!」







それは長い夢の旅



―――――――――
―――――――
―――――
―――









重い

体が重い



まるで金縛りにあっている気分だ

ズッシリと、重い


重くてちょっと苦しい

胸辺りが苦しい

食べた物がリバースしそうだ



手は…動くぞ

足も…動く


…え、これ金縛り?






「…………金縛りじゃなくて、なんだ私の上に乗っていたんだね。あー、びっくり」

「「ブイ」」
「…」
《おはようございます》

「おはよう皆」





目をゆっくり開ければ、視界いっぱいに白と黒のもふもふにクルクルした白亜と黒恋の瞳、ちょっと後ろにいるのは時杜に、横に顔を覗かす蒼華。うん、正直かなりびっくり

私は胸の上でこっちをみる二匹を抱き締めて上半身を起こす。ケラケラ笑う二匹を撫でた後、横にいる蒼華を撫でて最後に時杜を撫でる。なんか習慣になりそうだ





「にしても皆早いね〜」

「…」
《主君が遅い》

「え、そう?…あ、本当だ。予定より三十分遅い」

「ブイ?」
《ねぼう?》

「みたいだね。あちゃー」





時杜の通訳を聞きながら(違和感だ)(慣れよう)(外国人に通訳された気分で)、私はベットから降りる。私の腕から抜け出した黒恋は既にお腹が減ったのかすぐに台所へトトトッと走り白亜が慌てて追いかける

フィーっと時杜が宙を泳いで私に質問を投げ掛ける





《いつもは早いんですか?》

「うん…」

「…」
《何かあったのか》

「あー、まぁ…ありあり。やっぱり冗談でも口に出さない方がいいかも。…行ってきたんだ、過去に。軽く十年位前のマサラタウンに」

《「!」》





驚いた表情でこちらを見る時杜と蒼華(あまり表情分からないが)。その二匹に私は苦笑を漏らす

そう、確かに私は過去にいた

あの時のレッドと同じ、夢の旅へ。今回は旅の途中で眠くなる事はなく、自分普通に寝ていたから逆にこっちがびっくり

…にしても、長かったなぁ

そして目覚めが悪い





「十年位前のマサラタウン、滞在期間は約一ヵ月…」

《そんなに居たんですか!?》

「…!」

「帰るの大変だったよ…ははっ。大丈夫、体にはなんの支障もないから安心して。大体こんな調子で過去に行っちゃうから」






しかし、びっくりだ


前回はレッドだったけど、次の子はまさかあの子だったとは…






「………おねえさまなんて…だいっきらい!もうかおも見たくないわ!あっちいっちゃえ!きらいきらい!だいっきらい!」






「目覚めが悪過ぎてヘコむ夢だったよ…。さて、ご飯の支度でもしますか」











腹が減って倒れていた黒恋がいた







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