朝ご飯も無事に済ませた私達は一旦解散をして部屋に戻った。この後、集合したらそれぞれの道に向かうため解散だ。部屋に戻れば、ご飯を食べ終えた白亜と黒恋が満足した顔で蒼華と一緒に日向ぼっこをしていた。なんてのほほんとしているんだ

蒼華が気付き、顔を上げる。私は彼らに歩み寄ってそれぞれの頭を撫でる。ポカポカ陽気に照らされたのか、ふんわりと温かかった


…癒される´`





「この後時間が経ったらマサラに戻るよ」

「…」

「それに…あの子の話が本当なら、探して再会したいしね」






"近々現れるかもしれない"



マツバさんはそう言った

彼の事だ、推測で言っていると思うけど絶対に視えていたのかもしれない

逢えるなら、逢いたい

無理矢理にでも、再会したい







「…私も少しの間日向ぼっこに加わろっかな。さてさて、蒼華さんのお腹失礼するよ〜」

「…」






あー、本当寝れるねこれ







「……」






蒼華が何処か遠くに"何かの存在"に気付いていた事に、私はまだ気付かない






* * * * * *









「ラジオ塔も見学した事だし、そろそろ俺達は解散するか」

「そうだね」





あれから約数時間が経ち、今私達はあの見晴らしの良い場所にいた。前と比べて此所から見える景色は清々しくて綺麗だ。気分は良いし、やっぱどこの町もこうでないと、としみじみ感じる

私の隣りにはレンとスイクン

風によって銀髪の髪と紫のたてがみが靡く姿が異様に美しく感じるのは、やっぱりイケメンと麗しいの組み合わせのせいなのだろうか(ちくしょう格好いいったらありゃしない)。ちなみにこっちには蒼華がボールから出ていて、蒼華もスイクンに劣らない程美しく感じる。…あ、それは当たり前か←

周りのトレーナーが私達を見たら、絶対にびっくりするに違いない。何せ伝説のポケモンを二体従えているなんて(その従えているトレーナー自身にもびっくり)





「にしても流石はレンだよね。まさかあそこで黄色い声が出てくるなんて。うんうん、レンはイケメンで格好いいからね」

「人の事言えないだろ。お前の方こそ黄色い声が出てきただろーが。流石は聖燐の舞姫、実力もあれば容姿も美しいときた」

「…」

「…」

「…俺は鼻が高いぜ、その噂の奴とこうしていられるなんてな」(顎に手を添えて上を向かせる←

「…フフッ、私だって貴方とこうしていられるなんてすっごく幸せよ?」(頬に手を添える

「…」

「…」



「…蒼華、スイクン。出来ればツッコミを入れて欲しかったな…」





大体いつも人がいてこんなことやるとツッコミがくる筈だったのに、そうだそうだ今回はツッコミが不在だったのを忘れていた(完璧傍観している蒼華とスイクン)(恥かしいから止めて欲しかった)←かなり絵になっていた一場面

レンはいつもの調子で笑い、顎から手を離す。私も頬から手を離して笑う。この人本当突破過ぎるから本当心臓が悪過ぎるから本当困る(だったら付き合うな)

ま、いつものレンに戻ってくれたならそれだけでいいや






「よし、俺達は行くぜ」

「うん」





レンはスイクンの背に跨がって、こっちを見る(うん、やっぱり君達格好良過ぎだよ眩し過ぎるぜ←)背に乗った事でレンとの身長差ができ、私はレンを見上げた

私を見下ろすレンはいつもの優しい微笑をしていた





「…昨日は、サンキューな」

「…礼を言われる程私は何もしてないよ。…それにお互い様だよ、いつもレンには色々お世話になっているし」

「ははっ、そうか。…ミリ」

「何?」

「前にも言ったが、白亜と黒恋が狙われているのと同時にお前も狙われる可能性がある。蒼華も伝説で、しかも色違だ。…この先何があるか、分からないぞ」






レンは良い人だ

別れ際まで心配してくれる






「レンこそ、私が前に言った事覚えているよね?」

「…『深く知れば身を滅ぼす』」

「現状はレンだって同じだよ。レンには伝説のスイクンがいて、今私達が調べているナズナから有力な得たとしたら、それを狙う奴等が現れる。…あのロケット団で活躍していた人がいきなり逃げ出すなんて、何か理由があるかもしれない。その理由をもし知ったとしても…レン、絶対に深追いしない方がいい。レンの目的もあるかもしれない。けど…」

「分かってる。…無茶はしない」

「……なら」





パチン、と私は指を鳴らす

手の平に小さな光が淡く輝きだし、それが二つに分散した。淡い光が徐々に収まっていくと…そこには白銀とオレンジの二つの腕輪が現れていた。レンとスイクンは目を開いてそれをガン見する中、私はそれらをレンに差し出した





「白銀とオレンジ、好きな色を選んでそれを好きな方にハメて頂戴」

「…それが、マツバが言っていた膨大な力の一部か?」

「ノーコメント、ってね」

「…なら俺はこっちの色を貰うぜ」





レンが選んだのはオレンジの腕輪(あ、白銀じゃないんだ)(せっかく白銀出したのに←)

腕輪を受け取ったレンは左手首にカチッと嵌め込む。私も続いて残った白銀の腕輪を左手首にカチッと嵌め込めば、二つの腕輪は同時に淡い光を放ち始める





「これは…」

「守りの保護。腕輪を付けていればそれがレン達を守ってくれる。外す事は可能だけど、あまり外さないで欲しい。何があるか分からないから」

「あぁ、分かった。…いいのか?こんな凄いの貰っても」

「構わないよ。それにそれは探知機みたいな役目もあるの。私達がどんなに遠くにいても、その腕輪があれば無事なのかが分かるし…生死の危険に遭ったりした時、その腕輪は壊れる仕組みになっている」

「…なるほどな」





レンは左手首にあるオレンジの腕輪に触れる。腕輪は淡い光を保ちながらレンの腕に馴染んでいた。太陽の光に反射されてキラッと光る





「淡い光があるのは二つの腕輪がこうして近くにあるからこうして光っているけど、離れると普通の腕輪になるから安心してね」

「なら、逆にお互いが近付くにつれて光は増すのか?」

「そうだね」





私が元気で有る限りはね





「良い物を貰った。ありがとな」

「どう致しまして」





カツン――、とお互いの腕輪を鳴らし、私達は微笑む

次再会した時まで、互いが無事である様に。その腕輪は最後までレンを守ってくれるだろう





「またな、ミリ」

「また会いましょう、レン」









風が吹いて、そして消えた






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