ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ…

ニコニコニコニコニコニコ…






「何だよお前らそんな顔しやがって。照れるじゃねーか」

「いやいやいや」





お互い堪能しあった後、姿を消したポケモン達に集合をかけるとすぐに集まってくれた。しかし、レンの手持ちのポケモン大半がニヤニヤ(トゲキッスやアブソル)、ニコニコ(ハピナスやミルタンク)とこっちを見ていた(エルレイドとスイクンは普通だった

こっちのポケモンは、白亜と黒恋は遊んだのが満足しているのかお互いニコニコしていて、蒼華はただ静かに皆を見ている

見てて飽きない光景だ





「白亜、黒恋。楽しかった?」

「「ブイ!」」

「蒼華もゆっくり出来た?」

「…」

「そっか、良かった」





一匹ずつ頭を撫でてあげると皆嬉しそうに目を細める

撫でて貰いたいのかレンのアブソルが近付いて来たので撫でてあげればこっちも嬉しそうに目を細める。なんだコイツ可愛過ぎるぞ←





「さて、とりあえずセンターにでも行くとするか。どうせミナキが首長くして待っているに違いねーしな」

「あ、そうだ。レン、行くなら先行ってていいよ。ちょっとやることがあるから」

「何かやるのか?」

「気にしな〜い」





木陰に置いておいたバックの中をガサゴソあさりながら私はニヤニヤと笑う。私の言葉を聞いて何するか分かった蒼華は、紐を動かして白亜と黒恋を持ち上げて背に乗せる

簡単な事、私はここで先程ドームでやった"浄化"を此所でするつもりだ。此所は良い場所だ、きっとシオンタウン全域に浄化が出来るだろう

バックをあさるのは手からアレを出すのを隠す為のカモフラージュ。……よし、出せたぞ。組み立てる振りをして…完成!


私はそれを出さずにレンを向く

レンはセンターに向かう所か、手持ち達と一緒に興味津々と言う様にこっちを見ていた


…ってちょっと待った






「…何してんの?」

「お前が何するか見る為に待ってる」

「え、見なくていいよ」

「照れるなよ、俺達は邪魔にならないように見ているからさ」

「ミナキさんが待ってるよ」

「何であの野郎と好き好んで会わなくちゃ行けねーんだ。あんな奴、星に帰ればいいんだ」

「酷っ!」






…あんま見せ物じゃないんだよなぁ…

いや、だってね。恥かしいんだよね、うん。観客が意味を知ってそれを聞く分には構わないけど、レンは知らないし、やっぱ恥かしいし←

蒼華に視線を向ければ「腹を括れ」なんて言ってるし。おいおい勘弁してくれよ






「あー、ならレン。手持ち達ボールに戻すかねむけざましやきのみを常備した方がいいかもよ」

「一体何するんだ?」

「こーいう事」




私はバックから、先程のアレを取り出した

銀に近い、けどより透明で淡い光を放つ不思議なフルート

私の力で造り上げた、力を旋律に変えハーモニーとしてより広く浄化出来る様になったものだ。万人によっては、様々な造りになっているみたいだけど、私の場合はフルートだ

レンは興味深そうにフルートに目がいく。もちろんポケモン達も同じだ





「見た事がないフルートだな、初めて見る。さぞ綺麗な音色が出ると思うぜ。それを吹くのか?」

「そうそう」

「何の為に?」

「…知らなくていいよ。いや、知らない方がいい」

「……」

「なーんてね」






そう、知らなくていいんだ


こんな、負のオーラの存在なんて







私はシオンタウン全域が見渡せる場所に立つと、フルートを構える

淡い光を放つフルートは段々と光が強くなっていく。それは私の力と反応している証拠で、私はフルートを吹き始めた











何の唄かは分からない

昔から伝えられた、鎮魂歌

唄は遥か先にまで響き渡った


優しい様で切なくて

それでいて何処か懐かしいメロディー











「…!ポケモン達が、眠っていく…」




レンは気付く

いつの間にか手持ち達のポケモンが、気持ち良さそうに眠っていたからだ。そこで気付く、ミリの言っていた意味を。どうしてねむけざましが必要になるのか――なるほど、こーゆう事だったのか




そしてまたレンは気付いた

――自分の周りや、シオンタウン全体の空気が、澄んでいく事に






「…」






…初めて聞く音色

そう、初めて聞く音色だったのに、どうして、どうして胸が切なくなって、でも懐かしいと感じてしまうのか

聞いた事はないはずなのに、心の何処かでは、この音色を聞いて懐かしがり、嬉しくなっている自分がいた







「(俺は、一体…)」









唄が止まった


視界の先には構えていたフルートを降ろし、一息吐くミリの姿。そして、さっきより確実に空気が澄んだシオンタウン

くるんと振り返ったミリの姿が、一瞬誰かと被って見えた













「あーあ、やっぱり皆眠っちゃってるね」



「あらら、やはり皆さん眠ってしまいましたか」















「っ…」

「…さて、レンさん。どうでしたか?私のソロは。良ければ感想を頂きたいのですが」

「…あぁ、―――綺麗だった」










照れながらも、満足に笑うミリの姿が、どうしてこんなにも愛しく感じてしまうのか


レンには分からなかった










(突然やってきた不可解な出来事)(だからこそ、レンは)(知らない振りを、決め込んだ)



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