「…元々ポケモンタワーなだけあってデカいなぁー、ラジオ塔。やっぱ早く来たからまだやってないか。そりゃそうだよね、時間はまだ八時なんだし」

「…」





エリカの家を出発したのは七時、蒼華の足で約一時間(ゆっくりと走った貰った)だと、そりゃ早いよやってる訳ないよねあはは←

今私達がいるのは町の入り口付近。此所から見えるのはそびえ立つラジオ塔にちらほら見える人の家。町はまだ八時だからか、それともこの町の特色かよく分からないけど、あまり人を見掛けない

まぁ、簡単に言えば

私達が早過ぎただけのこと






「紫色をした、尊さが滲み出る小さな町シオンタウン…まぁ、そんな感じがするね。静かな町だ、そして同時に悲しみのオーラが見え隠れしている」

「ブィ?」

「悲しみのオーラ、意味はそのまま。シオンタウンはポケモンのお墓がある。ポケモンを大切にしていたトレーナーが、自分の愛するポケモンの死を痛み、悲しみに暮れる。他にも死を認めているけど、認めたくない否定の気持ちも悲しみのオーラに含まれている」

「…ブィ…」





私の説明でシュンと白亜の耳が垂れ下がる

私は白亜の頭を撫で腕に抱き上げながら、一番強いオーラの先に視線を反らす





「やっぱり一番そのオーラが強いのは…ラジオ塔から少し離れた、あの大きなホームかな。花が咲いている所を見ると、あっちで間違いないみたい。ポケモンタワーからラジオ塔に変わった時、全ての墓を移動させた場所…」





普通はこの距離からは見えない場所も、私には見える。どうやらあそこは早朝から開放しているみたいだ





「悲しみを募らせるとそれはいずれ負のオーラになり、人に災いを脅かせる原因にもなる。早朝だから少なく感じるけど、手を打った方がいいねアレは…。それに知らないポケモンなんて、そんなの関係ない。死は誰だって訪れる。…とゆー事で今から墓参りにでも行きますか皆さん」

「「ブィ!」」

「…」







まだアレが憎しみや憎悪とか、また違った負のオーラじゃなくて良かったと思う

負のオーラは厄介だ。それは何処の世界にいても変わらない。負のオーラを背負ったり、放出している人に、明るい未来はやってこない。それがその人の運命に組み込まれていたとしても、負のオーラは伝染する。負の連鎖を途切れさせなければ、止まってくれない。だから一番厄介なんだ、こーゆうのは


見えて得するものもある

…が、その逆も然り







「ああいうのを見える人はいないからね、特別な力を持つ者達を除いて。その特別な力にも限度がある…この世界では、多分【異界の万人】である私だけだろうね…」





そう、私だけ


【私達】だけ




アレを無くすのは私の役目

世界を、人を不幸にするモノを取り除くのは、私達【異界の万人】の使命でもある

力を使い、自分の身体が崩れ様が関係ない。私達は世界を守らなくちゃいけない。これは、世界を守るほんの一部でしかない






本当に世界を救う時が来た時、私は自分自身の心を押し殺さなくちゃいけないのだから










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