研究は順調だっただろう

それなのにどうしていきなり研究を放棄する様な真似を、彼はしてしまったのか。ロケット団が嫌でボイコットする、そんな理由はまずないだろうし

私には分からなかった





「ナズナが逃走したのはシルフカンパニー事件からちょうど一年前…三幹部の内二人に会ったミリ様なら、聞いているかと思われます」

「はい。本人達もナズナが逃走した理由は分からないそうです」




あの時感じた寂しそうな顔

殺伐としたロケット団でも、絆はあっただろう。マチスもナツメも、少なからずお互いを信頼しあっていたんだろう。もちろんそこにはキョウがいて(じゃなきゃ三幹部なんて名乗らないって)(スオウ島事件とか)、ナズナがいた。理由が一番に知りたいのは、私よりも彼等の方だろう

しかし、私の質問にシオリさんは頭を振った





「申し訳ありません…。どうやら優秀な仲間も、ナズナの逃走の理由は把握できていないそうです」

「そう、ですか」





申し訳なさそうに頭を下げるシオリさんに慌てて頭を上げる様に言う

やっぱりシオリさんの優秀な部下でも、流石にナズナの行動には予想外だったに違いない





「『いつもの様に出勤したら研究所が抜け殻になっていた』と報告を受けました。同時に研究材料として扱われたイーブイ達も、持ち出された様です」

「…!それは聞いてない」

「マチス、キョウ、ナツメの三幹部はすぐに捜索に乗り出した様で研究所に足を踏み入れたとしても、イーブイ達には目をくれなかったそうです」





…でしょうね

ナズナは大切な仲間。その気持ちは大きくマチス辺りが先陣きっていただろう。ナズナはマチスの補佐…仲間を見つけたいと思うのは、人として当たり前の行動だ





「すみません、一番に知りたい情報を提供できずに…」

「いえ、充分な情報です。シオリさん、コピーでもいいんです。ナズナの情報が書かれた調査書を私に下さい」

「構いません。どうぞ受け取って下さい。写真も同封しておきます」

「ありがとうございます。エリカ、貴女の仲間は優秀な方が多いのね」

「勿体ないお言葉ですわ」






エリカがフフッと笑う隣りで、シオリさんは調査書サイズの茶封筒を取り出して、必要な分だけを中に入れていく。ついでに私が受け取った調査表も入れて貰い、封を閉める。そしてそれが私の手に渡った

そしてシオリさんは「では、これからまた調査に入りますので失礼します」と言って、頭を下げて部屋から出て行った(プロだプロ







「大事な情報、本当にありがとう。これは有効に活用するよ」

「えぇ、それでお姉様の役に立つならいくらでも。もし、何かまた欲しい情報がありましたら私に連絡下さればシオリに繋げますわ。どうぞ、私の連絡先です」

「ありがとう。なら、これ私のポケギアの番号。何かあったら連絡頂戴」

「えぇ、新しい服を作ったり買ったりした時真っ先に連絡させていただきますわ」

「Σえ」







外で遊んでいた四匹はいつの間にか昼寝をしていた






×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -