ハローハロー

お久し振り


私達は、元気です












Jewel.42













ホウエン地方―――…特に日本で一番最南端にある地方。シンオウと違い気温も生息するポケモンも何もかも違う、次に歩を進める私達の新しい旅先として選ばれた土地

シンオウとは違い、やはりまず最初に言えるのは気温について。特に極寒の時期にいた私達を待っていた此処の気温はまさに天国とも言ってもいい居心地の良さ(誰が一番喜んだかと言われたら言わずと知れた妖精二匹)。今はまだ最高に気持ちが良い気温だけど、これが夏の猛暑になったらどうなるのか。今度は暑さで根を上げないか心配だ(まあ私は温度調整出来るから大丈夫だけど)。いやぁやっぱり軽い服装で動けるっていいよねーワンピース万歳(←)後は地元にしか食べられない食材だとか、ホウエンにしかない観光とか、ホウエンで出会えるポケモン達だとか、海水浴が出来るとか(シンオウの海でそんな事したら特に冬は自殺行為)、もう既にホウエンを満喫していたりする私達

さてさて、そんな近況報告?というか前置きはここまでにして(なんかこういう説明の仕方が多いなぁ







《やはりチャンピオンという響きは素晴らしいモノだな。特にマスターがチャンピオンになられたという事実を踏まえるとむしろ神々しく思える》

《まだ言うか朱翔よ。これで何度目の台詞だ》

《まあまあ闇夜。僕もそうだけどミリ様が無事にチャンピオンになれた事が今でも嬉しいんだよ》

「ミロー!ロー!」
《そうです!私達、すっごく頑張りましたから!》

「…」
《二週間という短い期間にも関わらずで滑り込みで挑戦した我等の行動は評価すべきところだな》

《ご飯うまい(もぐもぐ》
「ふりぃ(もぐもぐ」






そうなんです

皆の会話から分かる通り、


ホウエンに来て早二週間。無事にチャンピオンになっちゃいました





マジマジ、マジっす

本気と書いてマジと読むくらいマジです←

皆に見送られながら出発した船出。約一週間も掛けてぶらりぶらりとのんびり船の満喫をしながら訪れたホウエン地方。まず最初に足を踏み入れて感激したのはやっぱり気温の差かな。船のアナウンスで現在の温度とか聞いていたから、改めて足を踏入れたものなら居心地のよい快適な気温にどれだけ心が踊ったか(特に妖精コンビがね!)。それから今までのお仕事で疲れた心と身体とストレスを癒すべく、有名なホウエンの様々な観光に徹底したり色んなトレーナーとバトルしたり――――…

――――ここまではまだいいんだよここまでは。まだこの時は私達は幸せだったんだよ。いや本当に




リーグ大会が二週間後に控えていると知る前までは




いや、本当にびっくりした

呑気にパフェ食べてるどころじゃなかった←

まだホウエンに来たばかりだったから良かったかもしれない。ミナモシティで船から降りて、街の観光をそこそこにセンターで宿泊施設の手配をしていた最中、「なんかトレーナーさんの熱気が凄いなぁ」とぼんやりと彼等の感情を感じつつ、相も変わらず同じ顔をした素敵スマイル素敵オーラを振り撒くジョーイさんに何事かと聞いてみれば―――爽やか過ぎる笑顔から出た言葉は私に痛烈な衝撃を与えられまして

今の時期こそ、リーグ大会真っ盛りでシンオウに限らず他の地方でもリーグ大会で盛り上がりを見せている。勿論、ホウエンも今まさにこの時期だ。ただ、シンオウは他の地方よりも早い時期で開催されたらしく(と後になって聞いた)(特にニュースや報道は地方中心だから他地方の情報が少ない)、知らずとしてやってきた私達にまたリーグ大会があるのだという時差惚けが生じてしまったのは言うまでもない

けれど、私達にとってこの事実は一石二鳥と言ってもいい。リーグ大会が終わって、またリーグ大会が目前にあるだなんて―――…これ程の機会を逃す手はない。本来だったら一年後に開かれるリーグ大会に備えるべきだと思うけど、皆と交わした約束の手前、一年間なんてとっても長い(私達にとって短い期間なんだけどね)

なので私達は強行突破と言う名のチートを選択し、執行した(!?)

二週間という短い時間制限。二週間だけではこんな広過ぎるホウエン地方を攻略するのは至難の技、普通の人間は元より普通のポケモンを持つトレーナーは不可能だ。そう、不可能。けれど私には不可能を可能にしてくれる頼もしい存在がいる(まあ私の力でも出来るけどry)―――…そう、時杜の力だ。時杜は特別で、とても便利な能力を授かっている。この力を使わずとして、いつ使おうか。空間移動、そして時空間をも移動出来るその力…――――私が閃いた応用チート作戦を交えつつ、こうして無事に二週間でジム戦を攻略出来たというわけなのだッ!!!!(デデーン!)あ、どうやって攻略したかはまた後日説明するね←

私の願いを受け入れてくれた皆は、やる気満々むしろ殺る気満々(特に朱翔の輝きっぷりは凄かった)。お仕事の都合でシンオウで蓄積された我慢と鬱憤を晴らすべく!、と言った様に清々しいまでの働きっぷりにおねーさんもうびっくりよー(かくいう私も久し振りのバトルに心踊らせたのは言うまでもないけど




――――…旅先で出会った、新たな仲間達を迎えつつも、無事にリーグ大会に出場し、優勝した




私達は数多い勇猛なトレーナー達を退け、前チャンピオンをも打ち負かし―――晴れてチャンピオンになれた

ホウエンリーグチャンピオンとして、私は前チャンピオンからチャンピオンマントを授かった。触り心地の良い、立派な素材で作られたマントは歴代のチャンピオンが受け継がれる由々しき代物。それを私が、今度は私がチャンピオンの重みを背負って頂点に立つ

一つ約束を、無事に果たす事が出来た。しかし、これで終わりなんかじゃない。チャンピオンになったからには、全力で取り込んでやる気でいる。それはこっちに来る前に、あの子と約束を交わした時から決心していたのだから





「平和だなぁ」






そんな事を改めて回想に入りつつも、私は自分で作った朝食にありつける(朝食中でした

うーん、今日も今日とてダシ巻き卵が美味い。盲目も慣れれば料理も朝飯前よもぐもぐ←






「―――――…ハハッ、そうだね。平和も然り、今日も朝から君のポケモン達は元気だね。やはりポケモン達は元気で仲睦まじい姿が一番だ」

「フフッ、そうですね」

「そんな楽しい姿を見つつも美味しい朝食にありつける。何度も言うかもしれないけど、こんな幸せは久しく無かった。君達が来てくれて、私は本当に嬉しいと思うよ」

「何をおっしゃいますか。とても、勿体ないお言葉です。…身寄りが無かった私達を受け入れて、しかもこんなに良くして下さっている。私には、とても十分なくらいに。本当に、感謝の言葉が尽きません





――――…アスランさん」







私と対面する席で、先程から一緒に朝食を取っていたこの男性こそ――――この家の家主でもあり、リーグ協会ホウエン支部の幹部長のアスランさん

彼と出会ったのは、リーグ大会優勝した次の日。正式にチャンピオンからマントを授かる時に彼はその場に同席していた。心夢眼から見た印象は、とても優しく穏やかな印象を受け、彼から発するオーラからも彼が優しい人柄だとは伺えた。そしてその反面から伺えたのは、秘めたる強者のオーラ。やはり幹部長なだけに、彼なりの人生を歩んできたんだろう。彼の持つポケモンもよく鍛えられているし、かなりの実力者だったのが分かる

私達がこの家に住居を構え、日々安らかに暮らせるのはまさにアスランさんのお陰だ

シンオウからやってきたばかりで、帰る場所も家も無く、身寄りの無い私達の毎日は殆どセンター暮らしだったと言ってもいい(後は野宿だったりね)。チャンピオンになる事は、勿論ホウエンに住居を余儀無くされる(まあ別に今更嫌だとは言えないし)。旅人だった事もあり、リーグが運営する従業員用に使われる社宅に部屋を借りて住めばいいという話になっていった所で、彼は言ってくれた。「君が良ければ私の家に住めばいい」って

幹部長からの責務と責任、私自身が盲目の事もあるからそう言って下さったのだろう。けれどその裏には他意も無い、まっすぐで純粋な好意からだったのを、私は気付いた。本来だったら、上司とはいえ初対面な相手の突発的な申し出をお断りしていたけど―――彼のご好意に、遠慮無く甘えさせてもらう事にした。彼の、もう一つ感じた別の感情に気付き、その眼差しから感じた優しい光を見てしまったら、尚更

アスランさんが住居を構えるのは、リーグ協会が聳え立つサイユウシティに程近い小さな離島。立派な豪邸と(若い頃トレーナー業で稼ぎまくったと彼は笑う)可憐な色とりどりな花や緑が来客を迎え、広々とした庭には様々な野生のポケモン達が仲良く暮らしている(この島全てがアスランさんのモノらしい)。片や一面見事な海原、片やリーグを構える見事な滝が見えたりと、手持ちの皆にとっても生活環境はすこぶる宜しく、そんな素敵な場所に私達は暮らしている


今となればこの生活に慣れ親しみ、十分満喫させてもらっている。勿論、それこそ就任したチャンピオンとしての業務も慣れ、生活も安定している(我ながら適応能力健全万歳)。皆の具合も全然良好、むしろ元気過ぎるくらい

どれもこれも全て目の前にいるアスランさんのお陰。日常でもお仕事でもお世話になっているアスランさんには、日々感謝の思いでいっぱいだ(そしてお腹もいっぱいだゲフゥ←





「キューン」
「…」
《今日の食事も悪くはなかった》
「ミリ様、アスラン様、ご馳走さまでした!お片づけは私がやっておきます!」

「はーい、お粗末様です。それじゃ遠慮無くお皿洗ってもらおっかなー」

「はーい!」







――――…この子達こそ、私がホウエンに来て出会った新しい仲間達

本当は色々と紹介をしてあげたいところだけど、時間が迫っている。紹介はまた後にするとして





食事を終えて最後にする事といえばただ一つ。手を合わせて、ご馳走さまと小さく呟く。回収されていく食器の掠れる音を聞きつつ、私は眼前に眼を向ける

相変わらず視界は真っ暗だけど、(今までご飯を食べていた)時杜が私の眼になってくれたお陰で、視界が明るくなる。目の前に見えるのは、慣れ親しんだありふれた日常の世界と、リビングにたむろう皆の姿に、席に座るアスランさん

私と同じタイミングで手を合わせた彼は、今日も変わらず温かい微笑を浮かべていた







「今日も忙しいお仕事が待っている。宜しく頼むよ、ミリ君」

「はい!」













ハローハロー

みんなー、元気にしてる?

こっちは元気にしています



みんなと交わした約束、

その内の一つが達成出来たよ





(そんな私の近状報告)


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