場面は変わってタマムシティ





「…………」

「……………(汗」





「なぁシゲル…お前止めて来いよ。何時まであんな状態にしてるんだよ。明らかレンさん困っているって」

「ピカ」

「嫌だね。僕は死にたくないよ。いくら自分の従兄弟だからってあんな状態な兄さんに話し掛ける時点で僕の寿命は約三年縮んだ様なものだって」




レッドとミリが空に消えて取り残された、サトシ、シゲル、レンとそのポケモン達はミリとレッドの帰りを待つ為に寛いでいた。三人共それぞれ用があった筈なのに、二人の為に律義にずっとテラスで仲良く戯れていた。二人がいない間、レンがシンオウ地方出身、サトシとシゲルがシンオウ地方を旅をするという話がまた盛り上がって話が進んでいた中、また三人の前に来客者が現れた

リザードンの背中に乗って現れたのは、今ジムの仕事をしているであろうグリーンの姿があった。グリーンを視界に入れた時シゲルは「げっ」と嫌な予感をした。その予感が的中したのか、リザードンから降りてこちらにやってくるグリーンの視界にレンが入った瞬間、眉間に皺を寄せたのが始まりだった


レンは困った様に苦笑いをしながらグリーンを見据える。対するグリーンは、すっごく眉間に皺を寄せ、苛々オーラ全開だと言っている顔でレンを睨み付けている

この状態がずっと続いている

シゲルとサトシは逃げたい衝動に駆られた(回りのポケモン達は困った様に傍観するだけ





「…よぉ、マサラ名物」

「黙れ」

「ちょ、それ逆効果ですって!」

「仮にもその人年上だからね!」

「レッドとミリを出せ。いるのは分かっているんだ。いや、むしろミリだけを出せ」

「「(えぇぇぇえ…)」」

「残念だったな。レッドも居なければお前が意中のミリも居ないぜ」

「…意中だと?ふざけることを言うな。俺はレッドがミリに何をするか分からないから心配しているだけだ」

「だから兄さん、顔を横にして言っても説得力ないから」

「リザードン、かえんほうしゃ」

「何で!?あつぅぅう!」

「わわわわシゲルの頭が!ブイゼル、みずでっぽう!」

「ブイ!」

「ははははっ。面白いなアイツ等」





自慢の髪が燃えてのたまわるシゲルに頑張って火を消そうと頑張るサトシとブイゼル、未だ嫌々オーラ全開のシゲルにそれを笑っているレン。そしてそれらを傍観しているポケモン達。第三者から見るとなんておかしい状況なんだと思わせる

もう白亜と黒恋は慣れてしまったのか、苦笑いするピカチュウと一緒にケラケラと笑っていた





「ジムリーダーのくせにお前はわざわざタマムシティまで何しに来たんだ?」

「…ん?そこにいるのはミリのイーブイ達か」

「聞けよ」

「とうとう存在まで無視しちゃった!?」

「シゲル、お前はそこで何をしている。ミリは一体どこにいった?その髪はなんだ」

「兄さんのせいでしょ!?(泣」

「お、落ち着けシゲル!とりあえず髪を梳かせ髪を!」

「サトシ、ミリはどこにいった?ついでにレッドはどこだ」

「(ついで!?)えー…レッド兄さんはミリさんを、」

「拉致ったな」

「…拉致っただと?」

「(怖っ;;;)」

「プテラに掴まれたレッドがものすごい速さでミリを拉致ってあっちの方角に「行くぞリザードン!」…ってだから話聞けよ!」

「帰って来るなぁぁあ!」

「Σシゲルーーー!?」






* * * * * *







「あー、何か嫌な予感がする」

「あー、俺もそんな予感が」




その頃私達はレッドのポケモン達と一緒に仲良く原っぱに寝転んでいた

ニョロの他に紹介して、と言ってみたらレッドは快くポケモンを出して一匹ずつ紹介してくれた。すぐに打ち解ける事が出来た私はレッドのポケモン達と仲良くする事が出来た。ピカチュウのピカとフシギバナのフッシーとプテラのプテとは一度顔を合わせてあったのですぐに打ち解け、残りのエーフィのブイとギャラドスのギャラとはすぐに懐かれた(特にピカとブイとギャラには目茶苦茶懐かれた

私は寝転んでいた体を起き上がらせる。上半身を起き上がらせると膝の上にピカが乗って来たので私は撫でる。ピカが気持ち良さそうにしていれば、羨ましいとブイも乱入してくる姿を見てレッドは笑った。それからよっと、と起き上がる




「そろそろ帰るか。アイツらが心配しているだろうし」

「そうだね」




私もレッドに習って、ピカを肩に、ブイを腕に抱えて立ち上がる。レッドはそれぞれボールを手にするとプテを残してボールに戻していく

私はその後ろ姿を見ていると、レッドが「そういえば、」と言葉を漏らすとボールを持ったままこちらを向いた





「?」

「あのさ、ミリが夢に入る前に不思議な声とか聞かなかったか?」

「…不思議な声?」





はて、私の知る限りではそんな声は聞かなかったけど…

けど私には一つ、その不思議な声の元が浮かんでいた





「それじゃ気のせいかな?」

「…どんな感じだったの?」

「んー…ん?あれ?何だったっけ…ゴメン、忘れちまった」





やっぱ何でもない、とボールに戻す作業を再び始めたレッド

その姿を、私はただ黙って見つめていた









「…なら、少なくとも気にしなくても良いと思うよ」










小さく呟く私の声はレッドには届かなかった






(…フレイリ、一体何がしたいの?)



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