「ブィ…!」
「ブーイ!」



ドガッ!!



「ピカァ!?」
「ブラッ?!」





ズシャァァア…





「っピカチュウ!」

「ブラッキー!」



「チャァア…」
「ブラッ…!」




バタッ……







「ピカチュウ、ブラッキー、戦闘不能。白亜と黒恋の勝ち。つーわけで勝者、ミリ!」

「「ブィ!」」




双方のアイアンテールを力のごり押しでぶつかりあった四匹。最後の力を振り絞って渾身の一撃を食らわしたピカチュウとブラッキーであったが、機転を生かした白亜と黒恋のアイアンテールに力を尽きて弾き返される。それが一番ダメージを食らったのか二匹は立ち上がる事は出来ず、そのまま目をクルクル回して、バタッと倒れた。白亜と黒恋はレンの判定の声に元気良く返事を返す。そして嬉しそうにミリに駆け寄ってミリの腕の中に飛び込んだ




「ピカチュウ、大丈夫か?」
「チャ…」

「ブラッキー、良くやった。戻れ」
「ブラッキー…」




サトシとシゲルはそれぞれ自分のポケモンに駆け寄り、無事かと確認をする。無事なのを確認して安堵の息を吐くと、サトシはピカチュウを抱き上げ、シゲルはブラッキーをボールに戻す。顔を上げた二人の顔は笑みが浮かんでいた




「やっぱりミリさんは強いや」

「あぁ、そうだね」




視線の先には嬉しそうに戯れているミリの姿

レンは二人に歩み寄った




「お疲れ、ナイスバトルだったぜ」

「レンさん!バトルの審判ありがとうございました」

「構わないぜ。満足したか?」

「はい。やっぱりミリさんは強いと改めて実感しました」

「そうか」




クックッ、と意味深な笑みを浮かべながら二人の頭をポンポンと叩く

サトシとシゲルは強い。それは承知の事だろう。サトシは数々の困難をクリアしていき、シゲルはサトシの壁となるべき存在。実力も申し分なく、それ相応の活躍もこなしてきた。しかも繰り出したポケモンはそれぞれの相棒だ。勝負は中々分からないと思っていたが、ミリの機転と白亜と黒恋の足りないバトル経験を補う指示によって無事に勝利。正直勝つバトルだと踏んでいた二人であったが、見事覆したミリ達の実力に驚きを通り越して逆に納得をしてしまう。清々しい顔をしている二人を見て、レンはまたポンッと頭に手を置いた

その時ミリは後ろにいた集団に手を振っていた





「レンさん」

「何だ?」

「レンさんは気付いていますか?――ミリさんが、指示なしであの二匹に指示をしているのを」

「あぁ…それか。勿論、気付いていたぜ。攻撃の三秒前、まるで次の攻撃が分かる様な避け方をしたりな」

「すごいですねレンさん!そこまで気付いていたなんて!」

「伊達にウォッチャー名乗ってないぜ、サトシ」

「なら、貴方の目では今のバトルはどう見えましたか?」

「今回のバトル、どうやらそう言ったものはなかったな。多分、回りくどい事をしないでお前らと戦いたかったんじゃないか?お前らが強いのは重々知っていたみたいだし、むしろあの二匹が望んだ様なものだ」

「望んだ?」

「シゲルの持つブラッキーは元はイーブィから進化したものだ。同じ種族としての対抗心、ピカチュウとは一度顔を逢わした事による興味心。きっとミリはアイツらの心の内を読み取ったんだろうな」




じゃなきゃあの特殊能力なんて使わないしな、とレンはニヤリと笑った





「(この人は…)」

「サトシ君、シゲル君。楽しい試合をありがとね」

「ミリさん!」

「ピカチュウとブラッキー、大丈夫?レンから薬を貰っていたみたいだけど念のために一度ポケモンセンターに行った方がいいかもしれない」

「そうだな。傷を治してもポケモンに疲労は溜めると後々大変だからな。よし、ポケモンセンターに行くか……ん?シゲルどうした」

「いえ…何でもありませんよ」






兄さん…

多分勝ち目ないと思うよ





「(もちろん、僕も)」





気に食わないから言わないけど






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