人でごったにするタマムシティデパート内の入口付近。人が行き帰りしていく中にて、二人の少年と一匹のピカチュウがいた

回りの人達が怪訝そうに、でも優しい彼ら(関わりたくないだけ)はそこだけを綺麗に避けて通って行く。ピカチュウは申し分ない気持ちでいっぱいで、大きな溜め息しか出来ない

何故なら




「俺はこっちに行きたい!」

「いーや!あっちだね!」




二人の少年が喧嘩を始めたからだ


勿論此所まで読めば分かるだろう。少年二人の内一人はアニメ世界では主人公なサトシ、もう一人はそのライバルを片棒に活躍していた今は研究員のシゲル。そしてサトシのパートナーのピカチュウだ




「ピカァ…」

「俺はこっちに行きたいんだ!」

「僕はあっちに行きたいんだ!」

「こっち!」

「あっち!」

「ピカァ〜…」





マサラタウンからそれぞれ合流した二人は自分達の手持ちや借りたポケモンの背に乗り、タマムシティまで無・事にな・か・よ・く行く事が出来たが、後は皆様のご存じのお約束が待っていた

状況を説明すると、まずタマムシティデパートに着いた二人はまず何を買うかで口喧嘩。その次には痺れを切らした様に行きたい方向にお互いが差してヒートアップ!かれこれ約30分はこの調子だ

目と目が合ったら口喧嘩する二人。最近はおとなしいはずだったが、どうしてこうなるのか





「ピカァ…」





呆れた様に、いや既に呆れて先程より大きな溜め息を吐くピカチュウ

どうしたもんか、とキョロキョロしていると、急に自分の身体が人の手によってひょっと持ち上げられ、ピカチュウの身体は宙に浮く。「ピカァ!?」と驚いて後ろを向くよりもさきに、ピカチュウを持つ何かはどんどん未だ喧嘩中な二人に近付いて行く





「まだ分からないのかサートシ君!あっちにいけば近道じゃないか!」

「こっちに決まってんだろ!こっちの方が近いに決まってるぜ!」

「あっち!」

「こっち!」

「ここは二人の意見を足して二で割ってエレベーターで行こうか」

「そうだそうだ!」

「エレベーターだ!」











「「…ん?」」



口喧嘩していたサトシとシゲルがピタッと止まる。自分が今言った言葉がうまく噛み合っていなく思考が停止する二人

それから乱入者の声がする方向をゆっくり(ギチギチ)と振り向けば、そこにはサトシのピカチュウを抱いた人物が


二人は跳ね上がった





「「ミリさん!?」」

「久し振りだね、サートシ君にシーゲル君!元気そうで何よりだよ」




突然の乱入者、ミリは綺麗な、それでいて無垢な笑みをしながら二人のそばまで歩み寄る。サトシとシゲルはまさか此所で再会するとは思わなくかなり驚いて顔を赤くした(何せ恥かしい所を見せたから

ミリに抱き上げられている事に緊張して顔真っ赤なガッチガチなピカチュウをサトシに手渡すと、ミリはポンポンと二人の頭を優しく撫でる。正直抱き着かれると身構えていた二人だったが、頭を撫でられた事に少し驚く(必ず抱き着かれたからだ




「にしてもびっくりだよ。まさかこんな所で喧嘩しているんだもん、しかもそれが二人だったなんてね」

「「う…すみません」」

「あはは、確かにここで喧嘩はいけないかな。あ、久し振りに会ったから少し時間ある?そこに座って話そうよ」

「「ハイ!」」




丁度ミリが指をさした場所は誰も座っていない向かい椅子だった。三人はそこに歩み寄り、サトシとシゲル、正面はミリの形で座った

サトシは目をキラキラさせて口を開いた




「ミリさん!改めてお久し振りです!今日はどうしてここに?」

「友人の付き添いも兼ねて観光として来たんだ。そっちは?」

「僕達はシンオウに戻る為の荷造りの調達をする為に来ました。他にもお祖父さまやサトシのママさんの手伝いも兼ねて」

「へぇー、シンオウか。そういえば二人は今までシンオウ地方にいたんだっけ?」

「ハイ。俺はジムバッチ制覇のために」

「僕は研究員としてナナカマド博士の元へ」

「そっか、二人も立派なトレーナーだもんね。何時出発するの?」

「明日には発とうと思っています」

「へぇー、意外に速いんだ。ドタバタだね。でも良かった、出発の前に二人の顔が見れて」

「「//////」」




照れくさそうにポリポリと頬をかく二人にミリは吹き出す。その姿があまりに面白くて、ミリは堪える様にクスクスと笑った




「タマムシティにいるって事は、もしかすると次のジムは…」

「そう、タマムシジムリーダーの草使いのエリカさん。五つ目のバッチに挑戦よ」




ミリはバックからバッチケースを取り出して中を開け、二人に見せる

グレー、ブルー、オレンジ、ゴールドの四つのバッチがキラリと輝いた




「短期間で四つ目のバッチ…すごいですね。この調子なら兄さんの所まで行けますよ」

「うわっ、すっごく綺麗に磨かれているぜ!なぁピカチュウ!」

「ピッカ!」

「ありがとう。シゲル君、グリーンに会ったらすぐそっちに行くからって伝えておいてね」

「ハイ、伝えときます。きっと楽しみに待っていると思いますよ」



色んな意味で←



「あ、そうそうこれ、僕のポケナビの電話番号です。時間があったらかけて下さい。僕はいつでも待っています」

「あ、ずりぃぞシゲル!俺のはポケギアの電話番号です!いつでもかけて下さい!」

「わざわざご丁寧にありがとう!」

「ついでにグリーン兄さんのを」

「(ついで?)」

「是非暇でも何でもいいんで兄さんに電話かけてやって下さい。(死ぬほど無茶苦茶これほどになく)喜びますから」

「う、うん…(どうしたシゲル君。遠い目をして何があった」



「シゲル…苦労してるな」

「ピカァ…」










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