「うわ、お前結構優遇されているな」

「あはは。良かった、二人が泊まれる部屋があって」




案内された部屋は、今まで通りの優遇バリバリされてある個室だ。結構広くって、今回は二部屋があった。運が良かったのか、ベッドが部屋ごと二つある。私は荷物をソファーに置けば、レンも荷物を置く。興味深いのかキョロキョロと辺りを見渡すレンがちょっと面白かったのは此所だけの話




「しかし…お前危機感無いな」

「んー?」

「普通別室にするはずだろ?何で俺と同室にしたんだ」




化粧棚の前で色々物色している中で、レンが呆れた様に言った。私は鏡越しでレンの顔を見れば、レンは荷物の点検をしながらやっぱり呆れた様な顔をしていた




「まぁ安心しろ。そんなやましい事はないからいつも通りでいてくれ。いきなりかしこまらがられてもこっちが困る」

「それは嬉しいね。まぁそんな事があったら多分レンでも命はないよ(キラーン」

「おーおー、怖ぇな」




つーかそんな事まで考えていなかったのもある。あちゃあ自分少し危機感持った方がいいのかなぁ、なんて思ってしまう(苦笑

それにそんな事は絶対にないと自信があった。もしそんなやましい気持ちがレンにあったらすぐに気付くけど、レンはそんな事はしない、と絶対的な信頼があった

私はボールを取り出して、ソファーに座る。レンも点検を終えて荷物を自室に置いて来た後、私の前のソファーに座った。レンは興味津々な目をしてボールに注目している

白と黒の二つのボール

ボールは揺れていない。つまりそれは拒絶をしていない




「出ておいで」




カチカチッ、二つのボタンを押し、ボールから白と黒の光が放たれる。光は私の目の前にある机の上に乗り、それぞれ白と黒のイーブィ…白亜と黒恋が現れた

ブィ!と可愛い声が二つ鳴いた




「白いイーブイが白亜、黒いイーブイが黒恋よ」

「「ブィ」」

「…白亜と黒恋、か」




レンは手を伸ばす

二匹はビクッとするが、レンは構わず黒恋の頭に手を乗せた




「俺の名前はレンガルス=イルミール。レンだ。まぁお前らはボールで聞いていたと思うが安心しろ、お前らやミリには危害は加えない」

「ブィ…」

「…不安なのは分かる。人間に恐怖を抱く理由も分かる。傷は簡単には治らない。だがな、そのままだと、守りたいものは、守れないぜ」




一瞬レンの瞳に、悲しみを感じる何かがよぎった気がした

気のせいだろうか、そう思っていると今度は白亜を抱き上げた





…気のせいか、気のせいなのか




白亜の頬が、赤く見えるのは…!







「へぇ、お前可愛いな」

「ブイイ!?」








今白亜に何かが刺さった






「よしよし。ほら、黒恋。お前も来いよ」

「Σブィブィ!?」

「遠慮することねーぜ。仲良くしようぜ」

「!?ブィブィ!」

「ブィ…Vv」

「ブィ!?」




「え、これってもしや笑う所?」




抱き上げられレンのかっこよさにアレ絶対惚れたな、な白亜にイケメンなだけに対抗意識を持ってしまった黒恋が繰り出すこの光景…うん、面白いなぁ。レンとならなんとか上手くいくみたいで安心だ。なんだか微笑ましくて、見ていてこっちも笑顔になる






「なら、俺も紹介だな」




抱き上げていた白亜を降ろし、おもむろに腰からボールを取り出す

それがエルレイドのボールだと一発で分かった。レンはボタンをカチッと押して投げればボールから光が放たれ、エルレイドが現れた

二匹は驚いて私の体によじ登ってきた(コラ




「エルレイド、俺の相棒だ」

「へぇ、格好いいね。エルレイド、私はミリ、よろしくね。この子達は白亜と黒恋っていうの。仲良くしてあげてね」

「「ブ、ブィ」」

「エル」

「…この際アレだな。交流もかねて手持ち全部だすか。丁度部屋は広い事だし」

「お!」





どうやらレンは手持ちを紹介してくれるらしい

あれ、先ほどの地道な戦いは一体どうなったんだよちょっとレンさん。まぁでもレンの手持ちを遂に見れるなら全然OKだげどね(ワクワク





「よし、出番だお前ら!」




腰から五つのボールを取り出すとボタンをそれぞれ押して、エルレイドの隣に一個ずつ投げた

出てきたポケモン達を見て、私は口笛を吹いた




「一緒に戦ったスイクンに、アブソル、トゲキッスにミルタンク、そしてハピナス…それがレンの手持ちかぁ」





エルレイドの隣にそれぞれ現れたポケモン達は元気良く鳴いた





「にしても意外…。レンの事だからもっとごっついのかと思っていたけど、可愛いポケモン達じゃんね。触っていい?」

「あぁ、触ってやってくれ。俺は元々バトルタイプじゃないからな、充分だ。そいつら、顔に似合わず強いぜ」

「あ、へぇーなるほど。サポートと防御面ではかなり強いパーティみたいだね。見てみればそれぞれの能力も片寄らず、強く育っている。攻撃的にも申し分ないね。流石はレン。あぁあこのハピナスのモフモフ感とトゲキッスのスベスベ感とアブソルのツルツル感がたまんないぜ!」

「…よくもまぁそこまで見抜けるな。流石だな。お前ら、この六匹と仲良くしてやってくれ」

「「ブィ!」」




ピョーン、と二匹は机から飛び下りるとトコトコと六匹の元へ。レンのポケモン達は元々おおらかなポケモンなだけあって二匹を歓迎してくれた。特にハピナスとミルタンクは子供が好きみたいで手厚く歓迎してくれた(お母さんと子供みたい

でもやっぱりそこはそれぞれの個性。実際に二匹と遊んでくれるのはハピナスとミルタンクとトゲキッスで、五匹は仲良く隣の部屋で遊びに行った。エルレイドとアブソルとスイクンはレンの近くで座っていた。どうやら自分から遊びに行くタイプではないみたいだ





「よし、なら私も蒼華を出すね」





水色のボールを取り出し、カチッとボタンを押す

投げ付ければ蒼華が現れて、「…なんだこの状況は」とでも言いたい様な目を向けられた。けどすぐに状況判断したのか、私の隣に腰を下ろす。レンのスイクンに気付くと二匹は仲良く(?)会話(??)をしていた






「一気に賑やかになったね」

「あぁ。だが、悪くないな」

「そうだね」








私達は笑った






×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -