レンに渡した板チョコを二人で半分個に分けて、おやつ程度にちまちまと食べた後(甘い物が嫌いなレンはしかめっ面して食べてた)、私達はポケモンセンターに足を運んだ。センターの中はあまり混んではいなく、私達はジョーイさんにポケモンを渡して、回復を頼む。私がここに来る事は知っていたらしく、手厚く歓迎された

近くにあった席に座り、ポケモン達の回復を待つ私達。この後は部屋に移動してそれから夕飯の時間だ




「なぁ、ミリ」

「何?」

「気が進まないかも知れないが…回復が終わった後、あのイーブイ達を一度見せてくれないか?」




突然そんな事を言ってきたレンに私は驚いた




「あの二匹を?」

「あぁ。無理ならそれでも構わない」

「…ううん。レンなら構わない。レンにはお世話になったし、別に何する訳じゃないんでしょ?レンのエルレイドも見せてくれたらいいよ」

「あぁ、勿論」




"レンになら構わない"

何故かそんな気がした。レンの人物からして特別変な事をする様な人でもないし、短期間でも信用出来る要素がレンには充分あった。白亜と黒恋も、ボールの中でレンの人の良さは知っている筈だ

もし何かあって私以外の人間に頼らなくちゃいけなくなった場合もある。それに人間恐怖症を治す良いキッカケにもなるはずだ。レンの意図はよく分からないけど、大丈夫だと確信があった




「そういえばさ、レンはどうしてスイクンを持っていたの?」

「俺がジョウトのスズの塔付近を観光していたらいきなり現れてな。勝負を挑まれたんだ。ぶっちゃけ捕まえる気はなかったが怪我を負わせた事による罪悪感で、センターに回復をさせるために捕まえたんだ。…逃がそうと試みたが、アイツはそれを拒んだ」

「そして手持ちになったんだ」

「あぁ。よくやってくれるぜ。…そうだ、お前のスイクン…確か蒼華だったか?あのマチスとのバトル、ライチュウが繰り出したかみなりをよくあんな平然と受けていたな。同じスイクンでも俺の方は倒れなくてもかなりの痛手になっていた筈だぜ」

「あぁ、それは…」




昔の【私】の隣にいた蒼華

私を守って戦っていた蒼華の姿が、瞼の裏で鮮明に流れてくる




「…よく分からないけど、考えられる事は一つ。レン、カクレオンっていうポケモンの特性は知っている?」

「カクレオンか?…確か【へんしょく】だったな。受ける技のタイプによって自身のタイプも変わるアレか?…まさか」

「そうそう、それだよ。察しの通り蒼華は特性の【プレッシャー】の他にも【へんしょく】を持っているの。しかもタイプが変わった後また同じタイプの技を食らっても無効化して一切効かないんだ」




映像の中に一つ

ポケモンの技を、同じ様に雷を受けた蒼華は一瞬顔を歪んでも元気ピンピンで、また同じ技を食らっても全然効いていなかった

視界に写る赤いポケモンが蒼華に通訳をして貰った時、確か《何故か無効化になる。安心しろ、痛くない。って言ってます》と言っていたっけ…。昔はあまりポケモンは未知の存在で何も分からなかったから理解不能だったが、今考えると証明が出来る。あの後に蒼華は別のタイプの技を食らったら普通に効いていたから



《"  "様!》





あの、赤いポケモン…


何の、ポケモンだったっけ?






「ほぼ無敵って訳か。…あまり戦いたくない相手だぜ」






クックッ、とレンは笑みを零した





「お待たせしました、ミリさん、レンさん。ボールをお返しします。これからこの子が部屋の案内をさせてもらいます」

「ラッキー!」






これから移動します






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