話が長くなる、そう言いマチスはミリとレンを奥の部屋に通した。奥の部屋はどうやらマチスの部屋になっているらしく、誰もが見ても此処で寝泊まりしているのが丸分かりだった。正直言えばごちゃごちゃしていて、布団が脱ぎ散らかっていた。マチスは布団を適当に片付けて、毛布で隠れていたソファーに二人を座らせた。マチスにナツメ、そしてミリとレンでそれぞれ向かい合わせに顔を見合わせる マチスとナツメは真剣な顔つきで、ミリとレンも同じ様に真剣な顔つきだ。ピリッとした空気が四人を纏う 最初に口を開いたのは、ナツメだった 「まずはレンとミリが求める情報は一緒と思っても構わないかしら?」 「あぁ」 ナツメの問い掛けに二人は目線を合わせ、レンが言い、ミリは頷く 「私が知りたいのは、白亜と黒恋がどうして実験台になったのか、何の目的で、そして何でグラエナに追われていたのか」 「俺は大半ミリと内容は同じだが、俺は他にも…誰がその二匹を連れて来たのか、そいつは今何処にいるのかを」 「…分かった。順番に説明する」 マチスは席から立ち上がると、資料やパソコンやらでごちゃごちゃしている作業机に向かうと束になっている写真を手にした それをミリに渡した 「これは…」 「その頃の写真だ」 「…っ!」 ミリの目が見開かれ、驚愕の色が浮かぶ。隣りで覗き込んだレンも、顔をしかめた その写真は、白亜と黒恋が写っていた 檻の中で震えて寄り添っている姿、検査されている姿、一番ミリの怒りに触れたのは実験されている二匹の姿だった。黒恋に至っては暴走している姿があり、口から放つ火炎放射があまりにも悲痛に感じた 写真を人通り見て顔を上げたミリの瞳は、燃える様な赤い瞳をしていた ゾクリと、寒気をはまた違う何かが背中にマチスとナツメに走った 「こうして…あの子達を、ポケモン達を、辛い目に遭わせたんだね」 重い重圧が、かかる 赤い瞳がまるで自分の心臓を掴んでいる様だ。なんて深く、そして怖い瞳なんだ …敵に回してはいけない コイツは、危ない 直感で、本能で、感じた 「…他には写真は?」 「…っいや、それしかない。俺が持っている分はな」 この中でまだ息が出来る分マシなところだ レンはミリから写真を貰うと、一枚ずつ丁寧に見ていく。見ていきながらミリの背中をポンポンと軽く叩く。まるで落ち着けと言っている様で、この中でそれが出来るレンは大物に違いない。 「実験台になった理由はいたってシンプルよ。色違いで、他のイーブィより何か違うモノを感じ取った。元々あの頃はある目的でイーブィの実験をしていたから、都合が良かったの」 「イーブィの細胞が不規則な為、様々な環境によって変化する。なら、石関係なしにイーブィは進化出来るのか。…そうでしょう?ナツメ」 「…えぇ。その通りよ」 「私の前に、嘘は付けないよ」 睨む様にミリは言う 確かにミリの言う通り、ミリの前には嘘を言う前にも見抜かれるだろう。ナツメは、ミリに恐怖した それ以前に何でそこまで知っているのか、知っているならレンが知っていそうな話な筈なのに。ナツメは疑問に思った 「グラエナの話に入るが」 「えぇ」 「…一体何の事だ?」 「…はぁ?」 マチスははっきりとミリに言えば、まさかその様な返事が返って来るとは思わなかったミリは眉を潜めた 「…本当に?…って言いたい所だけど、本当に知らないみたいだね」 「私も知らないわ。マチス、ロケット団にグラエナを使っていた奴はいたかしら?」 「ノー。俺達は主にカントーで活動していたからな。グラエナはホウエンだろ?知らねぇな」 「知らねぇのも当たり前だ。二人は白だぜ、ミリ」 レンは写真を机の上に置き、フッと笑った 「俺があの時お前から聞いた後、色々調べたが…ロケット団が解散された後は活動はしていないぜ。一時期別の奴等が活動を進めていたらしいが、今は全くだ。少し前もナナシマであったらしいけど、無事解決だと。それからは音沙汰なし」 「…悪かったな!」 「ありがたいがなこっちは。んで、その解散されている中でわざわざ実験台を追っかける程の活動力は戻っていない。それでも追っかけて来たのなら、別の奴等か、縄張りを侵入されて怒った野生のグラエナか」 「いちいち癪に触る奴だなテメェはよ!」 「…なるほど、レンの話も頷ける。わざわざありがとう、そこまで調べてくれて」 「あぁ、お前の為ならな」 「レン…」 「おいコラそこ。ラブラブすんな」 「「おっと失礼」」 「お前ら…!」 「ま、冗談と余興は置いといて 次は俺の質問だ」 → |