「ちょ…兄さん。レンさんにあってから…ストレスたまってないかい?」 「何で俺が人にあっただけでストレスがたまらなくちゃいけないんだ」 「なぁ…グリーンの奴、無茶苦茶黒いオーラが出てないか?」 「「ピカァ…」」 「サトシ…頼む。今からミリさんを連れて来て。そして兄さんに差し出して」 「生け贄!?」 「あのツンツンしたマサラ名物…アイツが一番暴走していたな」 「一体何をしたんだアンタは」 ―――――――― ―――――― ―――― ―― ― 「バトル形式はあの時のコロシアムと同じでいーぜ。今回はそれぞれ一体のポケモンのダブルバトル、俺達のポケモンが先頭不能になったら嬢ちゃんにバッチを渡す。ぶっちゃけこれは異例な形式だが、あまり深くは考えんな」 「もし、私達に負けてもどっちかに勝てばそのバッチを得る事が出来る。此所までは一緒ね。表向きはミリのジム戦だからミリが私とマチスのそれぞれに勝たなくちゃいけないけど、今回はこっちが負けたらバッチを渡すわ」 「分かりました」 「あぁ」 コロシアムより少し広いバトルフィールドに、私はいた 前回みたいに一人ではなく、今回は隣にレンがモンスターボールを空中で遊びながら立っている。レンから持ち出された話によって、なんと本当に私達はダブルバトルをすることになった 向こうの先に対峙するのはマチスとナツメ。失礼だけどタケシとカスミと比べてやっぱり空気が違って感じた。同年代と大人だとこうも違うのか、としみじみ思う。ベテラン、と言った方がしっくりくる。オーラが違う。でも私には関係はない。彼らはジムリーダーであって、忘れてはならないのは彼らは元ロケット団幹部だという事だ。このバトルが終わったら、脅しをかけても話を聞き出すつもりだ 「ミリ」 空中に遊ばせていたボールをパシッと取ったレンが、こちらを見てニヤリと笑う 私もフッと不敵な笑みを返すと、手の平から水色のボールを取り出した。ボールをレンに向ければ、レンも不敵な笑みに変えると自身のボールを私のボールにカツンと鳴らす。そう、先程と同じ様に 「良いバトルを」 「えぇ」 勝利を確信している揺るぎない光がレンの瞳にはあった レンは勝つ気でいる それはこっちもそうだ。きっとレンも私の瞳を見てそう感じているだろう。なんだかな、一人で此所に立っているよりもレンと一緒に立つと何故か安心感がある。不思議な感じだ。レンが隣りに立っていると本当に勝てる気がする…まぁ、勝つつもりでいるけど。でも何だろう…この気持ちは、これはきっとレンの見えない力なのかもしれない 私達は最後にまたカツンとボールを鳴らして、前を向く マチス達もいつでも準備万端なのか不敵な笑みでこちらを見ていた 「これよりクチバジムリーダー、マチス&ヤマブキジムリーダー、ナツメVSミリ&レンによるダブルバトルを始める!先攻はジムリーダーから!」 「OK!行けライチュウ!」 「フーディン!」 マチスとナツメが持つボールが投げられ、ボールから光が飛び出してフィールドからポケモンが登場する 二つのボールから出て来たのは先程レンのエルレイドと戦っていたマチスのライチュウに、ナツメと一緒にテレポートをしてきたフーディン 「さっき俺のエルレイドとバトったライチュウ…ミリ、気をつけろ。あのライチュウ、可愛い顔のくせにに強いぜ」 「でしょうね。あのフーディンは…やっぱり特攻が高くて素早さも高いね。ライチュウも元々素早さが高いポケモンだから、先手は打たれやすい」 「へぇ、一瞬で判断出来るのか。流石だな。お前のポケモンが何のポケモンかは分からないが、俺のポケモンは対応出来る」 「勿論私もいける。此所で求められるのは能力より私達のコンビネーション。それぞれの個々の判断は任せるよ」 「コソコソ話はいいから次はお前らだぜ」 「あぁ」 「はい」 私はボールの開閉ボタンを押した。レンも同じく開閉ボタンを押して、私達は同時にボールを投げた 空中でポンッポンッ!と開かれたボールから、一つは普通に、もう一つは色違い特有の水色の光を浴びながらフィールドに二人のポケモンが現れた 此所にいる全員は目を開いた 勿論全員は私も含まれていた 「スイクンが…二匹だと!?」 一つは水色のスイクン もう一つは普通のスイクン 「まさかレンの手持ちが…」 「まさかミリの手持ちが…」 「「スイクン…!?」」 スイクン達はただ黙って相手を見つめていた → |