「嬢ちゃんは?」

「私はどちらでも。元々バトルの最中にのこのこと現れて中断させた身です。そちらの意見に合わせます」

「見た目通り謙虚な奴だな」





…この際本当に帰ろうかな…

ほら、私今空気読めない子だし。明らか私に気遣ってくれているし。なんかマジすんませんって感じだよ






「(でもバトルは…難しいね)」





白亜と黒恋のボールが

さっきからカタカタ揺れている

そう、これは、…拒絶をしている


二匹はどうやらマチスを覚えていたみたいだ。マチスを見て昔の事を思い出したんだろう。…この状態でボールから出したら、危ないんじゃないか。…多分まともに戦えないと思う

あぁ、可哀相に

辛いだろうに、また嫌な実験をしてくるのかという恐怖感に




「(大丈夫だよ)」




私がいるから、大丈夫

守ってあげるからね

もう怖くないんだよ




心で語りかけたら、二匹の揺れは自然と治まりつつあった





「マチス、だったらこんな話はどうだ?俺とミリがペア組んでダブルバトルでお前と戦うのは」

「ア?ダブルバトルだと?…別に構わねーが…」

「なら決まりだな。ミリ、お前も構わないな?ダブルバトルはお前の十八番だしな」

「でも十八番っていっても別のトレーナーと組んでバトルはやった試しがないからね」





白亜と黒恋でバトルを、って思っていたけど…どうやら無理みたい

手をキュッと握って少し開けばそれに合わせる様に一つの水色のモンスターボールが現れる。ボールの中には、蒼華が入っている





「(蒼華、よろしく)」

「……」





蒼華もただならぬ雰囲気を察したのか、ボールの中で頷いた

余談だが実はこれ、皆の判別をする為に一昨日改良したものだ。といっても、ボールはただのモンスターボールと変わらないけど←

ちなみに白亜と黒恋のボールは勝手に色をつけました(ボールは変える事が出来ないからね


私がボールを取り出す?一部始終を見ていたマチスは「ワォ!」と口笛を吹く。隣りでいたレンも「凄いな」と感心して手を見ていたが、水色のボールに感心がいったみたいだ。興味津々な目で言ってきた





「モンスターボールが色が付いたみたいだな。新しいボールか?」

「残念。ただのモンスターボールだよ。色は勝手に私が付けたの」

「…モンスターボールって勝手に色を変える事出来たのか…?」





いや、多分普通は無理かな





「私はもうポケモンを決めましたので何時でも準備はOKですよ」

「ならちょっと待ってろ。さっきバトルをしたライチュウを回復させてからな」

「あぁ。なら俺達は待ってるぜ」

「そこの椅子にでも腰かけてくれや。…そうだ言い忘れていたが、途中でナツメって奴が現れるかもしれねーから、俺は奥にいると伝えてくれ」

「分かりました」

「……」





一つのボールを持ち、ヒラヒラと手を振りながら奥に行くマチス

ナツメ来るんだ〜楽しみぃ、と若干テンションをあげながら近くにあった椅子に腰を掛ける。ベンチみたいな長さな椅子な為、レンも私の隣りに腰を下ろした

レンの顔を覗いて見てみれば、神妙な面持ちで一つのボールを握っていたり返したりしていた。そのボールはあのエルレイドだと一瞬で分かった





「その子、大丈夫?」

「あぁ。麻痺をしちまったが回復薬で治しておいたからひとまず安心って所だ。だが疲労は溜まっているだろうから別のポケモンで勝負だな」

「そっか」





…そういえばレンとこうして話すのは久し振りだ

コロシアムで忠告を受けた以来電話をしなかったから本当に久し振りって感じ。忠告を受けたのにそれを破った後ろめたさがあって、勝利をしたのに私は連絡をしなかった。忙しいだろう、と勝手に解釈をしていたから。これは一種の逃げだ。しかもまさかこんなすぐに再会するとは思わなかったから…うぅ、どう会話して良いか分からん←





「レン、あのさ…」

「あの白いイーブィ」

「え?」

「まさか進化が出来るとは思わなかったな。進化は他にも出来るのか?」

「…多分、出来る筈。今分かっている進化系はサンダース、ブースター、シャワーズ、エーフィ、ブラッキー。後の二匹のリーフィアとグレイシアはまだ分からない。でもどれも進化と退化が可能よ」

「…そうか」

「…何も、言わないんだね」

「…忠告を聞いて分かってやったなら、俺は何も言わない。覚悟を決めたんだろ?お前やイーブイ達の瞳がそう語っていたからな」

「…鋭いね」

「まぁな。それが取柄だ。…ミリ」

「何?」

「優勝、おめでとう」

「…ありがとう」





もやもやが今、スカってした気分だ。同時に嬉しさが込み上げてきて、自然と口元に笑みが浮かんできてしまう

レンは私の顔を見て同じ様に口元に笑みを浮かべた

…お互い見つめあって笑っているなんてどっかのカップルか!と思ってしまう(キャッ←満更でもない奴





「反則技だとしてもよくあのゴウキに勝てたな」

「彼は強かった。ポケモンも、彼自身も。…特殊能力がなければ勝てなかったし、彼の本当のポケモンが揃っていたら多分私は負けていた」

「…鋭いな、アイツは強い。シンオウの四天王位に強いんだぜ。二匹だけでも強い所を…よく勝てたな」

「うわー、やっぱりそれ位強かったんだ…」

「昨日久々に連絡したらお前の話になってな、『またもう一度戦いたい』って言っていたな」

「え、知り合い?」

「あぁ。アイツも俺とミリが知り合いだと知ったら驚いていたぜ。普段動じないアイツが、中々の反応だったな」

「…人脈が広いんだね」

「そうそう、最近あのマサラ名物を見てきたが、アイツらも俺とミリが知り合いだと言ったらすっごく面白かったぜ。…警戒されて最終的にポケモンで攻撃されそうになったな」

「何やってんの!?」





…カスミが言っていたのはこの事だったんだね(確かに面白いね

しかしあのゴウキさんと知り合いだったのにはびっくり。…めっさ知り合いに似てそうな雰囲気を持っているあのゴウキさんとレンが並んでいる姿…あー、格好いい←

レンが言っていたゴウキさんの台詞にはちょっと誇らしげになったのは此所だけの話





「ククッ…アイツらの進展が気になるな」

「何の進展?」

「気にするな」







その頃二人はくしゃみをしていた





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