「…ここまで言っておきながらアレだけど、超克ってどう言う意味なんだろう…後で意味調べとこ」




とことん空気が読めないミリだった






―――――――――
――――――
―――










水色の空間に、私はいた

回りには沢山のポケモンがいて、空間の中には私達だけで空や岩などのモノは一切無い


不思議な感覚だった


心が、分かる

ポケモン達の気持ちを、感じる






「忘れていました…、どうして大切な事を忘れていたのでしょう。私が【異界の万人】の力を覚醒した時に得た、人間と魔獣の通じ合う能力、そして癒しの能力を…」






徐々に思い出す【私】の記憶

それはすんなりと【私】から、私の記憶に定着していく






「…ですが、あまり使わないでおきましょう。魔獣との通訳は"  "、あなたのお役目ですから」

《"  "様…》







だから私は封印した

あの子の哀しい表現を見たくなかったから、あの子の存在意義を、奪ってはいけないと思ったから―――――





私は今流れた記憶を振り払い、今目の前にいるポケモン達に意識を集中させる


そうしたら、ポケモン達の記憶が流れてこんできた





――何かがやってきた予感

でもそれは一瞬で


――本能で感じる従うべき存在

懐かしいと感じたんだ


――やってくる、だから待つ

自分達の元に現れるのを信じている




――綺麗な鈴の音を、鳴らせて…

それが、きっかけだった













私は力を止めて、拳を解いた

力を止めると不思議な水色の空間だった世界が先程いた場所へと変わった

ポケモン達は静かに私を見ていた

私も静かに彼等を見ていた。原因が分かった私はふぅ、と一息つき、口を開いた






「原因はほぼ分かった。…入口が塞がった原因は興奮のあまり誰かがちょうおんぱで攻撃しちゃって混乱を起こして、ついうっかり崩しちゃったって訳だね」






私がそう言うと、関係があったポケモン達が申し訳そうに顔を下に向けた。なんか反応子供みたいで可愛いなぁと思いながら、別に怒っている訳じゃないよと弁解しながら苦笑いした


予想は的中した

ポケモンがちょうおんぱで暴れ出す話はアニメでも漫画でもあったし、それに実際この世界でテレビのニュースで見た事もあった

…アニメ見ておいてよかったー






「(ま、原因がそれだけなら良かった…かな)」






スイーっと私の前にあるポケモンが現れた

そのポケモンはゴルバットだった。シュンとした顔で後ろにいるゴローニャを気にかけながら、イワークの尻尾が机になっている場所に止まった

どうやら原因はこの子だったみたいだ。確かにゴルバットはちょうおんぱを覚えるから、誤ってやっちゃったのも分かる。そしてゴローニャが命中して…ああ、うん、簡単に想像がつく

私は腕を差し出すと、ゴルバットは戸惑いながらも腕に乗ってきた。私はゴルバットの頭を撫でて、優しく笑った





「安心した。これがまた別の事でしかも君達に危険な事が起きたのなら、と心配していたけど…良かった」

「ゴルバッ…」

「ゴルバット、君が反省しているなら、人間代表で許すよ。君は故意でやった訳じゃない。ゴローニャもちゃんとその事は分かっているよ。ね?ゴローニャ」

「ゴロー」

「バット…」

「さぁ、ゴルバット。ゴローニャの元へ行きなさい。もう一度、謝るんだよ」

「ゴルバット!」





腕を振り上げれば、嬉しそうに飛び出して行ったゴルバット

ゴルバットはまっすぐにゴローニャの元へ飛んでいき、楽しそうに笑いあった。仲が良い事は良い事だと、見ているこっちが嬉しくなる

あ、そうだ。と私はある事を思い出し声を上げると、ゴルバットに目がいっていたポケモン達が一斉に振り向いてきた






「お願いがあるんだけど、オツキミヤマの入口塞がれているじゃん?皆で手分けして入口を掘り返して欲しいんだ。もちろん、私も手伝うよ。入口がないと人間の皆が困っちゃうの。一緒にやって貰ってもいいかな?」






普通こんな事、野生のポケモン達に頼むのもどうかと思うけどね、私←

私自身が手を出す事ははっきり言って容易い。けど、これはポケモンが起こした騒動。この子達が解決しなくちゃいけない

そう頼んでみると、ポケモン達はすぐに了承してくれた。はっきり言って簡単にOKくれるとは思わなかったけど、正直有り難かった。何度も思うけどこの子達本当にいい子ちゃんや





「それじゃ、早速今からやろっか!指揮は私が執るよ。万が一の事を考えてね。怪我した子は遠慮なく私の所に来る事!すぐに治してあげるからね。それから――」






色々説明をしていく私の頭上に、バキッと嫌な音が聞こえてきた

…バキッ?


それからゴロゴロと何かが転がってくる音も響いてきた

…ゴロゴロ?



私は何だろうと思い、上を向いた。ポケモン達も同じ事を思っていたらしく、私と同時に上を向いた


ピシィッ、と空気が固まった



目の前に見えるのは、馬鹿デカい岩が、ゴロゴロこちらに向かって転がっていた


さっと、血の気が下がった






「…全員、すぐにこの場から避難!!」






イワークの椅子からタンッと飛び下り、すぐさま私はポケモン達に命令をした

ポケモン達は私の命令に忠実に動いてくれた。あの岩が落ちてきても被害が及ばない安全な場所へ避難してくれた

白亜と黒恋はすぐさま私の足元に来ていて、既に戦闘態勢に入っていた






「ブイブイ!」

「かなり急速に落ちてくる。これは…駄目!あの岩の方がデカ過ぎて君達の力だと止まる事も出来ない」

「ブイ!?」

「白亜、黒恋、君達も避難しなさい!…これは、私が止めた方がいいのかもしれない」

「「…!ブイ!!」」





頭が良い子は好きだよ

聡明な判断だよ。白亜、黒恋


二匹が安全な場所に向かって駆け出したのを横目で見て、クスリと笑う

目線を岩に戻せば、かなり高い所から落ちて来たんだろう。めちゃめちゃ速い

…まさかこんな場所で力を使うことになるなんて、ね





「さて…と」





タンッ!と地を蹴った

フワリと上がった自身の身体はものすごい高さまで上がった。態勢を変え空を蹴って、そのまま転がってくる岩に向かっていく

ギュッと拳を握り、力を溜める

拳には暖色の光が帯び始める

そしてそのまま振り上げて―――岩に打ち付けようとした


その時だった






―――ピキィィイ






「――っ!?」







目の前の岩が、凍った






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