一瞬、私の頭に駆け巡った映像


イエローと初めて会った、トキワの森のポケモン達






「…具体的に、どの様におかしくなったんですか?」





私の質問に、話を聞いていた男性(多分子供のお父さん)が口を開いた






「私は実際には見てはいませんが、うちの子がその姿を目撃しています」

「うん、僕見たよ。ポケモンがおかしくなっているすがたを」

「始めうちの子だけだったんですが、他にも目撃していた人がいたみたいなんです」

「あ、俺見たぜ」

「私も見たわ」

「俺も俺も」





次々に言葉を繰り返すトレーナー達

見回していると、殆どのトレーナーがその姿を見ていたらしい。一体どんな姿だったのかは何気なく予想はついてはいるんだけど…






「…てか、皆さん仲が良いですね」

「流石に二週間以上いれば仲良くはなりますよ」





困った様に笑われてもちょっとこっちも困るよ←





「うちの子が見た話によると、山の上でポケモンが並んで同じ方向を見ていたらしいです」

「…同じ方向を」

「それから、丁度私のポケモンがボールから出ていたのか…私のポケモンも、野生のポケモンと同じ方向をずっと見ていたのです。私がいくら呼び掛けてもつっついても全然動こうとしなかったんです」

「あー、俺も俺も」

「僕も!」

「私もあの時はびっくりしたわ」

「だな〜」

「今は落ち着いていて大丈夫なんですが…」

「何時、またその様な状態になるかもしれないという不安、ですね」

「…はい」





やっぱり

状況はトキワの森と一緒

原因は分からないけど、でも元の原因は…きっと、私





「…ポケモンが何か別の行動をした時、それは何かが起きる前兆。良い意味でも悪い意味でも。きっとポケモンは誰かを待っているのかもしれませんね。話を聞くだけではなく、実際に見てみないと分からない事もありますから―――その前兆が、変な事にならなければいいですね」












「あのお方と同じ台詞…」

「は?」

「…今お主が言った言葉はかなり前、ポケモンマスターが言っておられた」

「…。貴女は?」

「ワシはキヨ。見ての通り年寄りのポケモントレーナーじゃ。ミリと言ったか…お主は似ておる。あのお方と。オーラが一緒じゃ」

「(……、まさかそれって…)」

「ねーねーおばあさん、それって本当?おねーさん、おばさんの言っていたポケモンマスターに似ている?」

「あぁ、似ているとも。残念な事にワシは年じゃ。もうあのお方の顔を思い出せない。じゃが、分かるのじゃ。お主のオーラ、そして声色…全てが似ておられる」

「………」






さて、どうした事か

また謎が増えたぞ


キヨさんが言っているポケモンマスター…私は一瞬昔の【私】かと思ったけど、違う







「その、ポケモンマスターとは何処でお会いになりましたか?」





私の質問に、キヲさんは顔をしわくちゃにしながらも懐かしそうに笑って言った





「何年か前のホウエンリーグでチャンピオン決まったあの日、あのお方をお目にかかった時からワシはあのお方を目標として生きてきた 



忘れもしない…色が違う珍しいポケモンを携えて戦った、まるで蝶の様な素晴らしいお方を」






嗚呼、やっぱり





「名前はもちろん覚えておる。彼女の名前はそう、確かミリって言われていたの。…よくよく考えるとお主、あのお方と同じ名前じゃな。偶然だか必然だか分からぬが、お主も立派なトレーナーになるのじゃぞ」

「…はい。ありがとうございます」









それは、私だ







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