食事を終え、一時皆と離れて私は先程泊まった自室でボールから出した白亜と黒恋と一緒にいた

目の前にはポロックやらポフィンやらポケモンフードをむしゃむしゃと食べる黒恋に、お腹一杯になった白亜が私の膝の上でウトウトしている。私はそんな白亜にブラッシングをしてあげている。個室でちょっと広い部屋はなんとも穏やかな雰囲気が漂っていた

さっきまでのあの朝っぱらからのドンチャン騒ぎはあれはあれで面白かったけど←





「これから…どうしようね」





白亜の頭を撫でながらポツリと呟く

白亜はピクンと耳を立て、黒恋は食べるのを止めてこちらを見上げる






「コロシアムが無事終わって、バッチを二つゲットした。この調子でどんどんバッチを手にしていくのはいいんだけど…グリーンやレッドの約束もあるし…でも、きっとある問題に直面する。それは…私が関係するのもあるし、もちろん君達にも関係するかもしれない…」

「ブイ…?」

「この先、迷路の様な長い道程があるかもしれない。振り返りたくない程の過去があるかもしれない。でも、私は進まなくちゃいけない。君達も同じ、君達自身の事も知らなくちゃいけない」

「ブイ」





心配そうに見上げる白亜に、ピヨーンと私の隣りに移動してきた黒恋。黒恋の頭を撫でれば気持ち良さそうに喉を鳴らした





「…あの聖地の事、調べていきたいしトキワの森のポケモン達が何故あの様になったか…多分原因は私。うん、きっとそう。だからその謎を探らなくちゃいけない。…それに、フレイリが言う仲間の過去も気にかかるし…夢に出てきたあの水色のポケモン…。あー、もう気になる事ばかりだね、私は」

「「ブイ…」」

「どの道逃れられないなら、足掻くだけ。次の旅は色々複雑になる事間違いないから心しておいてね。大丈夫、【異界の万人】としてしっかり守ってあげるから」

「「ブイ!」」





君達は、昔の【私】が残した最後の光

そう簡単に倒させもしなければ死なせるつもりは毛頭ない。だってこの子達はあの子が最後の望みを託した、あの子の唯一の――――


あ、そういえば






「最近分かったんだけど、君達の特殊能力…ロケット団の実験のせいじゃなくて、元々君達の能力として備わっていたみたいよ」

「「……Σブイ?!」」





衝撃を受けた様に二人は、同じ顔同じ仕草で驚いた顔をして私を見上げた。あれかな、言う順番間違えたかな?と笑いながら二匹の頭をそれぞれ撫でる

安心させる様に、優しい微笑を






「少し、思い出したんだ。昔の【私】があるポケモンとの会話がキッカケだったんだけどね。君達の親が、白亜の持つ七種類の進化が可能で、黒恋の持つ様々な技を使える能力…この二つを持っていた。きっと生まれた君達にそれぞれ半分の能力が備わったらしいの。…皮肉な事に、実験でその能力の鍵を開けちゃったのかもしれない




でもホッとしたよ。望まれない能力が、ちゃんと親から受け継いだ立派な能力だって事に…。自身を持って、胸を張ってもいいんだよ。君達の親は立派で、その君達も立派だって。私が、保証する」








白亜と黒恋は泣いていた

ポロポロと小さな涙を流して

私は二匹を抱き上げれば、二匹は私の腕の中で声を上げて泣いた。私はポンポンと赤ちゃんをあやす様に二匹の背中を軽く叩いてあげた





「辛かったでしょう。苦しかったでしょう。でも、もう安心だよ。つけられた傷はそう簡単には治らない。ゆっくり治そうね。時間はたっぷりあるんだから」






この子達に傷をつけた奴等には、きっと私は容赦はしないだろう


…怒っているのは私?

それとも【私】?




ううん、違う







【私達】二人が、怒っているんだ











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