先程までバトルを見てきた者達はさほど驚かなかったが、数時間前に行われていたバトルを観戦していなかったタケシとカスミは驚いて白亜の進化を見ていた

姿が変わり光が収まり、そこにいたのは白いシャワーズ

二人は驚いた

石を使わずに進化したなんて、と。二人が驚いている中――――シャワーズはそのままタケシのイワークに口から大量かつ威力のある水を噴射した

もちろん岩タイプは水タイプに弱い。つまり効果は抜群。不意打ちで、しかも急所に当たったらしい。そのままイワークは大きな地響きを轟かせながら倒れてしまった





「あれは…ハイドロポンプよ!」

「イワーク!」

「イワーク、戦闘不能。シャワーズの勝ち!」

「ッ戻れイワーク!」





赤い閃光がイワークを包み、イワークはボールの中へ消えていった

観客席にいたコジロウ達が「やったー!」「よくやったわぁー!」と叫んでいる






「これでグレーバッチは確実ね」

「「ブイ!」」


「すまない、カスミ」

「大丈夫よ、任せて!アタシがそう簡単に負けるはずないわ!」

「残念ですが今こちらに流れがきています。…このまま流れによって貴女を倒させて貰います」

「ならその流れをこちらにもってくるだけよ!スターミー、シャワーズに十万ボルトよ!」

「…!、黒恋!」

「ブイ!」

「させないわ!」





黒恋がシャワーズに進化した白亜を庇おうと駆け出したが、それよりも先にスターミーの電撃が白亜に当たり、全身に電撃を浴びて白亜は吹っ飛んだ。効果は抜群だ

初めての、一撃だった






「やったわ!これで一匹目戦闘不能よ!」

「黒恋、白亜に向かってハイドロポンプ」

「「「!?」」」






スターミーの一撃によって殆どやられたらしい白亜を、黒恋は容赦なくハイドロポンプを食らわせた。全員がミリの指示と黒恋の行動に目を見開いていると、シゲルは弾けとぶように口を開いた






「そうか!シャワーズの特性はちょうすい!水タイプの技を食らうと逆に自分が体力を回復する…黒恋はハイドロポンプでシャワーズの体力を回復させているのか!」

「なるほど、原理は決勝戦と同じか!ブースターの火炎の威力を上げる為に炎タイプの技を食らわす。考えたな。…そして厄介な相手だな」





シゲルとグリーンの解説中にもどんどん体力を回復していき、元気ピンピンに復活した白亜。ミリは満足そうに微笑むとまた指を鳴らす。また体が光出したと思えば、そこには白いサンダースが現れた

これには流石にカスミもお手上げだ。ミリはフィナーレを飾る為に最後の指示を繰り出した






「白亜、黒恋!十万ボルト!」







* * * * *







「やったああああ!!勝ったよ勝った!!やったあああ勝ったあああ!!」

「「ブーイ!」」

「お疲れ様だよ〜!家帰ったらご馳走だよー!よしよししちゃうよー!」

「「ブイブイ!」」



「(見た目とギャップがある喜び方ね…)完敗、まんまとやられたわ。はい、これ。公認のブルーバッチよ」

「何がともあれ、おめでとうミリさん。自分からはこれ。グレーバッチです」

「ありがとう御座います」






うーん、長かった

今回も何か長かった


やっと勝ったよ、私達






「ミリ、お疲れさん」

「よく頑張ったな」

「ミリさん、お疲れ様です」

「タケシもカスミもお疲れ!」

「ピッカ!」

「ミリ!アンタなら出来る子だと思っていたわ〜!」

「ミリさん!おめでとうございます!」

「コジロウ…何時からそんな数の薔薇を用意したんだにゃ…?」





皆もお疲れ様

こんな時間まで私に付き合ってくれてありがとう




受け取ったバッチは軽いのにズッシリと重かった。このバッチには私達と戦ってきたトレーナーの想いも入っている気がした。鞄からバッチケースを取り出し、カチッとはめ込む。空っぽのバッチケースが二つのバッチが加わり、何だか嬉しい気持ちになった





とりあえず





「お腹が減ったね…」

「「ブーイ…」」







(長い長い一日が、やっと終わった)



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