―――パァァアン…





爆発して発生した煙が弾け飛んだ。黒いもくもくとした煙は光の粒子となり、キラキラとフィールド場を光り輝くイリュージョンを見せつけた

レッド、グリーン、シゲル、サトシ、そして彼らのポケモンと観客は目を点にした。それもそうだろう、あんな黒くてデカかった煙が一瞬にしてキラキラ輝く光の粒子に変化したのだから

そして彼らは中央を見た


爆発に一番に巻き込まれたであろうポケモンとそのトレーナー。彼らは無事なのか…?、と心配しながら中央を見てみれば、彼らはいた

光の粒子に目がいっているゴウキ。互いに睨み合いを続けているトリデプスと白亜と黒恋。その光景を静かに見守っているミリ


回りがキラキラしている、そこだけは沈黙だった。まるで時間が止まっている様だった。誰もが注目している中、トリデプスの体がゆっくりと傾いていき、ドサリと、地面に倒れていった―――





「ト、トリデプス戦闘不能!イーブイ、ブースターの勝ち!よって決勝戦の勝者は――――ミリ選手の勝ち!!」






審判(今まで何処にいたんだとは聞かないで)の判定が下されると、まるで水が沸点まで上がった様に観客から歓声の声がたちまち上がっていき、ブースターからイーブイに戻った白亜と黒恋は嬉しそうにフィールド内を掛けていき、ゴウキは負けたのにも関わらず清々しい顔をしていた

勝った本人はというと、込み上げて来る達成感と感激よりも、やっと終わった…と安堵の溜め息を漏らしていた





「長かったなぁ…」





しみじみ思ったミリ

そして未だ二匹で感動を味わっている白亜と黒恋を呼べば、二匹は嬉しそうな顔で駆け寄ってきた。ミリは両手を広げれば二匹は飛び込んでいき、ミリはしっかりと抱き締めた





「お疲れ様、そしてありがとう!」

「「ブイ!」」








「聖憐の舞姫よ」





感動を分かち合っていた時、トリデプスをボールに戻したゴウキが近付いてきた






「完敗だ。まんまとやられた」

「貴方にはお世話になりました。楽しいバトル、ありがとう御座いました」

「あぁ、こちらこそ。今までのバトルより心が踊らされた。またいつか、俺達とバトルを頼む」

「はい、喜んで。


 
 また会いましょう、ゴウキさん」






差し出された手を、ミリは微笑みながら握り返す

しっかりした手だった。手袋の上からでも分かる、努力を積み重ねた手だ。ミリの手を握るゴウキの表情には、小さな笑みが。彼の鋭い銀灰色の瞳は清々しくも、優しい色を秘めていた

いつか来るかは分からない、再会の言葉。満足げに頷いたゴウキは手を離すとくるりと後ろを向き、堂々とコロシアムから立ち去っていった。観客から拍手が送られ、コロシアムから姿が消える手前で、ゴウキは敬意を込めてお辞儀をした。礼儀正しい彼の行動は、瞬く間に観客の拍手でいっぱいになる

ゴウキの姿を最後まで見届けていると、ミリは後ろから四つの気配がまっすぐこちらに向かって来るのを感じた

後ろを向くよりも先に――――何かが自分に抱き着いてきた






「ミリーーー!!」

「おふっ!れ…レッド!?」

「ミリさーーん!」

「あぶっ!さ、サトシ君!?」

「ピッカチュウ!」

「ピ、ピカチュウ!?」

「ミリさん、おめでとうございます!」

「よく頑張ったな」

「シゲル君、グリーン!」








わらわらとやってきた彼らに、ミリは驚きつつも嬉しそうに笑った






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