「カイリキーは倒せるかもしれない。でも問題がトリデプス…」





今ミリの目の前で広がる光景は―――カイリキーのからてチョップを躱しまくる白亜に、痺れを切らしているカイリキー。少しずつカイリキーの顔には疲労が見える。カイリキーなら大丈夫だろう、攻撃が当たらなければいい。だが問題は別にあった。ミリは視線を別に写す

睨み合いを続けている黒恋とトリデプス。彼らは一向に動かない。私が指示をしても果して効くのだろうか、とミリは思う。先程あのトリデプスは黒恋のアイアンテールをモロに食らった。でも効かなかった。後ろから攻撃してもビクともしなかった。確かに同タイプな技を繰り出したら効かないが、あれば本当に効いていなかった。黒恋のアイアンテールは白亜よりも威力は強い。でも駄目だった。つくづく立派に育ててあると感心通り越して悪態を吐いてしまいたかった





「(…難しいな)」





特殊能力を使わないでの戦いは、ここにきて限界みたいだ。ミリは二匹の限界を思い知らされる事となった

―――勝つ為には使いたい、でも使えない。使ってしまったら、あの子達が危険な目に合ってしまう事になる。数時間前のレンの忠告が、本当だったら…

ミリの中で葛藤がグルグルと回る


その時、冷静に見ていたゴウキがミリに向かって口を開いた





「…俺達の戦いは正々堂々と悔いのない戦いをする事だ」

「え?」

「だからお前も正々堂々と勝負しろ。…二度は言わん」





―――――この言葉により、ミリのグルグルと回っていた葛藤はスッと消え失せた







「…そうだよね、そうだよね!正々堂々と勝負する!それが貴方のモットーであり、私のモットー!」






清々しく言ったミリにゴウキはフッと笑う

白亜と黒恋はミリを見ていた。目で訴えていた、『今がこの時だ』と。二匹に全く迷いなんてものはなかった。ミリと視線が絡み合い、頷く。カイリキーから離れた白亜は睨み合いを続けている黒恋の隣りに移動した

観客が何か始まるのかと声をざわめかせるが、ミリにはその声は耳には入ってなかった





「(…ごめんね、レン)」






私、貴方の忠告は聞けない






ピカァッ、と白亜の体が光出した









(隠さないよ、私は)(私はこの子達を守るから)



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