「バトルスタンバイ!いけ、トリデプス!カイリキー!」





先に動いたのは先攻のゴウキ。腰からボールを取り出すと大きく振りかぶりボールを投げる

ボールから出て来たのは雄々しい鳴き声を上げるトリデプスに、四本の腕を振り上げるカイリキー。彼らはいつでもスタンバイOKだと地面を鳴らす





『ゴウキ選手のトリデプスは今までの攻撃をその鋼のボディで跳ね返していました。カイリキーは四本の腕を巧みに使い隙を与えず的確且強力な技を繰り返していました。さて、今回この二匹はどの様なパフォーマンスを見せてくれるのか!』





ゴウキが繰り出したポケモンを一目すると、今度はミリが動き出した

両手を前に翳し、ギュッと握る。拳が開かれるといつの間にかボールが握ってあり、観客達に動揺と驚きが走った。それもそのはず、ミリが戦闘に入る前には既に手にはボールが握られていた。誰も何処からボールを出したかは分からない――――いや、知らなかった





「さぁ、ラストバトルの花を咲かせて御覧なさい!


 真白き光、漆黒の闇

 白亜、黒恋!


 Dancing like the butterfly!!」





高く高く投げられたボールが開かれ、白と黒の光と共にその色をしたイーブイ達がフィールド場に現れた

二匹はトリデプスとカイリキーの前に立ち、こちらもいつでもスタンバイOKといった様に構え出す





『ミリ選手の白と黒のイーブイはその小柄を活かし、抜群のコンビネーションとスピードで勝ち抜いてきました。しかし今回の相手はなかなか一筋縄ではいかない!長期戦になるかもしれないでしょう。さぁてミリ選手はこの状況をどう乗り越えていくのでしょうか!!』



「バトル開始!」





審判の開始の声が上がったと同時にトレーナーのミリとゴウキは瞬時に指示を繰り出した






「カイリキー、からてチョップ!トリデプスはとっしん!」

「白亜はトリデプス、黒恋はカイリキーの攻撃を避ける!そして後ろに回ってアイアンテール!」

「カイリキー、アイアンテールの尻尾を掴め!そのままぶん投げろ!トリデプスは攻撃を受けろ!そしてジャイロボール!」

「白亜、空中で体制を整えて!黒恋は攻撃を避ける!一旦離れて!」





――――行動が速かった

何もかもが、速かった




スピードが速くて、瞬きした一瞬で攻撃が終わっていた。ポケモン達は息が切れ切れで、この一瞬がどれだけポケモンにとって大変だったか頷ける程に。観客の声援はいつの間にか無くなり、全員が釘付けになっていた

そして彼らは同時に思った

どうしてこれだけの実力をもちながら、このコロシアムでバトルをしているんだ。彼らは只のトレーナーなのか、と。疑問に思うばかりだった





「なかなかやるな」





ゴウキが言った

まさか向こうが話しかけて来るとは思わなかったミリは多少驚くが、すぐにニコッと、いやニヤリと笑った





「相当の実力者である貴方がどうしてこの様な場所に、しかも出場しているんですか?此処よりセキエイリーグの方で出場しているなら分かりますけどね」

「そう言うなら、お前も言えるんじゃないか?【聖憐の舞姫】よ」

「実力を認めて頂き感謝感激です。【鉄壁の剛腕】さん?」





ミリがニヤリと笑えば、ゴウキもニヤリとニヒルに笑う

この時ミリはゴウキの実力を認め、ゴウキもまたミリの実力を認めた。先程の戦いは小手調べ、小手調べであの戦い。これを観客が小手調べと分かれば誰もが驚くに違いない





「さぁ、次はこちらから攻めさせて貰うよ!白亜、黒恋!」

「受け止めてやれ!トリデプス、カイリキー!」







白熱した戦いが続く






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