「知り合いでしたか?」

「あー、そうですね…知り合いってか顔見知りってかそんな感じですね」






マジかマジか

あの二人がいるだなんて

マジかマジか

しかも私を探していると?

マジかマジか

嬉しいんだけどマジですか

マジかマジか



…でも何でここに私がいるのが分かったんだろう。目敏いなぁ。…あ、そういえばさっきあのサトシがいたんだっけ…サトシとレッドは従兄弟らしいから遊びに来た時に私がいる話を聞いたのかな…?ツンツン頭って言ったらグリーンでしょ…?シゲルもいるのかな…うーん、多分いないかもね

けど何であの二人は私を探しているんだろう。何かしたっけ?

…普通にしたね。あーそうだしたわあんな事。記憶消去だなんて勝負吹っ掛けたんだっけ?うっわ懐かしいねー






「ここにいたら時間の問題だよね…まだ試合じゃないけど、とりあえずさっさと控室にでも行っとこうか」

「「ブーイ」」

「二人に見つからない様に行こう。ジョーイさん、ありがとう御座いました。また来ます」

「はい、いってらっしゃい。頑張って下さいね」

「はい」





ピヨーン、と黒恋が私の頭に乗り、足元にいる白亜を抱き上げる。ジョーイさんに頭を下げれば、彼女はニコリと素敵な笑みを浮かべながら手を振ってくれた




控室に行く様々、通りすがりの人達に興味と好奇心の目で見られる事が多々あった。耳を澄ませば「あの珍しいイーブイのトレーナーだ」とか「戦いたい」だとかの言葉が聞こえてきて、特に危険の無いモノだったから少なからず安心した。レンが教えてくれた、あの言葉は辺りを警戒させるには充分過ぎる。まあもし本当に現れたら返り討ちにしてあげるだけの話、問題はないけど、やっぱり警戒して損はない

腕の中にいる白亜を見ればあまり人を気にしていないのか居心地がいいのかウトウトしてて、黒恋は興味津々に辺りを見回していた。人間恐怖症なこの子達だけど、私がいる分には問題ないね。かわいいなぁ





「…ん?」





もうじき控室に着く廊下に差し掛かった時、何かの気配を感じた

ピンと耳を立てる黒恋と白亜は、すぐに私から離れ戦闘態勢に入る






「…!白亜、黒恋」

「ブイ…!」

「ブイブイ!!」






私は壁際に寄り添うと耳を壁に当てる。気配は二つ、どれも人の気配。ポケモンの気配は一切ない


他の選手達なのかもしれない。でも、違う…。じゃなきゃ二匹が戦闘態勢に入る訳がない。いくら人間恐怖症でも私がいれば人間相手にこんな事をしない。実際に控室にいた選手には何もしないで私の所にいたし

―――そんな二匹が戦闘態勢に入るのは、一度敵として戦った事がある人間、或いはポケモンか…



嗚呼、なるほどね






「レッドとグリーン…私を待ち伏せしていたのね」






考えたね

確かにそこで待っていれば私が戻って来る事は必ずだ。だってその先にはコロシアムのフィールドがあるんだから


どうするの?とでも言いたいのか白亜がこちらを見上げる。黒恋は威嚇をしながら私の指示を待っている

私はしばらく考えた後、「攻撃はしない」と言えば二匹は驚いた顔でこっちを向いた






「ブイ!」

「彼らに敵意はないはず。敵意があればこっちまで敵意が伝わる。…それがないなら、多分彼らは私と話をしたいと思っているはず」

「ブイブイ!」

「今ここでバトルをすれば被害が出る事間違ない。それに私達は試合がある、無駄な戦いは避けたい」

「ブイ…」

「大丈夫、大丈夫だよ」






しゃがんで二匹の頭を撫でる。二匹は渋々といった様に納得してくれた


ボールを出して二匹を戻す


ゴメンね、と思いながら私は立ち上がった



……ん?






「ピ」

「…あれ、ピカチュウ?」

「ピカ!」





曲がり角に、黄色い何かがこちらを見ていた。隠れているはずなのに隠れていないその尻尾、すっごく見た事のあるギザギザのソレ

…いつの間に

あれ絶対レッドのピカだよ

私が気付いて名前を呼んだ事が嬉しかったのか、こっちに駆け寄って来た。何ともまあ警戒心のない可愛いピカチュウだこと。一度君をコテンパンにした事覚えてる?←


足元にやってきたピカを抱き上げれば、嬉しそうにすり寄って来た






「この耳の傷…まさか君はあのトレーナーのピカチュウだね?(知らない振りをしておかないとね」

「ピカッ!」

「そっか。元気そうでよかった






――――コソコソ隠れていないで出てきたら?いるのは分かっているんだから」






ピカチュウの電気袋をくすぐりながら、視線を反らさず口を開く

まさか気付いているとは思わなかったらしく、ピカはバレた!と驚きを隠せないでこちらを見上げる。そんなピカに私は微笑むと、そこで初めて視線を反らした。視線の先には先程ピカがいた場所で、今は二人の少年がいた

一人は帽子をかぶった少年レッドに、もう一人はツンツン頭なクールな少年グリーン

予想は、的中





「久し振りだね」

「…久し振りだな」






まずは挨拶として問い掛けてみれば、答えてくれたのはグリーン。彼は遠くからでも私をまっすぐ見てくるのが分かった





「元気にしてた?」

「あぁ。…お前もな」

「お蔭様で」





ちょっとグリーンの目があまりにもまっすぐ過ぎて気恥ずかしい気持ちもあり、視線を反らしてピコピコ揺れるピカの尻尾を掴んでみる。うん、かわいいかわいい←

グリーンからピカ、ピカから―――今度はレッドへ目を向ける。レッドと目が合うと、彼は笑った。前みたいに戸惑った顔をしないで、私の知るレッドらしい笑みを浮かべて





「元気そうで…良かったよ」

「君もね」





ピカを地面に降ろす

ピカはこちらを一回振り向くが、トトトっとレッドの元へ帰っていった



さて、もういいでしょう






「それじゃ」

「レッド、」

「フッシー、ツルのムチ」

「バナァー」

「おっとお!?」






おいおいちょっと待っておくれ

突然フシギバナを出してそのツルで私を捕まえようとしてきたんだけど!?まぁもちろん避けたけど!フシギバナ思いの外大きいね!!初めて見たよテンション上がるね!!

あれどうしてかなグリーンが舌打ちしてるんだけど!






「逃がすかッ!」

「ちょっ!」

「フッシー!もう一度!」

「あわわわわ…!」









今度修業メニューにツルに追いかけられるのを避けられる様に追加しておこう←結局捕まった






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