ここにいる全員が目を奪われた


観戦していた歓声が止み、別コートで戦っていた人は手を止める。もちろんポケモンも新たに来た挑戦者に目を奪われていた





『う、美しい…』





ポツリと呟くミッチー


ミッチーの言葉はここにいる全員の言葉を代弁した様なものだった





『な、なんということだ…彼女が登場した事により音という音が無くなりました…!か、彼女は一体何者だ!?』





ミッチーの熱い中継にも関わらず回りの観客達はまだ目を奪われ沈黙を守り、またミリは沈黙を意もせず悠々と自分が使うコートへと進んで行く

太陽光が射す光が反射して輝きを増す漆黒の髪を揺らし、オレンジ色の服がミリをもっと彩させる


その時、進めていた足を止め、ミリは今まで試合をしていたトレーナー達に視線を向ける。そしてミリは言った、「頑張って下さいね、試合」と。ミリの言葉に弾かれる様に挑戦者はまた試合を再開させる。観客達も弾かれる様に声援を送り始めた


静寂に包まれたコロシアムが一気に熱気を上げた






『ブラボー!!まだバトルも開始させていないのにブラボーの言葉を贈って上げたいくらい凄いぜミリ!俺ちょっと惚れかけ…あだぁ!…い、今のは嘘だよハニー!俺はいつでも君一筋だぜ!』





おいおいおいおい

こんな所で熱々っぷりを見せつけられても困るぜミッチーよ






「よろしくお願いします」






定位置に立ったミリは自分の対戦相手、そして審判に軽く挨拶をする

審判はその言葉にお辞儀を、少年タカシは顔を紅くしながらも同じ様に「お、お願いします!」と元気良く挨拶を返す






「準備は?」

「い、いつでも!」

「こちらもいつでも」

「では先攻は挑戦者番号10番タカシ選手!」

「は、はい!



 いけ!ドガースにイシツブテ!!」






タカシの手からボールが放たれ、フィールドの真ん中にポンと二つの音

光と共に現れたのはドガースとイシツブテで、彼らは元気良くヤル気満々で構える






『おおっと?タカシ選手はドガースとイシツブテを選んできたようだ。さぁタカシ選手のドガースとイシツブテはどんな戦いを見してくれるのだろうか!?』






「ドガースにイシツブテ、毒と岩タイプ…ね」

「では、次はミリ選手」

「はい」






審判の言葉にミリは二つのボールを出す

ミリはボールに視線を落とす

ボールは答える様にまたカタカタと揺れ始める。ミリは微笑むとキュッとボールを握り締める。顔を上げたミリは―――既に勝利を見えている、熱い瞳をしていた






「いくよ、日頃の成果を魅せてあげさい!



真白き光、漆黒の闇!


白亜!黒恋!


Dance like the butterfly!!」








試合が始まった





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