「あ゛ー、マジで暑ぃ」 現在気温29℃ 太陽サンサンおはようサン 日光がギンギラギンに照らされ、アスファルトからはムンムンとした熱気がたち込まれている 春から夏に変わったこの季節 過ごしやすかった筈だったのに、文字の通り初夏を迎えた途端にやってきた真夏の暑さ 「…まさかレンが夏嫌いだとは思わなかったよ…」 私の目の前で扇風機の前を我がものの様に陣取る一人の男、レン 風の強さを強にしてもなおバテているレンの意外な一面に私は苦笑を漏らすしかない。レンの手持ち達も結構グッタリしていて、水タイプのスイクンに頼りきっている(大変そうだ こっちの皆もかなり暑さが堪えているみたいで白亜と黒恋は先程からアイス(もしくはかき氷)ばかりを食べ続け、時杜は涼しさ求めて宙を彷徨っている。賢い蒼華は自分がどういう状況に陥るかがよく理解してらっしゃる様で、ボールから一向に出てきやしない そんな私は面白く且つ異様な光景をうちわを扇ぎながらアイスを食べながら涼んでいた 「仮にもシンオウ出身だもんね…。確かに冬国育ちの人にはこんな気温でもバテちゃうんだもんね…。よくそれでホウエンとか行けたよね」 「……ホウエン地方は冬に行くと丁度良い気温になるから、ある程度狙っていたが……今日は予想外だ。マジで暑い。死にそうだ」 「だいじょーぶ死にやしないよ。此所に水が有る限り人は死なないから安心して」 「…そもそもお前どうしてそんな平気なんだよ。…やっぱその服なのか?その服のお蔭なのか?」 「確かにこの服は通気性が良いから暑さはある程度凌げるんだよね…(言えねーよ使って楽してるだなんて)……ちょちょちょ…早まるなよレン。微かに目が据わっている様に見えるんだけど。そして色々危機感が……ちゃんと意識、ある?」 「……ミリ、骨は拾ってくれよ」 「うん大丈夫意識はあるね」 暑さで体力が限界に達したのか扇風機の前でレンは崩れる。横になり、全てを投げ出した格好で寝るレンに扇風機の風が吹き上げる 扇風機の風を受けていてもなお暑そうにしているレンに、私は近付いて隣りに座る。上からレンを見下ろし覗き込むと、「…あんまりジロジロ見るなよ」と指摘を受けた 「いやー、イケメンは何処から見ても絵になるよね〜って思ったのさ」 「お前楽しんでんだろ目の前でグッタリしている奴見て楽しんでんだろ絶対」 「あっはっは。こんな役得な事なんて普通ないからねー。悔しかったら復活しなされやレンちゃん」 「テメッ…!」 私の挑発にガバッと起き上がるレン……だったが、すぐに崩れるその身体(そんなに駄目かこの暑さは)。もう私に言い返す気力もないみたいで、ほとほと参っている様子だ 私はふふんと笑いながらレンの額に手を置く 「とりあえずレンがこの状態でへばっている限り、しばらく旅はおやすみって事だね」 「………ミリ」 「ん?」 「お前の手、ひんやりしていて気持ちが良いな」 レンの手が額に乗せる私の手の上に置かれる。本当に気持ちが良いらしく、レンの表情は何処か安らかに見える 私はクスリと笑うと、今度は空いているもう片方の手をレンの首の下に持っていってあげる。首を触って熱を吸収してあげれば、それはそれは安らかで穏やかな表情に(おいおい寝るなよお願いだから)。額に置いてあった手がレンの手によって動かされ、今度は頬に置かれる(うーん、役得← 「首、気持ち良いでしょ?首の後ろって結構熱持っちゃうから冷えピタでも貼っておけばすぐに熱がひくよ。持って来ようか?」 「あー、いらねぇ」 「そんな事言っちゃったら私の手が熱帯びちゃうよ」 「あー、構わねぇ」 「…返事返すの面倒くさい?」 「あー」 「……………」 …そんなに面倒くさいのか その事を証明するのか、レンの瞼が徐々に閉じられていき…微かに寝息が聞こえ始めたじゃないか … …… ……おいおいおいおいおいおい 「無防備にも程があるよ…」 寝た事によって掴まれた手はスルリと脱出が出来、私を掴んでいた手は力無く倒れる。前髪のせいで隠れている瞳は本当に瞼が閉じられ、口元に耳を当てずとも寝息が聞こえ、胸は規則正しく上下に動く 首に置かれている手は動かすにも動かせず、どうしようかと悩む私だったが…本当に意外な一面を見て満足してしまった私。…こんな簡単に人に寝顔を見せて大丈夫なのかとも心配になる ジロジロ顔を覗いても髪を弄んでみたりしても一向に起きる気配が無いレン 完璧無防備な寝ている姿を見て、もうちょっとレンの昼寝を手伝ってあげようと思って…私は小さく笑った とりあえず 「白亜、グレイシアに進化。一匹氷タイプいた方が部屋も涼んでくれるはずだよね」 「フー」 氷タイプは必需品 |