ポケモンセンターに着いた私はすぐにチェックインすることにした。センターに着いて一番に私を迎えてくれたのはナースの帽子をかぶったラッキーとジョーイさんで、彼女達は私を一目見て笑顔で迎えてくれた。私の話はトキワのジョーイさんから聞いていたのか私のゴールドカードをキラキラした目で見ていた(笑

私の調子が優れない事に気付いたのか、ジョーイさんはすぐに部屋に案内をしてくれた。ラッキーには白亜と黒恋が入っているボールを渡してあるので、時間が経てばすぐにでも元気になってくれるだろう






「夕飯はどうしますか?ラッキーに部屋に持ってこさせる様にしましょうか?」






もうじき夕飯の時間だったけど、今食欲を感じなかった。いや、むしろいらなかった。私は遠慮して断ると、ジョーイさんは心配そうな顔で、お粥は持って来ると言ってくれた

ジョーイさんの計らいに感謝しながら、ジョーイさんを見送った後部屋に入った






「…うーん、贔屓万歳って感じ」






やっぱり予想通り、一人部屋だった。内装はトキワとさほど変わりはなかったが―――このゴールドカードを持っている以上、きっとこれから私は一人部屋にお世話になるのだろう。人間恐怖症なあの子達には都合が良く、また今の私自身も都合が良かった


荷物を置いてすぐ、崩れる様に私はベットに倒れた


はっきり言って、二ビジムからここまで来るのにかなり辛かった。頭がかなりグラグラしていて、視界が霞む事さえあった程だ。平常心で歩くさえままならず、よくここまで頑張ったと自分で褒めてあげたい





「さっきのアレ…私じゃない、"誰か"の記憶……ハハッ、記憶の蘇りが早くない?まだ数日も経っていないのに…」






私の旅は、言わば"記憶探しの旅"

【異界の万人】は、私

代々引き継がれていった為、勿論その【元・異界の万人】だった昔の"私"がいる


私と昔の"私"は、別人だ


でも、別人でも力や魂が一緒である為、昔の"私"がしてきた行いは私自身の記憶にもなる。…私がいくら手に血を染めていなくても、昔の"私"が染めてしまえば必然的に私がやって染めてしまったと言ってもおかしくはない

記憶を受け継ぐ以外に、昔の"私"の力も受け継ぐ事になる。…大半そっちが目当てな訳だけど

そもそも記憶なんて何かのキッカケがなくちゃなかなか思い出す事が出来ない。そのせいで何年も待っていた事があったが、今はそれはさておき






「…あの映像…伝説のポケモンが多かった…昔の私は、伝説のポケモンを束ねる主だったのかな…」








沢山のポケモンがいた

沢山の伝説のポケモンがいた

沢山のポケモンが、私に頭を下げていた




何故、あんなに多いポケモン達が私に頭を下げているのか、何故伝説が、幻が、皆が、悲しそうな目をしていたのか。分からない。考えれば考える程頭が痛くなる


昔の"私"は、一体何者だったんだろうか















頭痛と記憶に戦っていたら、いつの間にか私は眠っていた


その時夢を見ていて、

夢に出てきたのは、とても綺麗な、それでいて水色をした色違いのポケモンが私を見ていた。何のポケモンかは分からなかったけど、そのポケモンはただ私を見ているだけだった






そのポケモンが記憶に繋がる鍵となり、また自分の手持ちになるなんて、今の私には気付く事はなかった











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