ゼルの指示の元さっそくシロナがゲンを呼ぶことで、急遽リーグ協会シンオウ支部に呼ばれたゲン。現在勤務中にも関わらず、ボーマンダに乗って現れたゲンは到着するなり改めてシロナとダイゴから説明を受ける事になる

電話では「今からすぐにリーグに来て頂戴!今!すぐに!」とシロナが急かす言葉だけだった為、一体何があったのかと心配したが―――改めて説明を受ける事で、やっと事態を飲み込む事が出来た

ポケモン催眠怪電波、その知らせはカラシナ博士から伺っていたとはいえ―――まさかその打開策にルカリオが採用されるとは、夢にも思わなかっただろう。ゲンは驚くしかない





「―――本部というのは恐ろしいな。知っているのはその場に居合わせたサトシ君達だけだと思っていたのに…レンといい本部といい、末恐ろしいものを感じさせられるよ」

「あら?何でそこにレンガルスが?」

「色々とバレバレだったのさ。やはり情報屋は敵に回してはいけないな…」

「あらあら」

「ははは」






というか、むしろ本部の情報網が逆に恐ろしく感じてしまったのは仕方が無いにして

ゲンの隣には、ルカリオが。勿論シロナの隣にもルカリオを従えている。そして、ダイゴの隣にもルカリオを従えていた。ゲンとシロナのルカリオ達と比べたら、少々年輩なルカリオだ。静かに立つダイゴのルカリオに、ゲンの眼は好奇に写す






「指導するのは構わない。対した事では無いからな。…しかしダイゴ、君はルカリオを持っていなかったはずだろ?…鍛え抜かれた立派な波動の力を感じさせる…誰のルカリオなんだ?」

「シンオウ支部副幹部長のジンさんのルカリオさ。あの催眠怪電波が止まるまでの間、お借りする事になったのさ」






「ダイゴさん、これを」

「?……このボールは、」

「私のルカリオです。あの催眠怪電波が止まるまで、貴方にお渡ししておきます。ルカリオも承諾済みです、お好きに使いなさい」

「!!―――しかし、」

「ルカリオを持っていたら私も確実に突入チームに加えられるでしょう。しかし、私はこの立場です。動こうにも動けない。それに―――ミリさんを救えるのでしたら、尚更貴方が持つべきです。ダイゴさん」








「そういう事だったのか…話の分かる人でよかったな」

「あぁ。これで僕も突入チームに入れそうだ」

「ルカリオの指導を受けた後、他のポケモンも怪電波が平気かどうか調べましょう。ゴヨウがエスパータイプがどうとかって言っていたから、ゴヨウも呼んで近くまで行ってみましょう。必ず糸口が見つかるはずだわ」

「そうだね」

「希望は捨ててはいけない。そうと決まればさっそく特訓に入るぞ!」

「「「ばう!」」」








* * * * * *








場所は変わって

此処は、とある場所―――






「ゼルジース、説明を求める」

「あ?」

「何故、俺のポケモンが怪電波の影響を受けないと断言した。そして何故―――俺達を、この場所に連れて来たんだ」





此処は、現在進行形で催眠怪電波が発動している立ち入り禁止区間内

そこにナズナとゼル、そしてゴウキに―――こちらも急遽呼び出されたレンの姿があった

リーグで再会を果たしたゼルとガイルに、ナズナとゴウキ。一通り指示を出したゼルはナズナとゴウキを呼び止め、着いて来いと言った先に辿り着いたのがこの場所だったのだ。リーグに居ないレンに限ってはサーナイトを使って強制召喚。説明も無しに拉致られたレンは当然ゼルといがみ合い勃発。落ち着いたところで改めてナズナがゼルに問い掛けた、という流れになる(ちなみにガイルは所用があるという事で此処には居ない)(いたらいたで今度はナズナといがみ合いになりそうだ

ゼルはフッと笑った






「説明するよりも実際に見た方が早いだろう―――ゴウキ、お前ポケモンを出してみろ。何でもいい、一匹だけでもな」

「!?―――いきなり何を言い出すんだ」

「いいからやれ。これは命令だ」

「………」






この場所でポケモンを出してしまったらどうなるのか分かって言っているのかこの男は―――と、そんな悪態を吐きたい気持ちを押さえつつ、仕方無しにゴウキは腰から一つのボールを取り出してポケモンを繰り出した

現れたのはトリデプスだった。元気よくのっそりと現れたトリデプスだったが―――すぐにでも欠伸をし始め、おやすみ三秒前といったどこぞののび〇くん並の早さで、眠ってしまったではないか。しかも気持ち良さそうに鼻ちょうちんを膨らませて






「…………」

「…………」

「…………」

「へえ。確かにこれは脅威だな」

「お前…まさか俺のポケモンをダシに使ったのか!」

「そう怒るな。…ナズナ、次はお前だ。今度は手持ち全員を出してみろ」

「!!」






何を思ったのか今度はナズナに、しかも手持ち全員を繰り出すよう命令が下るだなんて。流石のナズナも、お前は正気か!?と言いたげな表情を浮かべた

しかし命令は命令。顎でやれと言われたなら出すしかない。肩を竦めたナズナは仕方無しに手持ち全員のポケモンを繰り出してやる

現れたナズナのポケモン達。フーディン、アリアドス、デンリュウ、クロバット、ヤドキング。元気よくそれぞれ現れたが―――やはり、彼等もまた、スヤスヤと気持ち良さそうに眠ってしまう

アリアドスとデンリュウを残して






「リュー!?」
「ジジジッ…!」

「「「Zzz…」」」

「……デンリュウとアリアドスだけが…眠らずにいるだなんて…」

「…まさかだな……」

「レンガルス、次はお前だ。手持ち全員を繰り出してみろ」

「………チッ」






眼前の光景に驚いていたレンにも、ゼルの命令が下る。嫌そうにゼルを見返すも、レンも仕方無ぇとばかりに舌打ちを隠さず、手持ち全員を繰り出してやった

現れたのはエルレイド、レントラー、ガブリアス、ハッサム、プテラ

彼等もまたやる気満々と言った様子で現れるも―――やはり、パタリパタリと催眠怪電波にやられてグッスリスヤスヤと気持ち良さそうに眠りに落ちてしまう

エルレイドとレントラー、そしてガブリアスを残して






「!…エルレイド、レントラー、ガブリアス、スイクン……お前ら、大丈夫なのか?」

「エル」
「ガウ」
「グォウ」
「…」

「白皇の場合、プテラとハッサムが眠ってしまったという事か……」

「…一体これは、どういう事なんだ」






ポケモン催眠怪電波

話に聞くだけで実際には見た事はなかった。改めて見ると確かにこれは脅威だ。これで凶暴化しているポケモンもいたら、最悪な事になり兼ねない

しかし、目の前の光景は一体どうなっているんだ。ナズナとレンの手持ちだけ、一部のポケモンだけに催眠怪電波が及ばずにいるだなんて。頭を捻る光景だ。ポケモンの言葉を聞けるレンからしてみれば、本当に何も全く眠気を欲しないと言っているらしい。しかし片やスヤスヤ眠り続けているポケモン達は、一切目を覚まそうとはしない

一体、何がどうなっているというんだ



動揺している様子の三人を、ゼルは面白そうに喉の奥でクツリと笑う






「お前ら、まだ気付かねぇのか?」

「!何が、」

「ゴウキの手持ちが駄目で、レンガルスとナズナのポケモンは一部だけ眠らずに済んだ。…眠らなかったポケモンのメンツをよーく思い出してみるんだな」

「「「………」」」

「俺は本部に戻る。ゆっくり考えるんだな」












それだけ言い残したゼルは何食わぬ顔で種を返し、三人の元から去ってしまった









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