本当なら此所にミリが居ないといけない。ミリはこの件の大切な『鍵』の役目を持っている。アイツにしか…分からない話が出てくるかもしれねぇ。…それにミリを一人にしたくないのが本音だ(ポケモン達がいくらいても心配なものは心配だ

しかし、ナズナは額に手を当て小さく溜め息をついた






「こうなる事はこの眼で視えていた…。だから俺は聖燐の舞姫にお前が此所に来させない様にさせた。…が、お前は来た。しかも…一人で」

「お前には色々と聞き出したい事が山程ある。何で、お前はミリを使ってこの話から遠ざけようとした?」

「正確には刹那から、聖燐の舞姫、だ」

「関係ねぇよそんな事。…俺が絶望するとかなんとか言っていたらしいが、…一体何が言いたいんだ」






ナズナの言葉で、俺とゴウキでミリとバトルを勃発した

あの時のミリはとても必死だった。今でもあの時のミリの顔は、忘れてない






「お前が自分の意思で来ているのは知っている。実際に彼女から話は聞いている。…だから俺は彼女にお前の事を託した。絶望させない為に、彼女が…お前の光になる為に」

「…何を今さら…」

「あぁ、そうだったな…お前も彼女も、互いが光同士。…だが、それはどうだろうな」

「…どういう事だ」

「残念だが俺はこの話した後までしか未来は視えていない。だからその先のお前の事は、分からない







全てを話そう。俺が何故クリスタルになったのか、どうしてお前にそこまで言うのかを――――」









* * * * * *









「ハッピー」
「ミル〜」
「ブイブイ」
「ブイィィ」


「あー…平和過ぎる…」





庭の方で白亜と黒恋が楽しそうに走り回り、それを微笑ましく見守っているハピナスとミルタンク。そんな四匹をリビングのソファーで見ている私

相変わらずあの四匹は私の心を和ませてくれる←





「ぬくぬく…」





残された私は今、ソファーに大人しく毛布にくるまって丸まっている。…さっきレンに騙された(←)事によって、ヘロヘロ状態になった…のは置いといて(ちくしょう帰って来たら倍返ししてやるんだから!)。しょうがないからこうして大人しくレンの帰りを待っている私

…亭主を待つ妻って、こんな感じ?←まて





ピピピッ





「………37.5℃。よし、力のコントロールもついてきた」






満月の影響で力が全然コントロール出来なくて、レンに頼りきっていた(今でも理由分からない)。先程のアレ(敢えてソレを何かとは言わない)をされたお蔭でだいぶ力が収まってくれた。…良いんだか悪いんだか…お蔭様で熱も収まってくれた。うん

ナロ○エースでも飲めば夕方には治っている、はず。つくづく自分の身体って丈夫でラッキーだと思う←まてまて






「今頃何してんのかなぁ〜…皆」






レンが時杜の力で行っちゃってから、軽くもう数時間は経過している。彼が行ったのは、昼ご飯の時間だった。ご飯を軽く済ませて行ったからお腹が空く事はないとして…この場合は帰って来るのは夕方かな?

だったら丁度良い。私もその頃には熱が下がっている頃だから、色々と動けるはず






「……………はぁ」






気掛かりな事が頭から離れない


それはいつの間にか――ナズナさんが言った(正確には刹那だけど)、「白銀の麗皇を関わらせるな」という言葉。「彼は絶望をしてしまう」とも言っていた…

ナズナさんが助かって、休んで、復活して…だから今日、全てを打ち明けようとしている。あいにく私はこうだけど、レンは行った。全ての真実を、知る為に



…本当に、それで良かったのだろうか








「……大丈夫、かなぁ…レン」






無理矢理にでも行けば良かったのかな

ナズナさんがあそこまで"白銀の麗皇"を退け…絶望を与えさせない為、とはいえ…一体何の理由があってそんな事を言ってきたのか

もし、今全てを話している時に――レンに強烈な大打撃を与える話が浮上しているかもしれない



…でも、私には分からない

レンは、彼は、はっきり言って無関係だ。私は白亜と黒恋の事があってから…聖地の事、不思議な力にクリスタルの繋がりに『鍵』の役目。カツラさんは親友という繋がりから『錠前』の役目。ゴウキさんは異母兄弟という繋がり。…レンとナズナさんは、初対面。繋がりなんて何もない

それにこの事件に関しては、レンの気紛れお節介だって本人から聞いた。たったそれだけの事で…何でレンが、絶望しなくちゃいけないの?






「本当に…何がなんでも行けば良かったかな…」






もし、そんな事が起きてしまったのならば…私は彼を、助けたい


私がそうだった様に

彼が私を助けてくれた様に




それに…私の愛しい人、だから










「……愛しい人、か…」










大切な、大好きな彼




その後ろに潜むのは…藍色の瞳を持つ、彼






似過ぎている、顔


似過ぎている、声


似過ぎている……雰囲気








「………はぁ」







私は溜め息をついた





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