さあ、突き進め

眼前の敵はなぎ払え

栄光を掴む為に


一つの約束を、果たす為に











Jewel.34













【第××回GF・K-マスターランク-説明事項】

<出場条件>
・シンオウ支部コンテスト会場にて各部門コンテストを、どれもハイパーランクまで上りつめた者とする

・過去に開催されたマスターランクコンテストに出場した成績がある
(その他出場条件項目参照)


<禁止事項>
(規約事項禁止項目参照)


<パフォーマンスルール>
・マスターランクコンテストは予選・本選とそれぞれ一次審査と二次審査とする

・一次審査は個人の演技でビジュアル、ダンス、演技を含めたアピールパフォーマンス。総合得点の得点が高い順に一次予選を通過する事とする。ビジュアル部門ではポケモンのコンディションを含め、与えられたテーマに合わせてドレスアップをさせる事。ダンス部門では会場に流れる音楽に合わせ、トレーナーの指示のもとダンスパフォーマンスをさせる。尚、トレーナーもアピールの一つとしてダンスをする事を認める。演技部門ではコンテスト技を繰り出して三人の審査員にアピールし、評価をもらう。マスターランクでは各部門(かっこよさ・うつくしさ・かわいさ・かしこさ・たくましさ)の規定は無しとする。一人に対するアピール時間はビジュアルで5分ダンスで5分、演技で5分の合計15分の時間が与えられる。しかし、これに限るのではなく15分の時間を越えず、且つ三つの演目が含まれていればどの様にパフォーマンスしても構わないものとする。使用ポケモンは二体に限定する

・二次審査はトーナメント形式のバトルパフォーマンス。ポケモンは三体を使用、うち二体はダブルバトルとする。組み合わせや属性は問わない(詳しくは演技項目参照)。勝敗ルールは点数式である。一人持点は500点からスタートし、相手の攻撃を受けた時等で所持点数が減少する。制限時間は問わず、持点が無くなった時点でパフォーマンスを終了とする。また戦闘不能と判断された場合も勝敗に入る

・予選にて行われた一次審査、二次審査の総合得点が最も高い四名のエントリー者に本選出場の権限が与えられる

・本選は予選と同様に一次審査と二次審査があり、内容も予選と同様である。但し、予選で使用したポケモン以外のポケモンを使用するものとする(詳しくは使用ポケモン項目参照)。一次審査、二次審査共に高得点を取った上位二名に決勝出場の権限が与えられる

・決勝戦はバトルパフォーマンス、内容は二次審査と同様とする。使用ポケモンは六匹に限定とし、予選本選と出場したポケモンでも出場を認める。試合形式は六匹の内、四体はシングルバトル、残りの二匹はダブルバトルに分ける。入れ替えは認められない。勝敗ルールは二次審査と同様のものとする





―――――
―――










GF・K協会主催マスターランクコンテスト

一日はオープニングセレモニーから始まったこの大会は、予選と本選、一次審査二次審査共に一日を使って計五日間に行われた。連日会場内は人で溢れ返り、違う場所で行なわれているリーグ大会と引けを取らないくらい盛大に盛り上がった。テレビを着ければ番組の殆どがコンテスト大会とリーグ大会ばかりで、気候が寒気に見回れるのにシンオウの人々は熱気に溢れていた






『―――――…マスターランクコンテストが開催されてから、早くも六日目が突入しました。遂に舞台は決勝戦へと開幕をし、熱くも美しいパフォーマンスが私達を圧倒してくれています』

『やっぱり決勝戦だけあって選手からもポケモンからも熱気がひしひしと感じられるぜぇえええ!お前ら!この瞬間を一瞬でも目を反らすんじゃねぇぞぉおおおおッ!!』

「「「イェェエエアアアア!」」」







二日目に行われた予選の一次審査では、時杜と風彩が出場した。小柄な二匹が繰り出す愛らしくて可愛らしくも、草と虫が魅せる幻想的な、でも的確ではっきりとした技のコンビネーションは減点を許さず好評を受けた

三日目の二次審査は一次審査に出た時杜と闇夜と朱翔が出場した。シングルバトルは朱翔が、ダブルバトルでは時杜と闇夜が。的確な指示と、バトルだけど"魅せる事"を忘れないパフォーマンスは完璧なものだった。勝負は三匹の圧勝、一次審査共に高得点を得て本選への出場の権限をその手に掴んだ

四日目に行われた本選の一次審査は蒼華と水姫が出場した。この二匹はどのポケモンよりも一番有名なタッグで、聖蝶姫にとって一番の見せ場、そして観客も審査員も全員が注目するポケモンだった。最も美しいとされている二匹の繰り出す水のパフォーマンスは期待を裏切らず完璧な仕上がりを魅せた。結果に関しては、言うまでも無いだろう

五日目の二次審査は一次審査に出た二匹と刹那が出場した。シングルバトルでは水姫が、ダブルバトルでは蒼華と刹那が。蒼華と水姫のタッグが分かれ、刹那が加わったバトルパフォーマンス。予選同様に完璧なパフォーマンスを魅せ、且つ圧倒的な力も魅せた(ダブルに至っては相手が可哀相なくらい張り切ってしまったけど…

そして本選で行われた二つの審査の合計点数が表示され―――満点という偉業な点数を叩き出した私達は、無事に決勝戦への進出を果たす事となった







「フワライド、ムウマージ!あやしいかぜとあやしいひかりのコンビネーションで相手を吹き飛ぶのデース!」

「時杜、風彩。こちらはリーフストームとかぜおこしでその光を阻む壁を作りなさい」

「フワァァァ!」
「ムゥマァァ!」
「キューッ!」
「ふりぃ!」






今回の大会に出場した他のエントリー者達もやはり同じ道をきただけあってコーディネーターの腕は確かなモノだった。中には前回出場経験がある者も居たらしくその実力は相当なモノで、繰り出すパフォーマンスに関心をしてしまうくらい見事なものだった。きっと今日この日の為に磨き続けてきたのだろう。彼等から感じ取れた惜しみない努力と勝ちに向かう気迫は相当なものだったから

けれど私も負けてられない。この日の為に磨いてきたのは彼等だけじゃない。ジム戦をしながらコーディネーターを目指す―――両立は難しいと言われている私の我が儘に応えてくれた皆に、勝利という名の栄光をプレゼントをあげる為に。そして、私の夢に一歩でも近付く為の通過点として

私には果たさなくちゃいけない約束が二つある。一つは勿論、トップコーディネーターになってチャンピオンになったシロナと本気の勝負に挑む事。そしてもう一つは―――…コーディネーターとしての最大のライバルであるメリッサと、最後の決着を着ける事

その相手が今、私達の前に立っている







『メリッサ選手はご存じの通り、このヨスガシティのジムリーダーでもあります。ジムリーダーでもあり、コーディネーターとして活躍するメリッサ選手はこのGF・K協会シンオウ支部にとって欠かせない存在でしょう』

『おおっと!盲目の聖蝶姫の事も忘れちゃならねぇぜ!今となりゃシンオウで誰もが知る高嶺の花!盲目で眼が見えないにも関わらずスッゲーパフォーマンスを魅せてくれる聖蝶姫に協会側も一目置いているのは周知の事実!あと、スッゲー美女!マジ美人!マジ美少女!男も女も嫌でも注目させちまうよなァァァァ!うはぁぁあの子マジ可愛いぃいい聖蝶姫ェェェ後で俺にサインくれぇえええeヘブシッ!!!!』

『あなたいい加減にしなさいよ(ボソッ)ゴホン、―――さて、そうこうしていく内にダブルバトルは終演を迎えたようです』








「フワライド、アゲハント戦闘不能!バトル試合は同点とします!



続きましてはシングルバトルに入ります!」








歓声が会場内を包み込む

技と技がぶつかりあい、炸裂した爆発は風彩とムウマージを包み込み、勢い負けをした二匹は床に叩き付けられてしまった。眼はクルクルと回し、動く様子が無いところを見て勝敗が下された

キラキラと輝くのは先程から繰り返されたパフォーマンスの名残。時杜が繰り出したにほんばれの効力と風彩が繰り出したぎんいろのかぜのコラボレーションと、メリッサのムウマージのパワージェムとフワライドのチャージビームが炸裂して出来た光――――…出来ればこの素敵な光景を、自分の眼で見てみたいものだった







「ふりぃぃぃぃぃ…ぃ…」
「キュー」

「おかえりなさい。あらあら風彩、大丈夫?惜しかったね。ゆっくり休んでね」

「ぃぃぃ〜…………(ガクッ」
「キュー!?」

「あらあらあら」

「…」
「……」








床に叩き付けられた風彩を時杜が回収してきてくれた。ヘロヘロになっている様子の風彩を腕に抱き、よしよしと撫でてあげれば風彩は安心した様子で、そのままガクッと頭が垂れ下がる(斬新な倒れっぷりに時杜が叫んだ)

気持ち良さそうに眠り始める風彩をそのまま腕に抱き、私は視線を蒼華に向ける

コクリと頷いた蒼華はその綺麗な海色のたてがみを靡かせてフィールドへ歩み始める。メリッサの方も最後のポケモンを決めた様子で、高らかと放たれたボールからは―――彼女の相棒ともいえるポケモン、ゲンガーがその姿を現せた







『メリッサ選手にとってゲンガーは、ジムリーダーとしてもコーディネーターとしても絶大な信頼を持つ相棒。そしてゲンガーにとってミリ選手のスイクンは最も倒したい存在。同時にメリッサ選手もゲンガーと同じ思いをミリ選手に向けている。ジムリーダーとしてコーディネーターとして、此処は負けられない勝負となりましょう』

『対するスイクンといえば、あの【三強】と謳われるポケモンの一匹。美の象徴ともいえるスイクンは今やコーディネーターの中で一目を置かれ、聖蝶姫にとっても頼れる右腕的存在!コンテスト大会もバトルでも聖蝶姫の前に立ち塞がる相手を弾き返してきた聖蝶姫の最後の砦!今大会も同様に、聖蝶姫の敵をその美しくも強靱なパフォーマンスで地に伏せさせたスイクン…今日もお前はそのクリスタルの輝きと共に敵を氷結させてしまうのかぁああああ!?』










「――――――…ミリサン」












バトルを開始してから一度もこちらに言葉を発しなかったメリッサが、私の名を呼んだ







「―――…メリッサ」

「アナタは言ってくれマシタ。ワタクシを、この大会に出場したエントリー者全員をライバルだと―――…決着をつけマショウ、ミリサン。ワタクシは、アナタをライバルとしてジムリーダーとして、そして一端のコーディネーターとして、アナタに勝たせて頂きマス」

「私からは、何も言わない。もう言うべき言葉は貴女に伝えてあるから。だけど、貴女に一つだけ言うとすれば―――私達は、絶対に負けない。私達は、前に進むのだから」








此処で、立ち止まるわけにはいかない

振り返ってもいけない。どんなに茨の道だろうが私達はただひたすらに前に進むんだ

前に進む事しか、出来ないから








「―――…さあ!この盛大なる舞台の上で、貴方にぴったりな最後のフィナーレを飾りましょう!



清流の風、蒼華!

その清らかなる浄化の力を持って全てを包み込みなさい!




All will be made to finish!」





















花火が散った

氷が弾いた

光が飛んだ


会場内を響かせる声援、歓声、奇声

眼を放せない、様々なパフォーマンスが生み出されるステージの上


光が飛ぶ、氷が輝く、花火が弾ける、空気が揺れる









――――最後に、笑ったのは








『――――…きっ、決まったあああああああああッ!勝負が遂に決まりましたぁああああ!GF・K協会シンオウ支部主催、マスターランクコンテストを見事制したのは…――――聖蝶姫こと、ミリ選手だぁああああッッ!!!!』

「「「ワァアアアアア!!!!」」」












私は前に進む

皆と一緒に


その先が茨の道でも、闇の道でも


私は前に、突き進むしかないのだから







(おめでとう、みんな)(そして、ありがとう)


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