場所は変わって、ここは最深部 「サー」 「…洞窟に入ってきた侵入者が、どうやらあの渦潮付近に着いたとサーナイトが言っています」 大きなクリスタルの前 眼前に広がる、ポケモンが無残にも戦闘不能になり倒れている姿 「そうか。意外と来るのが早いな…野生のポケモンにでもてこずっているかと思っていたが」 クリスタルの前に立つ、一人の青年 白銀の髪をした青年は、綺麗なカシミヤブルーの瞳を持ってクリスタルを見上げていた 「大方察しはついているかと思います」 「あぁ。――あの御方が、いらっしゃるからだろ?」 ニヤリと口元をつり上げる顔は、誰かを連想する 喉の奥で笑うのも、似過ぎていた 「サー」 「その侵入者はどうやら渦潮付近に止どまっているそうです。――あの御方は、私達の存在に気付いた様です。サーナイトが言うには…仕掛けていた装置の存在も、気付いている様で」 「ククッ…そうか」 青年は笑う 瞼の裏に浮かべる、あの御方 面白そうに、愛しそうに ――瞳に、愛憎と狂気を浮かべながら 「早く、会ってみたいものだな」 その青年の姿を――軍服を身に纏い、紫色のメッシュを垂らした男性は静かに見つめる。闇色の瞳、光りに照らされ赤と橙にグラデーションに輝く闇色の長い髪が、後ろに縛った腰まである長い髪が、靡く その傍らにいるのはサーナイト。ただ静かに――自分の主である青年を、見つめていた 「サーナイト」 「サー」 「念力で設置しておいた"アレ"を奴等に。一瞬で、海の中に消えてくだろうな。あぁ、勿論あの御方には溺れても傷一つ負わせず死なせない様に、な」 「サーナイッ」 「お前はあのお方を、俺に ――良い奴を演じろよ?ガイル」 「承知した、我が主――ゼルジース=イルミール様」 青年、ゼルジース=イルミールは 不敵な笑みで――笑った → |