ポケモン達と別れたミリ達はまた最深部へと進んで行く。丁度ここら辺に入ると、ポケモン達の姿は殆ど上の階に居るらしく、歩く先にはポケモンの姿は一切見ない。此処で一度配置をローテーションして、また当初の位置へと戻る 「ポケモン…(´A`)」 ポケモンが出て来なく、無理矢理元の位置に戻されたミリは少ししょげていた← そんなミリを置いておき、三人はズンズンと進んで行く(そしてミリはレンに引きずられて行く)奥に行けば行くほど、道が荒れ、気を許せば迷ってしまいそうだ 「洞窟に入ってから一時間、か…」 「このどうくつは複雑だからね…少し行けば川がある。そこを渡って行くとさらに道がある。けどその川も海から入ってくる川だからかなり急だ。水面を走るスイクン二匹がいれば問題はなさそうだけど、油断は禁物だ」 「鍾乳洞だから上からの落石にも気をつけた方がいいだろう」 レンの言う通り、時刻はもう一時間を軽く越えている。これが外だったらもうじき夕方に差し掛かる時間だ カツラの言う通り、耳を澄ませば水の流れる音が進む事によって大きく響いてくる。よく澄ませば川の流れが速い ゴウキの言う通り、自分達が歩く道の上には恐ろしい程に沢山ある氷柱の様に鋭い岩。大きな衝動が起きれば刃となって降り注ぐ勢いだ 「あらー、確かにこれは凄いね」 上を見上げながら歩くミリ 「シロガネヤマも凄かったけど此処も凄いね!あー、あー…、うわー声が反響する!凄いよ刹那!」 「おま、緊張感ねぇな」 《………》 さっきの配給おばちゃん状態が抜け出せきれずにいるらしく、気分は何処か遠足状態。ルンルンと興味津々と回りを見渡すミリに刹那は何とも言えない表情で見つめていた 「こんな面白い所があるんだったらお弁当持って来れば良かったね、刹那」 《主、緊張感》 「えー?だって洞窟連想すると刹那が浮かんでくるんだもん。ほら、お弁当つまみ食いしていたし?」 《私=洞窟=弁当=つまみ食いなのか。初めて聞いたぞそんな方程式》 「ん〜…?むしろ "弁当×洞窟y=刹那" で "y=つまみ食い"?」 《ほう》 「納得するな」 「(…連立方程式とか懐かしいな…)」 「(緊張感ないな…ははっ)」 しかしそんな穏やかな雰囲気も消え失せる 「これは…流れが速いな」 「想像以上、だな」 凄い勢いで大量の海から入ってくる海水が、渦潮となって存在を主張する 海水が岩膚にぶつかり、轟音が鈍く轟く 「これは…前より勢いが凄いな…」 カツラは一人、呟く 足を一本水に漬けただけでも引っ張られてしまいそうな勢い。しかも薄暗い為、身体ボチャンしたら…果たして救い出せるのだろうか 水飛沫で先程より気温が低下している為、寒さにミリは小さくくしゃみをする 「…………くしゅん」 「ミリ、」 「あ、大丈夫………くしゅん」 「ほらみろよ。ちゃんと着とけよ」 此処までくる間、ミリの肩に掛かっていたコートを、レンは襟元をキュッと引き寄せる。腕を通していないコートを、ミリは中から脱げない様にしっかりと握る 体調が優れないだけあってこの寒さは肌をさす。プルプルと震えるミリはまさにチワワの様だ(それを黙って見ているレン)(手を動かせ 「…おかしい、前まではまだ穏やかな流れだったはず…」 「これじゃスイクンでも海面を走るのは難しいものがあるぞ、カツラ」 「波の勢いにスイクンが巻き込まれるのがオチだな」 さて、どうするか…と悩み始める三人 その三人を視界に入れながら、荒波を見つめる。すると不意にしゃがみ込むと、湿った土に手の平を置いた 瞳を閉じて、全ての音をシャットアウトさせ集中し始める。ピクリ、と小さく眉が顰められ…ミリは小さく呟く 「刹那、」 《何だ?》 「……何かあったらすぐに三人を守って。貴方のバリアーなら、水だってどうってことないでしょ?」 《…………。確かに私のバリアーだったらこの荒波を抜け出せる事は出来る。主の命ならば三人を守ろう、が…いきなりどうしたんだ?何故、そこに主が加わってない?》 「………地下に、誰かいる」 《!》 ゴォオオオ!と物凄い音が轟いているお蔭で、ミリの言葉は三人には聞かれる事は無かった 《それは、》 「…誰かが私を待っている。それはふたごじまで刹那と会った時と境遇は同じ。此処に着いたらソレは大きくなった。ナズナさんが、私を呼んでいる」 《ならば、その敵は?》 「分からない。けど…物凄い"力"を持った人間が、二人。…人間にしてみれば、どうして物凄い力を此処まで感じ取れるのかは分からない…でも、その二人は最深部にいる。…ナズナさんが、危ない」 ミリは静かに立ち上がり、ポンポンと地に付けていた手を払う その顔は至って冷静沈着、瞳は真剣そのもので――ミリは改めて刹那に言った 「刹那、必ず三人を守りなさい。バリアーで彼らを包み、そのまま最深部に向かいなさい。…もし、私の身に何かが起きても、けして彼らをバリアーから出してはいけないよ」 《…承知した、主》 ピシィィイ―――― 何かが、亀裂が走った音を、ミリは聞き逃さなかった → |