「…相変わらず、雰囲気が違う」






スイクンの背に乗って、数時間

今私達がいるのはハナダシティにある、あのハナダのどうくつがよーく見える岸にいる。前見た時と変わらずにあるソレは、ひしひしと威圧感を感じさせる。やっぱり回りには人はいない

私達の回りにも人は居なかった。私とゴウキさんの漆黒の髪とレンの白銀の髪が海風によって靡き、カツラさんの頭が海の光の反射でツルンと光る(ねぇ、笑ってもいいですか?←






「しかし何故ハナダのどうくつなんだ?」

「傷だらけでやってきたナズナのポケモン達が此処を選んだんだ。理由は分からないが、彼らは今もずっとこの奥にいる。食料を大量に置いておいたから餓死する心配はないと思うが…無事だろうか…」

「ナズナの手持ちが強ければ、あのハナダの洞窟にいる野生の連中にも太刀打ち出来るだろうぜ」

「……………」






最後の記憶の光の欠片



ハナダのどうくつの、最深部






「……そうだとは思っていた」

「…ミリ?」

「初めてこのハナダシティに足を踏み入れて、あの洞窟を見て……何かがある、そう感じた」

「それは…」

「強いポケモン達の存在とはまた違った様な…二度目に訪れた時はそれはひしひしと感じていた。やっぱり何かがある。…ビンゴって事だね」

「…………」






ちなみに二度目の時はカスミにお願いというか懇願しに行った時なんだけどね。え、あぁレンの事をね。レンに自分の存在言わないで〜みたいな

わー、なんだかとっても懐かしいなぁ〜(本人に言ったら殺されるあはははは←






《ナズナからは聞いていなかった最後の器が、此処にあるのか…》

「刹那、君は最後まで見たと言っていたけど…具体的にはどこまで見たんだ?」

《…最後、と思っていたが訂正した方がいいな。私が見たのは…ナズナの身体が眩い光に包まれた時、光の球体が現れた。ソレは五つに分散し、飛び散った。私はその一つの光に飛んで行ったが…それ以降は、》

「分かった。ありがとう刹那」





姿を消した刹那は言う





「…でも、途中まではいたんだろ?」

《あぁ》

「だったらナズナをソレにさせた敵を見たはずだぜ?…そろそろ、教えてくれたって良い気がするぜ?刹那」

《……………》






レンの問いに刹那は無言を通す。相変わらずな反応にレンは溜め息を吐く

確かに最後まで刹那がその場にいたら、ナズナさんを陥れた張本人がいて、刹那はその存在を見ている事になる。――当初、刹那が仲間に加わり改めて情報交換をしあった際、レンは同じ様に刹那に問い掛けた事があった。勘が鋭いレンだからこそ、重大な話に気付いた。それは私も同じ気持ちだった――でも、あえて私は今まで一度も刹那には聞かなかった。全てはナズナさんと再会した時に分かる事――私は刹那の言葉を待った






「ったく…相変わらずだんまりかよ。何度同じ台詞を言わせんだよ、刹那」

《…………》

「一週間もゴウキと居たせいで無口にでもなっちまったか?」

「おい白皇どういう意味だ」






でも刹那はその質問には答えなかった


いや、答えられなかった




私には分かった

刹那の纏うオーラから感じ取った、感情





"レンだけには教えてはいけない"












「まーまー、良いじゃん!敵はナズナさんから語られるじゃん、大切な話はとっておかないと。刹那が可哀相だって」

「お前はそうやっていつも刹那の味方をするんだよな…良いじゃねーかその方が手っ取り早いだろうが」

「レン、君はどうやら…漫画の結末を最初に読むタイプみたいだね…」







何でレン限定なのかは分からない



でも、私はこれだけは分かる








「よし、そろそろ最深部に行くぞ。夜になる前には"器"を取りに行かないとな。夜の洞窟ほど危ない」

「後、洞窟は冷え込んでいるから…特にミリ君は着込んで行った方がいい。それに洞窟は崩れやすい、道にも迷いやすいから私の後ろから離れない様に」

「あぁ、分かった。野生のポケモン達もいつ出てくるかは分からねぇから、気を付けねぇとな」







待ち伏せる"敵"は




レンと――深く、関係がある








「ミリ、俺のそばから絶対離れるなよ」

「――離れないよ、絶対」








嫌な予感が、



私の心を――不安にさせる








「行くぞ」







この時から




レンが絶望への階段に登っている事に






まだ…気付かないでいた










(そして私達は最後の砦に足を踏み入れた)



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