腕に白亜、頭に黒恋を抱えて戻って来たのは研究所の前。そこにいるのはゴウキさんとカツラさんと刹那。自動ドアから出て来た私達を三人は迎えたが…






《………》

「………お前って奴は…」

「レ、レン…その頬にある人の手の形をした紅葉形は一体…!?」






私の隣りを歩くレンの頬には、紅葉が一つ






「あー、気にすんな。……気にしたら負けだ」

「そうですよー気にしたら負けですよー(超棒読み」

「……そうか、負けてしまうのか…」






不機嫌そうに眉を潜めて、痛そうに頬を擦るレン

……何処か満足したような、それでいて清々しいオーラを放っている人なんて私は知りません






「カツラ、この場合は放って置けば良い。直に収まる」

「君も…苦労してたんだね…」






小声で話し合う二人の会話も知りません←






「ブイブイ!」
「ブーイ!」

「はぁ…君達は時と場合によっては救世主だったりそうじゃなかったり…助かった様で悪化した様な…」

「「ブイ?」」

《どうやら一騒動あったらしいな》

「なんでもないよー、うん」






この子達の気配に気付かなかったにせよ、まさか良い具合にレンの顔が私の胸に…っだぁあああああ!!////(自分で思い返して赤くなる奴

反動でギュゥゥと白亜の抱き締める力を強くしてしまい、「ブィィィ…!!」と呻く白亜。気にしない(まて)。白くてふわふわする白亜の頭に顔を埋める私に…ある意味で元凶な奴が話しかけてくる






「あー…ミリ」

「…………(ぷーい」

「……ミリ〜」

「………(ギュゥゥ」

「ブィィィ…!?」

「……………」






レンの問い掛けに一切返答を返さない私。背を向けて、話しかけんなゴルァと訴える。声を掛けても返答しない私に、後ろで髪をガジガジ掻いて溜め息を吐く声が聞こえた


ちなみに犠牲者は白亜。ごめん←






「その…アレだ。事故っちゃ事故だったが…悪気はなかった。…悪かった」

「………………(つーん」

「……反省はしてる」

「………………(つーん」

「後悔はしてねぇ」

「ちょっと待て」






その最後の言葉は要らないから






「…清々しく言う台詞でもないと思うぞ、それ」

「…良い性格をしているんだね、レンは」




「やっーと振り向いた。いい加減機嫌直せって。白亜が窒素しちまうぜ」

「紅葉を咲せたセクハラさんに言われる筋合いはありません。白亜は大丈夫、生きてるから全然平気」

「Σブイ!?」

「その紅葉をつけられた俺はマジで痛かったぜ?…ほら、とにかくさっさと機嫌直してハナダのどうくつにでも行くぞ(ニヤニヤ」

「ニヤニヤしないで近付いてこないで……っ暫く私を放って置いてぇええええ!!この…ふぶっ!」

「分かった分かった」






白亜を盾に瞬発力を付けて離れようとした矢先、行動を読んでいたらしく、逞しい腕が私の首に回し、引き寄せる。簡単に引き寄せられた私はジタバタともがく。もがけばもがく程、首に回す腕が力を込められる。このっ、相変わらず力強いな!あ、しかも白亜逃げやがった!

絶対抜け出してやるんだからセクハラエロキス大魔王めとジタバタする私に、後ろの頭上から小さく笑うのが聞こえる。余裕だなコイツよーし分かった覚悟しろ!…て思っていた矢先、頭に柔らかい感触と共にチュッとリップ音が

ピッキーン、じわじわと頬が紅潮すると同時に身体が固まった。棒の様に動けなくなった私にレンはまた笑い、後ろを向いた






「…白皇、舞姫は落ち着いたか?」

「なんとかな。手の掛かる奴だぜ」






待て、どうして原因が私になっているんだ






「中々仲睦まじい姿を見せてもらったよ。いやぁありがとう目の保養だった」

《今ので目の保養になるのか…?》

「ならそろそろ行くぞ。さっき話したが、カツラは俺のフライゴンで共に行く。白皇はどうする?」

「俺はスイクンの背に乗って行くぜ。…勿論、ミリと一緒にな。つーわけだからお前ら二匹はボールに戻ってろ」

「「ブイブイ!?」」

「あぁ、それとカツラ」






固まる私を引き寄せ、足元にいる黒恋の首を摘み上げたレンはそのまま顔だけをカツラさんに向ける

突然話しかけられたから、少しカツラさんがビビッたのはしょうがない







「何かな?」

「さっきの話、ナズナから貰った写真がある、って言っていたな。…その写真は今あるか?」

「いや、残念だけど今それは持っていない。…ハナダのどうくつの中に、アレと一緒に置いておいた」

「…そうか」






キュッ、小さくまた腕の力が込められる

少しレンの様子が違った気がした。レンを見上げるも、日光が邪魔で上手く見えない(なんてタイミングだ)し、レンの長い髪が丁度良い具合に顔を隠している(…髪の毛切ってやろうかな←


腕から感じ取れる感情が、さっきのレンと違っていて…気付いたら私はレンの腕をキュッと掴んでいた








「ん?どうしたんだ?」

「(あれ、戻った…?)」






見下ろすレンはさっきのレン

感じ取れる感情も、あれが一瞬だったかの様に何事も無かった様に…戻った


………何か、ある







「…ん、なんでもないよー。てかそろそろ離して欲しいかな〜、な〜んて」

「断る」

「あー、やっぱ?」

「当たり前だ。お前は俺と一緒にスイクンに乗って行くの。頬の痛みの分…ぜってぇー離してやんねぇよ覚悟しろ」

「覚悟までしちゃうの!?」







「話は着いたらしいな」

「ははっ…慣れるまで大変だな」

《慣れなくても良い気がするんだがな》






妙な予感が、した





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