……あれ、なにこの状況







「…………」

「あのー、レンちゃん?」



ギュゥゥゥゥ…



「うぐっ…ちょ、本当にどうしたのレンちゃん…くるびぃくるびぃっ」

「…………」






首と腰に腕を回し、後ろから覆い被さる様に…しゃがみ込む私を抱き締めるレン

逞しい腕は私を逃がさんとばかりに力を込められる。首に頭を押し付けるレンのサラサラの髪がくすぐったい。立ち上がりたくても、レン自身も私を覆い被さりしゃがんでいる状態だから立ちたくても立てれない



ちょ、これは一体どうしたんだ



話は一段落し、これからハナダのどうくつに向かおう…ていう時に白亜と黒恋の存在を思い出した私。カツラさんのウインディと一緒にどっか行ったのは分かっていたんだけど、とりあえず皆にはしばらく待ってもらって私は一人三匹を捜しに行ったんだっけ…?

捜しに捜していたら、えらい離れた部屋の隅で白亜の姿を見つけた。ゆっくりと近付いて白亜を抱き上げると、白亜はケラケラ笑いながらピョーンと腕を擦り抜けて部屋から飛び出して行く。あれ、これは遊んで欲しいのかな?とクスクスと笑う

後ろに近寄ってくる気配に気付かず…よし、しょうがないから遊んであげよう!と腰を上げようとした。視線を後ろに向けたら白銀が輝いた――けどガバッという音が聞こえたと思ったら…あれ、私なんでこうなっちゃってんの(かなり困惑


そして今に至る






「…………」

「レン…?何々?甘えたいのかな〜?ん〜?」



ギュゥゥゥゥ



「ぅぐ…それは否定の意味ですか肯定の意味ですか教えて下さいレンちゃん…!」

「…………」

「Σひっ…」





ペロッ、と首筋に這う暖かい何か。それが何なのかすぐに分かった。ゾクリと身体に震えを起こさせた

後ろを振り向きたくても向けれない。慌ててガッチリ支えるレンの腕を振りほどこうとしてもビクともしない。顔を上げたと思ったら…今度は首筋じゃなくて耳朶を熱い舌でペロリと舐めたじゃないか。流石の私も変な声を出して身体をビクッと震わせた






「…やっぱ耳が苦手か」

「ちょっ…こんな所でセクハラ!?ちょっとストップいい加減に……んゃ…!」

「…フー(息吹き掛ける」

「Σひぃっ…」






暖かい風が耳を霞む。しかも舐められた場所がもっと敏感になり、私の身体に鳥肌を立たせた

当の本人は後ろで声を押し殺して笑っている。…おいおい、君は一体何がしたいんだ。てか誰か助けて…!






「ん…レン…本当にどうしたの?」

「……」

「黙っているだけじゃ分からないよ?そしてセクハラもほどほどにね(これ重要!←」

「…………ミリ、」

「うん?」

「もう…あんな台詞を言うな」

「…あんな台詞?」






はて、私何か言ったっけ?


…あぁ、あの時言った台詞か

そういえばレンから凄い視線が痛かった…ギュッと握って来た手は、もう何も言うなって言っていたし…






「レン、私は自分の言いたい事を言っただけだよ。…レンがそんな風になる事はないんだよ…?」

「……………」

「…優しい人。私の為に心を傷めてくれるなんて」






レンは本当に優しい

相手の心の傷みが分かる人


たかが私の為に傷めてくれるのは忍びないけど…でも、気持ちを共有してくれる事に、私は何処か救われた気がした






「レン、大好きだよ」






目の前にある、首に腕を回しているレンのソレに触れ、キュッと力を込める。…相変わらずこういう台詞恥ずかしいなぁ…と若干頬を赤らめる私。うん、慣れない恥ずかしい(赤面苦笑)

そんな事を考えていたらまたギュゥゥと腕に力が込められる。でも今度はさほど苦しくなくて、後ろからフッとレンのいつもの笑い方の声が耳に伝わる






「大好き、か…。…俺は愛しているんだけどな」

「ぅ…ちょっとその台詞恥ずかしい、かな…!」

「ほら、言ってみろよ。大好きなら、愛しているって言葉くらい簡単に言えるぜ?……愛している。…ほら、」

「(ヒィィィィ!エロボイスで耳元呟かないのぉおお…!!!!)」

「言わなかったらこうだ。…フー(息吹き掛けるパート2」

「Σひぃっ!!」






何なんですかこのエロボイス尋問←






「わ、分かったから、それだけは…それだけはくすぐったいからやめてぇぇ…!」

「…しょうがねぇな。ほら、言ってみろよ。……何を言い、誰に向けて言うのか…分かってるよな?」

「う…」






この人絶対楽しんでいる

絶対楽しんでいるよマジで


てかエロボイス尋問いい加減止めて下さい貴方の声で力が抜けそうですフェロモン出さないで下さい(ノンブレス心の叫び←この時点で白亜の存在まる無視






「レ、レレレレ…レン!」

「…どもり過ぎだろ」

「Σう」

「……………」

「ぇ…っと、そのっ…!!」

「…………」

「………っレン、」

「…………」

「…愛してる」

「…………ッ!」

「…Σわ、ちょ……!?」






いきなり身体をグルン、と向けられ簡単に私はレンと向き合う形にさせられる

見上げたレンの表情は…口元に笑みが浮かんでいて、ニヤニヤしている。…でも私はそんな事よりもある事に気付く


嬉しくなり、こっちの口もニヤニヤし始めた






「レン…顔、真っ赤だよ」

「うるせぇ、気にすんな」

「フフッ、レーンちゃーん顔まっかー!…あ、逸らさないでよもっと顔見してって!レンちゃーん可愛い〜」

「フッ…そんなにキスが欲しいか。しかもとびっきり上等な「すみません調子こきました」ははっ、却下」

「ぁんっ…!」






あまりにも意外な一面と、その顔があまりにも可愛かったから…ちょーっとからかっただけなのに、こんな仕打ちは酷いと思います

しばらくレンの濃厚なキスで放浪され、やっと解放された。今回はやけにしつこくて、肩で息をしないと酸素呼吸が上手く出来ない。じとー、と見上げれば…当の本人は関係ねぇとばかりにニヤリと笑う






「なぁ、もう一度言ってくれよ」

「いーや!もう言わない!恥ずかしいからもう言わない!」

「んだよ良いじゃねーか。…なんなら、俺がお返しに言ってやるぜ。何度も、な」

「あぁぁぁエロボイスで不敵に言わないでぇぇ」

「フッ…ミリ、愛して――「「ブイブ〜イ!!」」ヘブッ!!」

「え、わっ、ちょっ…」













ドサッ






――――ムニィッ











「……ぁ…あ………ッ!?」

「………………ッ!!!」

「「ブイブイ!♪」」








背中には、冷たい床



目の前は白銀と、天井



こちらをニコニコして見下ろす白亜と黒恋







そして――レンの顔が…私の胸に――










(・_・)エッ......?






( ・_・;)エッ......?










( ・□・;;)エッ......?!











「ッ!!!ミリ!これは事故…」


「―――ッ、いやぁあああああああ!!!!」












お嫁に行けない…!






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