研究所の中でカツラは一人、いた。その手にある資料がパラパラと捲る音だけが、静寂の中に唯一響く。足元にいる、自分より大きいウインディが身体を丸めて静かに瞳を閉じている。大きな体格をしたウインディの背中を撫でながらカツラは読んでいた資料を机の上にトスッと置く

カップに手を伸ばし、口元に持っていき、特製のコーヒーに口を付ける。その時、ウインディが不意に瞳を開け、ドアの方に顔を上げ、向ける。ガルル、と唸り声をあげるがウインディの尻尾は嬉しそうにパタパタと揺らす。カツラはウインディの頭を撫で、席を立ち上がった

ガチャッ、と部屋の戸が人の手によって開かれる

ウインディが嬉しそうに鳴き、カツラは「おぉ!」と声を上げる。ドアから白と黒の物体が現れ真っ先にウインディに向かった。ウインディと白と黒の物体――白亜と黒恋が感動の再会を味わう姿を横目で見ながら、カツラは現れた三人を出迎えた






「元気そうでなによりだよ、レン、ミリ君、ゴウキ。久し振りだな」

「よぉ、電話だと昨日振りだなカツラ」

「お久し振りです、カツラさん」

「久しいな、そっちも息災でなによりだ」

「待っていたよ三人を。まずはソファーに座ってくれ。マサラからでも遠かっただろ?ゆっくり休んでくれ。茶を出そう」






レン、ミリ、ゴウキをカツラは快く出迎える。部屋に入って来た三人をさっそくカツラはソファーに腰を掛ける様に促す

「手伝います」とミリが腰を上げるもカツラはやんわりと断りを入れる。具合が悪いのはレンから多少なりとも話を聞いていた。断られてもどうしようと立ちぼうけを食らうミリを、レンは座らす。…しかも勝手な行動をしない様に手をガッチリと繋げさせる辺り、レンも色々学んだのか…カツラに恋人と自慢したいのか←






「レンはコーヒー、ミリ君はココアで良かったかな?ゴウキ君も、レンと同じコーヒーで良いかい?」

「あぁ、よろしく頼む」

「カツラさんの淹れるコーヒーやココアって美味しいんだよね〜」

「はは、嬉しい事を言ってくれるね。光栄だよ。…そういえばレンから聞いたよ、二人は無事カップルになった様だね。おめでとう」

「えΣ(゜v゜*!!?」
「( ̄∀+ ̄)ニヤリ」
「(  ̄_ ̄)=3」

「…おぉ、手も繋いで。最近の若者はいいね〜うんうん」

「……レーンちゃーん!?」

「んだよ、本当の事だろ?何照れてんだよ、ミリ。自慢しても良いじゃねーか。ん?なんだったら此所でキスしても良いんだぜ?(ニヤリ」

「それはアカンでしょ!?」

「そういうのは余所でやってくれと何回言わせるんだ白皇」

「君達仲が良いね」

「あ、カツラ。ミリに手を出したりしたら殺す。半径一m以上近付いたらエルレイドのみねうち絶対だから覚悟しろよ」

「レン!!!?」









既に一m以上近付いていたりする






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