機嫌直しにとわざわざ買った特大ハーゲンダッツ(クッキー&バニラ味)をそれぞれ全員分に分け与えておやつタイムになってから数時間後



ちなみにミリがハーゲンダッツの存在に気付いたのは、次の日の正午近く

お昼も食べ終え、糖分摂取をして心と身体も満たされ、ご機嫌なミリ。甘い物が好きな白亜、黒恋、刹那、アブソル、ハピナス、フライゴンなんか幸せいっぱいな顔して仲良く日向ぼっこをしている。甘い物がわりかし平気、もしくは苦手な者達はそんな彼らに苦笑を零す。何せ彼らの幸せの中に自分のアイスも加わっているからだ。アイスが食べれなかった者達がアイスを譲ってみればすぐさまアイスが無くなるという手早さに感服する

対するレンとゴウキもそれは同じだった。食べるか、と言った張本人レンは甘い物が苦手(そもそも嫌い)、ゴウキは食べれるには食べれるが好き好んで食べるわけでも無い為、彼ら二人のアイスは殆ど手付かずのままミリに流れていく。満月の影響で食欲が減少し、食べ物に喉を通していなかったミリだったがアイスは嬉しそうにペロリと完食。アイスを口に含める度に、幸せそうな笑みが小さく零れる

この一週間、ミリと一緒に共に過ごしたレンはミリが今まで食べなかった姿を知っていた。知っていたからこそ、ミリが嬉しそうにアイスを食べる姿を見て、やっと安堵した。その後の昼飯も半分だったがしっかりと喉を通してくれた。美味しそうに噛み締めて食べるミリをレンは嬉しそうに見つめていた

食べ終えて食器の片付けに取り掛かっミリにレンはゴウキやポケモン達のいる前にも関わらず、嬉しさのあまり抱き締めた。頬にキスしたもんなら流石のゴウキも「そういうのは余所でやれ」と空手チョップを決め、ポケモン達に笑われるハメになった(ミリは顔真っ赤



















「ふぁ…眠くなってきた…」





勿論久々に甘い物、しかも量多めにご飯を食べれば糖分が脳に満たされ、隠れていた睡魔を呼び起こす

しかも窓の外を見れば甘い物大好き軍団が仲良く寄り添って眠っている。そんな姿を見ていればこっちまで眠くなってくる。欠伸を噛み殺すミリに、蒼華は近付いた






「…」

「ん、大丈夫。ゴウキさんが来てるんだもん、私が寝ちゃうと話が進まないよ」






昨日―――


帰宅してからというものの、ミリが待ち受けていたのは二人の尋問ならぬ質問攻めかと思いきや、いつも通りの、三強として過ごしていた日常と変わらず…ゴウキもミリに何も聞かず普通に「おかえり」と待っていた

怒られると覚悟は決めていた。身勝手な、しかもこの一週間を無駄にした行動は流石のゴウキも堪忍袋の尾が切れるんじゃないかと思っていたのだ。あのレンが怒らなかったのも、不思議なくらいに

とりあえず次の日に、話を切り出そう。そう思っていた。しかし睡魔が瞼を霞めている状態では言うにも言えない…






「…」

「ふわぁっ…」






今ゴウキは食後の運動がてら庭でカイリキーとエルレイドと一緒に組み手をしているのが此所から見える。ポケモン二匹に生身で相手をこなすゴウキを尊敬する。一度、いや数回一戦を交えた事があるがゴウキの実力は相当なモノだ。人間が束になっても一生彼には勝てないだろうな、とも思うミリだった

そしてレンはそんな彼らの姿を窓辺で眺めていた。よくやるよなぁ、とぼやくその表情はこちらからは見えないがうんざりしてるのは声のトーンで分かった。そりゃそうだ、レンは何度ゴウキの組み手に付き合わされグッタリさせられたか…。「組み手を怠ったお前が悪い」とか言って自業自得だとゴウキに言われているが、それは理不尽だと思うミリだった。お蔭様で体力も前より付いて足蹴りの威力も強くなったレンだったが…だからって喧嘩をする時に発揮されても困るが←


ミリの視線に気付いたレン。庭から視線を外し、膝を折って立ち上がった。ソファーに座って蒼華の頬を撫でながら自分を見るミリの隣りに座った






「ミリ、眠いのか?」

「レン」






隣りに座った事で体重が掛かり自分の身体が少しだけ傾く

ポンッ、と頭に暖かな温もりが乗り、くしゃりと優しく撫でられる。気持ち良さにミリの目が細くなる






「久々に沢山食ったから眠くなったんだろ?ま、それにまだお前病人だし」

「大丈夫だよ、それにわざわざゴウキさんが来ているんだし」

「アイツなんて別に気にしなくて良いぜ。それにゴウキが加わっても今更だろ。…そういえば、ゴウキがいたあの時は昼寝とかしていなかったな…」

「…(コクリ」






それはまだ三強として過ごしていた数週間

確かにレンの言う通り、ゴウキの前で昼寝なんかしなかった。むしろそんな隙を見せる様な事はしなかった。ゴウキといえど、レンとは違って深い関係では無かったし、長年の癖のせいでもあった

勿論レンの前でもその様な姿を見せない様にしてきたが…入院し、目が覚めてからセンターを発つ数週間の内に何度か見られている為意味は無くなったが






「…」






蒼華はミリを見て、それからレンを見る。二人を見比べると踵を返し、ソファーから離れる

頬を撫でていた存在がいきなり去って行った事に首を傾げるミリ。そんな中、蒼華は窓辺で眠りかけている時杜の身体を咥え、庭の方に出て行く。紐を巻き付けるんじゃなくて咥えて持って行った…、と多少ツッコむ場所が違うミリに、レンは蒼華を見て喉の奥で笑う






「気を使わせちまったみたいだな」

「…?」

「丁度部屋には誰も居ない、ソファーは背を向けている。…うってつけだな」

「レン…?」






ブツブツ呟くレンにミリは頭をまた傾げる。…同時に、嫌な予感を感じた

こちらを振り向くレンの表情はニヤリと口元を上げている。ミリはヒクリと口元が揺れた






「眠いなら二階に連れてってやるよ。…勿論、姫抱きってやつでな」

「あ、あのレンちゃん…どうして顔が近付いて…?あれ、わっちょ…!何で私押し倒されているのかな…!?」






滝汗、いや冷や汗をかきながらミリはレンの下で言う

悪戯を企んだ顔をし、ニヤニヤと口元をつり上げたと同時にレンはゆっくりとミリの顔を近付ける。その先をすぐに予知したミリは逃げようと試みるが時既に遅し。肩を押さえ付けられれば簡単に身体が傾き、普通ならば人が座るはずだろう場所に、自分の背中がつく

ソファーの背垂れは残念ながら、庭の方を向いている。弾力があり座り心地の良いソファーは簡単にミリを沈めた。しかも座高が高い為、庭にいる皆には…これからする事なんて、見えるはずも無い

少しずつ頬を紅潮させるミリを見て、レンはニヤニヤ顔からフッと笑う。顔を近付け、チュッと首筋にキスを落とせばミリはビクッと身体を震わせた






「…可愛いぜ、ミリ」

「ん、ちょ…レン?急に何…」

「あー、アレだ。俺も食後のデザートが欲しい」

「しょ、食前にアイス食べたよね…!?」

「アイスはお前が食っただろーが。食前にも食後にもなんねぇよアイスなんざ。それにゴウキが居るとかなりお預け食らっちまうし…






…俺が欲しいのは柔らかくてアイスよりも甘い、お前の唇だけだ」

「レ……っ!!///」











結局腰が抜けてレンに運んで貰いました。すっごく満足な顔をしてました。対する私は生気が魂となって抜けた気分になりました←





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