「…変わったな、部屋が。いや、家の中全部が」 「変わり過ぎたと思いますよねー。家の持ち主の私でさえびっくりですよ」 リビングに通されたゴウキが部屋の変わり様に驚く姿をミリは苦笑を漏らす 「リフォームにしてはなーんか慣れないって言うか…でも前より居心地が良くなったのは確かなんですよ。そう思うと此処まで変えてくれたレンに感謝って思いますねー」 「(…いや、これは完璧に一緒に住むつもりでいるぞ。絶対に)」 「黒恋、前と比べて良くなったよね〜?」 「ブイブイ」 ソファーに座るゴウキの膝の上には黒恋が座り、ミリの頭上には何故かジバコイルがジバジバと浮かんでいる。アブソルはミリの足元に擦り寄りながら寛いでいる。ちなみにレンはミリを押し切ってお茶の準備に取り掛かっている。その為白亜はレンの肩に乗って寛いでいる 他のポケモン達は庭にいる 時杜を頭に乗せた刹那、蒼華とスイクンとエルレイドとトゲキッス、それからカイリキーとアーマルドとトリデプスにフライゴンと三人の手持ち総出は思い思いに寛いでいた。ゴウキの手持ちを加えた新顔達は一週間もすれば既に溶け込んでいた 「…確かに以前来た時のあの生活環境の無さすぎさと比べれば白皇のした行いは褒めるべき事だが…」 「あ、あはは…やっぱり生活環境無さすぎでしたか…」 「何だよゴウキ、その気に食わなさそうな引きつった顔は」 淹れたてのコーヒーと紅茶をお盆の上に乗せて現れたレン。肩に白亜を乗せる彼の表情はニヤニヤとしている。ゴウキの言いたい事が分かっているんだろう。ゴウキはそんなレンに頭を抑えて溜め息を吐いた 「…白皇、見た事ある道具やらなんやらがある気がするんだが…俺の気のせいだろうか?」 「時杜は本当に良い奴だぜ。俺の家から道具を運ぶ為の空間を開いてくれたぜ」 「その家はどうするんだ?」 「さぁな。アレは別荘な感じで良いんじゃないか?元々アレは親の残した家だ。売りとばすのもなんかもったいねぇし」 「…計画は順調の様だな」 「まぁな」 他人に鋭く自分関係に鈍感なミリは勿論二人の会話の裏なんか知るはずも無く、レンから受け取った紅茶をちまちまと口に含んでいた← 「うまー(´`)」 呑気過ぎる 「それで舞姫、体調の方は大丈夫なのか?」 「はい、この通りすこぶる元気に「あー、駄目だ駄目だ。コイツまだ全然病人だから駄目だ」…ちょ…私に対する質問に何でレンが答えるのさ…」 コーヒーと紅茶を飲み干し少し休憩を取った三人。早速本題を持ち出し質問をしたゴウキにレンはバッサリと斬る 「今コイツは見た目元気に見えるが体調に波がある。ヤバい時は本当にヤバい。そんな中での"記憶の光の欠片"を探すのは難しいぜ」 「何を言うレン!私は大丈夫だっt…(モガッ」 「シロガネヤマは山だけあって体調を崩しやすい。いくら時杜の力があってもシロガネヤマに着いたら気候悪化でそれこそヤバい。只でさえ体力消耗してんだ、山に行ったら絶対へばる」 「いや、だから大丈夫だっt…(ムグッ」 「なら仕方無いな。シロガネヤマは俺と刹那で取りに行く。白皇、お前はどうする?舞姫と残るか?」 「いや、今回は俺も行く。しばらく俺もバトルから身を引いていたからな、シロガネヤマで手持ち達の調整も兼ねてお前らの後を追う」 「あ!ちょっとレンだけずr(フブッ」 「つーわけだからミリは此処に置いて行く。それで良いな?」 「あぁ、構わん」 「(モガー!!)」 口答えするミリの口を手で何度も押さえるが、最終的には自分の所に引き寄せて口答えさせない様に胸元に押し付ける。真剣な顔をしてゴウキと会話をしながらそれをこなすレンはある意味強い 自分は平気だと主張したいのに完全に蚊帳の外なミリは対抗したくてもレンの手によって阻まれる。尚且つ、ゴウキなんて見事レンの行ないをスルーして真面目に会話に参戦している。こちらもある意味、強い 「なら申請が通り次第そっちに連絡を入れる。俺達はリーグのゲートからシロガネヤマに向かう。お前の分の申請が降りればゲートから、降りなければ時杜の力でシロガネヤマに来い」 「分かった。待ち合わせ場所はシロガネヤマの入り口で良いな?まぁその時にポケギアで連絡しあえば良い」 「あぁ」 「…むー…(-"-#)」 着々と話を進めていく二人にミリはふてくされた様にレンの腕の中でモガモガともがく。一向に手を放さないソレにミリは眉間に皺を寄せる てかもう、この時点で既にふてくされていた 「モガー(黒恋、)」 「ブイ」 ガブッ 「い゛!?」 「ブイブイ!」 「ぷはっ、苦しかった」 ゴウキの膝の上にいた黒恋がピョーンとミリの膝の上に飛び乗り、その小さくも鋭い刃でレンの腕(リストバンドの上)にガブッと噛んだ リストバンドをしていてもやはり痛みはやってくる。痛みで腕を離したレンからいそいそと逃げるミリ。このっ、と黒恋に制裁を加えようとするレンを追い討ちをかける様に黒恋の尻尾が頭に直撃する(アイアンテールじゃない分まだ救われているがやはり痛いものは痛い 痛みに呻くレンを黒恋は勝ち誇った笑みでレンの頭の上でポーズを取る。今までの分の仕返しを出来たみたいで顔が満足に輝いている そんな黒恋をミリは抱き上げて、頭を撫でる。嬉しそうに擦り寄る黒恋に白亜はピョーンとミリの頭にしがみつく。白亜を支えながら立ち上がり、てくてくとリビングから立ち去ろうとするミリにレンは慌てて声を掛ける 「ミリ!」 「どーぞ二人でお話し合いを進めちゃって下さっても構いませんよ〜、えぇどうぞどうぞ。行けない私は関係ないから退場させて貰いますから〜」 「おいちょっと待てよ、誰も関係ないとか言ってねーだろ…ヘブッ!」 「キュー」 「…」 「ジバジバ」 「フィー」 「時杜、蒼華。部屋に行こうか。ジバコイル、アブソル、君達も良ければ一緒に部屋に行こっか〜。ゴウキさん、ジバコイル借りますね〜」 「ジバジバジバ(嬉」 「フィー(嬉」 「あ、あぁ…」 ゴウキは気を視て理解した ――アレは、逆らってはいけない 顔は笑顔なんだけど彼女を取り巻く雰囲気というか気というかオーラというか威圧というか…なんかそんなものがズモモモモ、とあった。一言で言い表せば彼女は怒っていた。そんな事は知らないレンはミリを止めようとアブソルの下でもがき、賢いゴウキは何も言わずに去って行くミリの背を見つめていた ミリの後を嬉しそうに追い掛けて行ったアブソルを、解放されたレンにゴウキは言った 「過保護になるのは構わないが、やはり舞姫の意見を聞くべきだったな」 「ったくアイツ…別にそんな事一言も言ってねぇのに」 「少しそっとしておけばいい。触らぬ神に祟り無し、だ」 「…やっぱ、怒ってたか?アイツ」 「あぁ」 「……後でハーゲンダッツでも買ってきてやるか…」 「…今の台詞で幸先不安になってきたぞ…」 (この後後悔をするハメになる) |