「え……?」 目の前に光強く輝くのは白銀の光。光は上からゆっくりと降りてくる。白銀の光が辺りの闇をも、鈍色に光る鎖も、水面に見える自分の姿も、全てを照らした。久々に見る光は、ミリにはとても眩しかった しかし突如聞こえてきた声はミリの耳を疑った。もう一人の存在はその光を見て綺麗に笑った 『ほら、私の言った通りですよ』 オレンジの存在は嬉しそうに表情を浮かばすと、ゆっくりと消えていった 白銀の光の中にある存在 煌めくのは白銀の髪 逆境で妖しく魅せるピジョンブラッドの瞳 腕にあるのは輝かしいオレンジの光 「う、そ…」 「嘘じゃねーよ」 ミリの前に突如現れた存在 レンは、ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる 「どうして、こんな所に…!?」 「お前を此所から出す為だ」 「!?」 「こんな鎖…」 ジャラッとした音が響く それはミリの身体を無情にも巻き付いている鎖の音。ミリの正面に着いたレンはその鎖を手にして、勢いよく引き千切った ガシャンと凄い音が木霊する 鈍色の鎖は容易くレンの手によって形を砕かれ、水面の中に落ちていく。勢いは止まる事を知らずか、レンはそのままミリの巻き付いていた鎖の全てをその手によって全てを壊しまくった 「レン!?」 此所に来ただけでもびっくりなのに、まさかこの宿命の象徴でもある鎖を引き千切るレンにミリは驚きを隠せない 最後の一本を引き千切った時、ミリの身体はレンの腕に抱き締められていた 「ミリ」 「っ、レン…」 「こんな暗い場所に、しかも鎖に繋がれて……苦しかったな。寂しかっただろ?」 「!!」 「でも、もう安心だ。俺が、居る。…もうお前を一人にさせねぇよ、ミリ」 「―――っ!!!」 そう、彼はいつだって自分のそばに居てくれた。こうして危険を侵してまで――助けてくれた 込み上げる何かがミリの中に起きた。それはミリの冷めた心を熱くさせ、涙腺を脆くさせた ミリはレンの首に抱き着いた。レンは抱き着いてきたミリを、愛しそうに強く強く抱き締め返す 「レン…!!」 「ミリ」 「…馬鹿!どうして…っこんな所まで…危険な場所をどうして自分から…!」 「そうだな、俺は馬鹿だ。お前の言う通り、俺はどうしようもない馬鹿だ」 「どうして…!」 そもそもどうして彼がこの場所にこれたのか、ミリにはサッパリ分からなかった この闇は自分の中にある闇だ。他人からの干渉なんか出来ない筈 なのに何故、レンは自分の中に入ってこれたのだろうか。簡単には、いや、絶対に入れない筈なのに 「愛しているからだ、ミリの事を」 レンの口から告げられた言葉は、ミリに衝撃を与えると同時に思考を麻痺させた ――言葉の後にレンの濃厚な口付けを貰った時はなんとか言葉を脳に運ばす事が出来たが、だからといって信じられるものではなかったのだから 「……男は愛する者を助ける為なら危険を省みず助け出す」 「ふっ…ぁ」 「背負う業があるなら、俺も一緒に背負う。闇があるなら、俺も一緒に闇に飛び込んでやる」 「レ、ン………っん」 次から次へとくる濃厚なキスに、ミリの頭はもう真っ白だった 絡み付くキスは激しくも、何処か優しい…とろけそうな感覚にミリは酔い痴れる。力は濃厚なキスのお蔭で力は入らなかった。ミリはレンのキスに応えるのに精一杯だった 一本の糸が艶やかで、こちらを見るレンの瞳は優しくも妖艶で。対してレンを見返すミリは骨抜き状態で顔はトローンとしつつも、レンの言いたい言葉に顔を真っ赤に染め上げていた 何を言えばいいか分からないミリを見て、レンはいつもの笑みで笑った 「帰るぞ、ミリ」 ミリは小さく笑みを浮かべ、 頬に涙を零したのだった ――闇が光に照らされた → |