『力があると歳が取りにくいわ』

「Σっ!?」

『歳を取るスピードが遅くなるって言った方が良いかしら?(本当は歳取らないけど)寿命も長いからね、ある意味では得するかも…ってレンガルス、貴方何そんなに落ち込んでいるの?』

「俺は認めねぇ…!耐え忍んで育てる期間が長くなるとか、俺は認めねぇぞ…!いや、この際奪われる前に……いやいや待て俺、待つんだ俺。愛があれば耐え忍ぶ期間が長くなろうが関係無い…いやいやでも俺自身の地道な計画が…、むしろ理性が…!」

『………貴方も大変ね』









耐えてるんです



―――――――
―――――
―――










空は既に暗く、辺りは静寂



キラキラと輝く星々がマサラを照らしていた









「ほら、ミリ。空が綺麗だぜ」






二階の部屋の窓を見上げるレン


腕に眠る存在に優しく問い掛ける







「…本当に、綺麗だ」






窓から差し込む月光はレン、そして眠りにつくミリを優しく包み込む

月光でレンの白銀は淡く輝き、ミリの漆黒は艶やかに輝いた。レンはその艶やかな漆黒の一束を持てば、レンの手をすり抜けてサラサラと落ちていく。しばらくそうして遊ぶレンの口元は、優しい笑みが浮かんでいる






「そういえばミリ、お前こんな事言ってたな。"星は元々輝いていない。それは月の光で輝いている"って。しかもその後に"月も元々輝いてなんかいない。それは太陽の光で輝いている"…ってな」







博識なミリはふとした時にこうした面白い話をレンに度々持ち出していた。その話はレンにとって、とても興味深く…それを面白く語るミリが、好きだった








「レン、月は好き?」

「あ?月?…まぁ、好きかと聞かれたら好きな部類に入ると思うぜ。…何だミリ、藪から棒に」

「んー…レン、星ってどうして輝いていると思う?」

「星か?…さあな、どうしてだろうな。星なんざ、輝いて当たり前だと思っていたからな…理由は?」

「星が輝いているのは、月の光のお蔭なんだよ。月が輝いている光が、星という、隕石に反射されて私達の目に光となって映るんだよ」

「へぇ、あの星がな…」

「月もね、自分で輝いている訳じゃないんだよ。月も同じで、光あっての月なんだ」

「星が月なら…月は太陽か?」

「そう、月は太陽の光で輝いているんだ。地球より遥か遠くに存在する太陽は全ての銀河全体を照らしているんだ。勿論、それは月だって同じ。太陽が朝と昼を統べ、月が夜を統べる。でも、太陽は年中無休で活動している。太陽が有る限り光は何処へだって色々な物を照らしてくれる。…結局私達は、光が無いと生きていけないんだよ」












「不思議だな。互いに照らし合わされながら互いに主張し合うなんて、な」







未だに眠るミリの頭を、レンは優しく撫でる






「今なら…お前が言いたかった事が分かる気がするぜ」






撫でていた手を頬に滑らせ、そして顎を掴み、上を向かせた。容易く上に向かれたミリの唇に、レンはゆっくりとその唇と自分の唇を重ねる

小さなリップ音がこの沈黙の中に唯一の音となって響き渡る。短い口付けから、それから、長く…。只、唇を重ねるだけでも二人の間はとても時間が長く続いていた



















「…ミリ、そろそろ目覚めの時間だぜ」








長い口付けから顔を上げたレンの表情は、真剣そのもの







「ミリ、今からお前を助け出す。………フレイリ」

『えぇ』







頭の中で様子を見守っていたフレイリにレンは言葉をかける

見えない存在でもあるフレイリはレンの言葉に従った。言葉をかけた後、フワッとレンが左手首にはめてあるオレンジの腕輪が淡い光から強い光に輝きを増す。対してミリの手首にある白銀の腕輪も淡い光から強い光に輝き出した

オレンジと白銀の光は互いに尊重しながら光を増していった。部屋の中が二つの光でいっぱいになる時、レンの頭にフレイリの言葉が響く









『私が出来る事はこれが最後。これからは、貴方がミリを支えていくのよ』

「あぁ、分かってる」
『ミリを救うのよ。あの暗闇から、あの鎖から。貴方なら、解き放つ事が出来る。…後は、頼んだわよ』

「必ず、ミリを助ける」







腕に眠るか弱い存在


彼女がいる場所は、果てしない闇




彼女を闇から救い出して、また光の下で笑いあえる様に


レンはまさに、自分自ら闇に飛び込もうとしていた

















『ついでに頑張っている分、貴方ならあの子をどうこうしても構わないからVv』

「頼むから理性と緊張感を無くす様な発言は控えてくれ力が抜ける」






パァアッ―――





光が輝いた





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