かくして―――【盲目の聖蝶姫】の手持ち、【夢魔の影】と呼ばれし黒銀色のダークライの存在のお陰も相成って、敵の居所を見つけ出す事に成功したレン達一行はリーグや警察の捜査に大きな進展を迎える事になった






シンオウに戻ったナズナは、自分の研究所にある設備で改めて闇夜からもらったヘアピンを使い―――逆探知を駆使し、敵のアジトを見つけ出す事に成功した

この成果は瞬く間にリーグや警察、研究所関係者に知らされる事になり、サラツキ・ナズナという名前は有名になり、ナズナという貢献者を称えた。伝説のハッカー、【隻眼の鴉】であるナズナだからこそ出来た成果に、行き詰まっていた彼等の指揮を奮い立たせる事となる

ゴウキは警察の仲間達と共に現場に立ち、リーグと警察の仲立ち役として率先と担い、民間人やポケモンの安全を大優先にしつつも『彼岸花』突入・壊滅に向けて緻密に動く方針を固める

リーグもまたナズナの貢献、ゴウキの活動を踏まえてゼルの指示の元に動き出す事になる。『彼岸花』のアジトが見つかった以上、ミリを見つけ出す為にも是が非でも乗り込んででも見つけ出してやりたい―――特にジムリーダーや四天王、チャンピオンの者達はメラメラに燃え上がっている事だろう





レン、ゴウキ、ナズナ、ゼルがふたごじまを去ってから


さらに、一週間が経過していたのだった






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「――――ナズナさんの話はこちらにも耳に入っている。もしやと思っていたが、やはりその場にレンも動いていたか……結局、そちらに全てを持っていかれたってわけか」

「ま、そういう事だ。…あまり深く落ち込むんじゃねーよ。今の俺達は互いにいがみ合っている場合じゃねぇんだ、情報は共有してこそだろ?」





此処はカンナギタウンのカンナギ博物館

館内の、人気が少ない廊下の先にゲンとレンの姿があった






「……お前ら、まだあの別荘に住んでるのか?」

「あぁ。いつでもミリが帰って来れる様にな。…半壊になったミリの部屋、ダイゴの奴がまた新しく作り替えて今では元通りだ。まだ警察の許可ももらってないのに強行突破さ、ゴウキの驚いていた顔が忘れられない………」

「……マジかよ。流石金持ち、御曹司のやる事は分かんねーな。………………いや、ちょっと待て。そのダイゴと同じ様な事を簡単にしでかそうな奴を俺は知ってんぞ。…………身内に」

「身内か。というかその人確実に君の双子の兄だろ。総監の権力なら簡単にやりかねそうだ」





自動販売機の缶コーヒーを飲みつつ、二人は最近の近況報告をし合いながら―――ふと二人の脳裏に浮かぶのはダイゴとゼルの姿

御曹司で副社長のダイゴ、リーグ本部総監のゼル―――金の力、権力の力を駆使して不可能の事を可能にさせてしまいそう存在感を持ち、尚且ミリの事になると惜しみ無く尽くす。貢ぎそうな危うさをも持っている二人を、止められるのは自分達しかいない


二人は遠い目で溜め息を零した






「…いや、そんな事よりもそろそろ本題に入るぞ。ゲン、わざわざお前が俺を呼ぶなんざ情報を欲するかバトルするかどっちかだっただろ」

「情報欲するかバトルするかどっちか…ハハッ、違いないな」

「で?俺から情報を欲するんならちゃんと貰うモンは貰うぜ?なんせ貯めなきゃなんねーんだし」

「…貯める?何を?金にでも困ってるのか?」

「あ?決まってんだろ。結婚資「ちょっと待ってくれその先は言わないでくれ心の準備が出来てない」






平然とコーヒーを飲みながら爆弾発言を投下しようとしたレンに、ゲンはコーヒーを噴き出しつつ慌てて遮った

尚且誤飲したせいか噎せてしまったゲンの姿を―――レンは呆れた様子で見つめていた






「…お前といい他の奴等といい、いい加減認めろよ。あれから何年経ってると思ってんだ」

「レン……私に言う分にはギリギリ構わないが頼むから他の者達には言わないでくれよ…ダイゴやデンジが聞いたら荒れるぞ、色々」

「ハッ、知らねぇな。返り討ちにしてやんよ。…ま、安心しろ。耐え忍んで育ててんだ、結婚なんてまだまだ先の話だ」

「……、た…?」

「それにこの話は既にうるせぇ二人(※ゴウキとナズナ)に大反対されてるし、ふたごじまにいる自称家族の連中(※マツバやミナキやサカキ)に聞かれたもんなら吹っ飛んじまうな。島が」

「島」

「愚兄野郎がそこに混じったら消えるな。島が」

「消えるのか」






不敵な笑みを零しつつ、口にコーヒーを含めるレンの姿。脳裏にミリの姿でも思い浮かべているのだろうか。そのピジョンブラッドの瞳には―――数年前には無かった光を帯びていて

いつの日か電話での再会、そして三週間前の会合で再会した時に感じた波動からも気付いていた。ミリに出会った事で、自分は救われた、幸せになれたと。ゲンの眼には全てを見抜いていた

―――しかし、そのミリはいない

その現実が、レンの憎しみを増幅させている事にも気付いていた






「……どうやら本当に…ミリに出会った事で随分変わったんだな。波動を読み取らずともよーく分かった」

「否定はしねぇよ」

「………。しかしこのまま話を続けると私の精神衛生上宜しくないからさっそく話題を変えるとして、






―――レン。私が贔屓にしている情報屋として、調べてもらいたい事がある」








ゲンは内ポケットに手を入れた






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