暗い暗い、漆黒の闇 暗い暗い、暗黒の闇 「……………っ」 黒い黒い、切れない鎖 強い強い、斬れない鎖 私は、囚われる 私は、絡まれる 闇という、鎖に 過去という、鎖に 堕ちていく、落ちていく もう一つの、【昔】の過去に 「いやぁああああああ！」 ドカッ！ドカッ！と響くのは自分の身体が鈍器や人間の手で殴られる音 バキッ！と鳴るのは頬を殴られる音 ベチャ！と滑るのはドブの中に突き飛ばされた水の音 カハッ！と口から出るのは血 ダクダクと流れるのも、大量な血 「い、た、い…」 殴られる 蹴られる 犯される 「キモチワルイ子」 「悪魔の子」 「薄気味悪い奴」 「人間じゃない」 「魔獣の遣いめ」 「わたしは、あなた達と同じ…にん、げん…」 「キモチワルイ」 「魔女め」 「異端者が何を言う」 「まだそんな事が言える気力があったのか。屑が」 「おい、もう喋らせれねぇ様に喘がせて死なしとけ」 「おいおいコイツ、死なねぇぜ」 「ハッ、そうだったな」 「それこそ、キモチワルイ――」 他の人は持っていないモノを持って生まれた私 幾ら殴られても身体はすぐに傷を治し、あまつさえ人には出来ない事が出来た、私 傷が増えても痛みが増える 痛みが和らいでも、心が泣く 死にたくても――死ねない身体 「ほら、死にな！」 「悪魔のお前には立派な死に様だよ！」 「いや、やめて…お願いだか…っあぁあああ！！」 死にたい 死にたい 死にたい でも、生きたい まともな、ニンゲンとして 「だれか…たす、けて…」 誰か助けて 誰か私を、殺して下さい―― 「生まれてしまって…ごめんなさい」 虚ろな瞳 虚ろな思考 手に持った、鈍色に光るソレは―― →