フスベシティ、ポケモンセンター




映像付公衆電話前にて











「見つかった、のか…?」

『あぁ、なんとかね』







映像に映るのはマツバ


映像の前にいるのはレンとゴウキ







『でも…勘違いしないで欲しい。それらしき物を見つけただけで、三人が捜している物かどうかは分からない。"記憶の欠片の光"は曖昧だからね…』

「それでも見つけてくれただけで有り難い。俺達でもあやふやで曖昧なソレを…流石だ、千里眼のマツバよ」

「サンキュー、マツバ。曖昧でも助かった」

『力になれて良かったよ』






マツバに"記憶の欠片の光"の存在を明かし、初めてマツバにソレを捜す様に依頼してから、早くも数週間の月日が流れた

マツバがジムの仕事、修業に明け暮れながら"記憶の欠片の光"を捜している中、レンもゴウキもフスベシティのポケモンセンターを拠点とし、刹那と共にジョウト地方を飛び立っていた。ジョウトは山々が沢山あり、捜すにも範囲が広く、捜すにも困難を要した。丁度一通りのジョウトを改めて飛び回り、一息吐こうと休憩を取っていた時にマツバから一本の連絡が入った





内容は勿論、『見つかった』という嬉しい知らせ





本人は曖昧であやふやだ、と言っても見つけてくれたのには変わりはない。忙しい身なのに自分達の為に身を削ってまで捜してくれたんだろう。目にはうっすらとクマが見え隠れしている

しかしソレを見せない笑みを浮かべるマツバに、レンとゴウキは改めて感謝をした。感謝の言葉を述べ、頭を下げる二人にマツバは笑った







「…けど、良く分かったな。ゴウキの言う通り、俺達でも曖昧なアレを…」

「舞姫に見せてもらったアレは既にコンパクトになったビー玉だ。聞けばソレになる前は本当に光だと言っていた。…口で説明しただけだと分からないとこちらは思っていたが…」

『うーん、それが不思議なんだよね』






何とも言えない表情を浮かばすマツバに、レンとゴウキは疑問を浮かばす






「…勘、まぐれ、とか?」

『最初はそう思ったんだよね。…でも、アレは不思議な感覚だったよ』






マツバは苦笑を零しながらポツリポツリと話し始める






『言われた通り捜し始めて…そうだね、軽く一週間が経った時かな。視るのも大変でね、息詰まっていたんだよね正直な話。…でも、その時』













『あら?こんな世界に面白い能力を持っている子がいるなんてね』







いきなり言葉が、頭の中に響いた

不思議で艶がある、女性の声だった


クスクスと笑う声は確実に自分の中に響いていた。回りには誰もいなくって、ポケモンのテレパシーでもない様な、そんな不思議な感覚







『貴方に力を貸してあげる』







勝手に身体が動いた


勝手に力が発動した



鮮明に視える、様々な景色



そして視えた、曖昧な存在







――まるで操られている様に、自分が動かされる感覚










『――…‥そこに行かせなさい。そうすれば、全ての鍵が見つかるわ』



「おまえ、は…!?」



『全ては、あの子の為よ』









プツン――…‥














『あの人が何者かは、今でも分からない。むしろアレが夢だと思ってしまうくらいだよ。――でもお蔭で、視ることが出来た』






"アレ"が無ければ


今、こうして連絡は入れられなかっただろう









「人間は限界に達した時、悟りを開くと聞いた事があるが…まさか、それか?」

「…おいおい、マジかよ」

『ははっ、でもそれこそレンが言う「結果オーライ」、だよ』







あれが現実か、夢か



それはもう…気にしない









『けど僕は、あの人が最後に言った言葉が気になるんだけどね…』








哀しそうに呟かれた言葉







辛そうにも聞こえたその言葉の相手は、誰?














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