『やぁ、久し振りだねレン。元気そうでなによりだよ』

「久々だな、マツバ」






場所は変わって此処はフスベシティのポケモンセンター


その中にある映像付公衆電話






『…でもそっちから電話かけてきたのにその顔はないんじゃないかい?』

「うるせぇ、気にすんな」






映像に映っているのは、エンジュシティのジムリーダーでお馴染みなマツバ。金髪にヘアバンドをキメた彼は、丁度修業を終えたばかりで普段の服ではなく着流しを着ていた。紺色の服が金髪にマッチしている。隣りにふよふよ浮かぶのはムウマとゴースで、彼らはふよふよ浮かびながらニヤニヤと笑っている


対してマツバが映る映像の前に座るのは、電話を掛けた張本人であるレン。…表情は嫌そうな、いつでも舌打ちが出そうな顔をしている。仕方無く、と電話を掛けたみたいでレンのオブラートに一切包む事ない表情を見てマツバは苦笑を漏らす

レンの隣り、壁に背を預け腕を組み映像を見るのはゴウキ。姿は見えないがゴウキの隣りには刹那もいる。映像の中からゴウキの姿が見えたらしく、マツバは興味津々とレンにゴウキの紹介を目線で訴える。レンは苦笑を漏らすとゴウキに視線を向け、映像の近くに来る様に促した

壁から背を話し、近くに寄って来たゴウキにレンは親指を立てて紹介をする






「コイツはゴウキ、俺が餓鬼の頃に知り合った奴だ。ゴウキ、知っていると思うがコイツはマツバ。エンジュジムリーダーを勤めている」

『…!なるほど、あの【鉄壁の剛腕】の異名を持つ凄腕トレーナーじゃないか!噂はかねがね聞いているよ。会えて光栄だよ、僕はマツバ。よろしく。…にしてもレン、君は凄い人とも行動してんだね』

「訳有りだ。訳有り」

「俺も噂には聞いている。エンジュシティジムリーダーでありながら千里眼の修業者と耳にしている。こちらこそ会えて光栄だ。宜しく頼む」






【鉄壁の剛腕】はシンオウ地方ではかなり有名で凄腕トレーナーとしても名高い。そんな彼が一か月位前にミリが出たトーナメントに出た事はカントー地方及びジョウト地方にまで衝撃を与えた

そのトーナメントでミリの存在を知ったマツバなら、ゴウキの事も知らない訳じゃない。「トーナメントのバトル、見させて貰った。噂通り良いバトルだった」とマツバが言えばゴウキは小さく頭を下げた

顔を上げたゴウキはフッと笑いレンに言葉を掛けた






「なるほどな、お前がマツバに連絡を入れた理由…そういう事だったのか」

「あぁ、まあな」





あんま使いたくなかったんだがな、とレンは一人呟く。借りやら貸しやらを作りたくないのか、又はこの話に関わらせたくなかったのか、どっちか

仕切り直しだとレンは早速本題に入ろうとしたが、マツバに制止をかけられる







『紹介はもう一人いるだろ?』

「何の事だ?」

『ゴウキさんの隣りにいる彼…いや、ポケモンかな?珍しい能力を持っているみたいだね。けどゴーストタイプではなさそうだ』

「チッ。…刹那」






千里眼の能力は、ゴウキの気を視る能力同様に質が悪い

これ以上あーだこーだて言っても埒が明かない事は明白。レンは舌打ちをかまし、そこには誰もいないはずの存在に声を掛ける


丁度回りには人は居なかった

ゆっくりと、刹那は姿を露にさせる





マツバは目を張った








『君は…なるほど、やっぱりミュウツーか。名前は刹那って言ったね。よろしくね』

「…いや、待てマツバ。やっぱりって…お前どっかで、」

『あぁ、視えていたよ。緑色のミュウツー…そうだね、視たのは数週間前かな?ほら、エンジュ近くにすっごい竜巻が起きただろ?ミナキは「スイクンがいる!」って騒ぎ立てていたけど、結局回りが氷だらけで何も無かったんだけど…君達何か知ってるかい?』

「…いや、」

「《…………》」

『その後気になったから、まぁジムリーダーとしての業務も事もあって視てみたら緑色のミュウツー、刹那が視えたんだ。…まさかその刹那と会えたなんて思わなかったな。どうしてまた…誰かの手持ちになったのか?もしかしてあの戦いは君達が?…いやぁ、まさかね。君達がそんな自然破壊に近い騒動なんか起こす訳ないもんね』

「「《………………》」」

『目撃者もいないみたいだからね。レン、情報屋の君なら何か分かるかい?』

「…いや、最近忙しい事ばかりだったからな…最近は情報収集をしていない。悪かったな」

『いや、僕の方も悪かったよ。あぁ、それでなんだっけ?…………あ、ゲンガー駄目じゃないか、門下生の子を苛めるなんて!あ、逃げた!』









引きつった笑みしか出なかった





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