ちょっと昔の黒歴史を思い出して少しナイーヴ状態な私を二人は引きずりながら夕飯へと食堂に移動する

時間帯が時間帯だからか、あまり人は少ない。すぐに席が取れたのでレンは引きずっていた私を席に残し、ゴウキさんと一緒にご飯を取りに行ってくれた。申し訳ない気持ちになりながら、そこは遠慮無しに運ばれてくるご飯を待った





「ふふふふふ…どう考えてもアレは過酷な修行だよね…ふふ、ふふふふふふふ…」





いやぁ、アレはヤバかった

一本のサバイバルナイフだけでサバイバルする以上に、ヤバい


いや、マジで





……はぁ…(チーン






「(そういえば過酷な修行に私をほっぽりだした張本人は、一体何してんだか…)」






他の人には見えない、胸元にある水晶に触れる

反応は無い

…と考えると、別の異世界の管理にでも明け暮れているのかもしれない(あー見えて忙しい人だから






「……………ふぅ」






ナイーヴ状態の気持ちを振り払い、私は気持ちを新たにする。うん、そんな過酷過ぎる修行を終えたからこその私がいるからね、あの修行じゃなかったら野たれ死んでいたに違いないアハハハハハ☆←


机に肘を置いて、二人がご飯を取りに行った方向を見る。二人の姿はすぐに見つかった。二人が並んだ姿は後ろ姿であってもオーラでかなり目立っている。(てか二人共髪の毛長いな←違)…二人共イケメンだから、ほら、回りの女の子のトレーナーがキャーキャー言っているぞこのイケメンめ(待て

しっかし…考えてみれば私すっごい人と一緒に行動しているって事だよね…?

…か、彼らのファンに叩かれる…!←






「さて、」






視線を戻し、私は自分の手の平を見る

キュッと握り開けばそこに現れたのは一つのボール。白でも黒でも水色でも赤色でもない、ただのモンスターボール。

私はボールの中にいる"存在"に、フフッと笑った






「ゴメンね、あの場所でも回復出来たんだけど…流石に二人の前では安易に使えないから、こうするしか方法は無かった」






カタカタ、と手の中で揺れるそれは私の言葉に素直に反応している証拠






「私は……言うよ」






ナズナさんの事


ナズナさんの、容態を


摩訶不思議な、存在を








「レンは自分で決めた。私は彼が決めた事に口を出さない。…記憶を消すのも、ありだけど…それは避けたい。彼が絶望するなら、私が彼を守るだけの事」






まぁ、後が怖いだけなんだけど←








カチッ、と開閉ボタンを押す


ポン!と手の平のボールが開かれ、色違い特有な緑色の光が現れる。光は空に向かい、通路側の床に落ちる

形を取った光は徐々に"存在"を 露にするが…光がパァアッと放たれた時、何故かいる筈だった存在が――いない


けど気配で、何処にいるかは検討がついていた







「優しい貴方の努力を無に帰してしまうのは重々承知。…色々と、これから迷惑をかける――刹那」

《あぁ、よろしく頼む》







緊急の関係で、一時であるけどボールの中に入ってもらった刹那

イコール、私の手持ちになる

彼は拒む所か(現状が現状であれ)、私の手持ちになる事を受け入れてくれた。優しい刹那、その方法がナズナさんを導く手短な方法だと思ったんだろう。…理由は定かではない

彼は、もしかしたらレンを絶望にならなない為にも私達と一緒に行動する事を決めたのかもしれない






《主》

「…ん?主?」

《蒼華がお前に言っている呼び方だ。手持ちになった以上、聖燐の舞姫と呼び続けるのもどうかと思ってな》

「確かに聖燐の舞姫だとかたっくるしい所があるよね。しかも呼び名、長いし。…フフッ、貴方が呼びやすい方法で構わないよ」

《あぁ》






存在が見えなくても、気配で刹那が小さく笑ったのが分かる

私も小さく笑い、刹那から視線を外す。丁度良いタイミングで私の分も持って来てくれたレンとゴウキさんがやって来たので、私はお礼を言いながら二人を迎入れた






「ほら、夕飯だ。…残念だったな、美味しいチーズが今回無かったぜ?ミリ」

「あらー、それは残念ですねーレンちゃーん」

「ははっ、コイツ(でこピン」

「あたっ」

「ほう、聖燐の舞姫はチーズが苦手なのか?」

「あぁ、あんな旨いもん苦手とかどうかしてるぜ」

「なによー、苦手なものは苦手なんだからしょうがないでしょー!…時にゴウキさん」

「何だ?」

「聖燐の舞姫って呼び方、言い辛くありませんか?気軽にミリで結構ですよ?」






ピシッと、空気が固まった














しばらく口論が続いた(何故か





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