「俺は考える。推測でしかないが、ナズナはそこにいるミュウツーを造り、聖燐の舞姫の鍵を導く光になってもらう為に。カントーにいるふたごじまにいるカツラはナズナの錠前役だ、ミュウツーはカツラと聖燐の舞姫を繋ぐ役目を持っている。…違うか?」






ミリは目を張ってゴウキを見る。刹那の頭の上に乗っている時杜も驚き目をパチクリさせてゴウキを見る。蒼華は黙ってゴウキを見て、刹那も動じずにゴウキを見る

推測は当たっていた。一体どの要素から此所までその考えが巡れるのか

その事に驚きを隠せないでいるミリだったが、すぐに正気を取り戻しゴウキを見つめ返す






「そこまで分かっているなら、私は何も言わない。…なら、こちらも一つ質問を。私と旅がしたい、とレンから話は伺っていました。…カツラさんの事を知って、しかも錠前役や鍵役と分かっている。…貴方も、関係者ですか?」

「…この事は、白皇とお前が揃ってから言うつもりでいたが…仕方無い





俺は、ナズナと兄弟にあたる」

「…!」






今度は流石にそこまで驚く事は無かったが、逆にミリを納得させた

――その相手を鋭く見抜く銀灰色の瞳は、写真で見たナズナと同じだったから






「しかし、異母兄弟だがな」






付け加えられた言葉に、それこそミリは納得した

ゴウキとナズナはハッキリ言って、兄弟と言われても分からない程、似ていない。ゴウキはがっしりした体型なら、ナズナはスラリとした長身な体型だ。髪の色も黒と茶色だと、それこそ全然似ても似つかない

流石のミリもこれには全然気付けなかった






「そこにいるミュウツーはどうやら俺の事には気付いていたらしい。…ナズナから、俺の事を聞いていたんだろう」

《世間は狭い、とはまさにこの事だな。お前の事はしばし奴から聞いていたが…まさか聖燐の舞姫とお前が顔見知りだった事には流石に驚いた。白銀の麗皇と同じ位に》

「だから貴方は…」

「そうだ。お前の元にいれば、行方不明のナズナの事が分かるかもしれない」






仮にも兄弟、されど兄弟

言葉にしなくても、瞳を見ればすぐに分かる

ミリは真っ直ぐに見るゴウキを見つめ返す。お互いに反らされる事がない瞳。しばらく沈黙が続いた






「刹那、」

《何だ?》

「彼は…鉄壁の剛腕、ゴウキさんは大丈夫?」

《特別その様な話は聞いていない》






裏を返せば、この事件に加わっても良いという事になる。加わるのも、退くのも、それはゴウキ自身

しばらくミリはゴウキを見つめ、それから視線を伏せる。刹那は時杜を頭から落ちない様に支えながらゴウキの元からゆっくりと離れていく。蒼華もしばらくゴウキを見つめた後、視線を外しミリの隣りへ降り立った

擦り寄って来た蒼華を撫でる。クスリと笑って、ゴウキに向かって口を開いた






「…私は、貴方の意思を尊重します。来るのも来ないのも、貴方の意思」

「なら、俺は行くまでだ」

「そう、それなら私は何も言わない」






蒼華の背に乗り、蒼華はジャンプする

軽々と駈けるその姿は相変わらず優雅。風が舞い、蒼華は刹那の隣りへ着地する。ミリは蒼華の背中から降りて、ゴウキの前に立つ

スッと、ゴウキの前に手を差し出した






「一体何が起きるか分からない事件です。…よろしくお願いします、ゴウキさん」

「あぁ、よろしく頼む――聖燐の舞姫」






差し出した手を、ゴウキの手が包み、しっかりと握手を交わす

ミリは微笑み、ゴウキはフッと笑う。刹那と時杜と蒼華は二人の姿をしばし見て、小さく頷いた

















「トゲキッス、あの雰囲気ムカつくからぶち壊してこい。はどうだん!」

「「!!?」」







何かがきなすった!





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