「フッ、まず最初にアイツをギッタンギッタンにやっつけてとびっきり痛いでこピン食らわせてそれから詳しい話を吐かせた後何処にも逃げねー様に捕獲してそれからゆっくりと……ククッ、あー楽しみだ(ニヤリ」

「…色んな意味で変わったな、白皇」

「俺を差し置いて敵になるなんざ…ミリ、待ってろよ。何がともあれ後悔させてやるぜ…!(ブラックオーラ発動」

「………(溜息」







「…わー、なんだろ、すっごく今嫌な予感がした気がするよー(汗だらだらだらだらだらだらだ」




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――――――
―――











《まさかレンさんが白銀の麗皇だとは思いませんでした…。正直びっくりです》

《私は知らずに行動しているお前達にびっくりだ》

《考えてみればレンさんは白銀の髪、麗皇と言われればしっくりくるし(白亜様を見れば一目瞭然)…これは一本やられましたね》






ゴウキの提案により、バトルに適した岩山に移動した私達

いつでも戦える様にスタンバイOKな状態で私達はいた。私の隣りには悠々と立つ刹那と優雅に佇む蒼華がいて、今回のバトルはもちろんこの二匹。私の肩に座る時杜は蒼華の通訳も兼ねてボールから出てもらっている(とゆーか出たかったらしい)。時杜は久々の再会で嬉しいらしく、会話の内容はともあれ刹那と楽しく会話をしている

そんな私は二匹の会話を聞きながら空を見上げていた






「………」






脳裏に浮かぶのはもちろんレン

先程別れる時に見たレンの表情が、頭から離れない






「…」

「蒼華…私、これで良かったのかな…」

「…」






今時杜は刹那と話している為、蒼華の言葉は分からない。でも通訳しなくても何を言っているのかは想像出来た。黙って私に擦り寄って来た蒼華の頬を撫でた






「全てを知りたくば覚悟を決めなさい。絶望を跳ね返す屈強の覚悟を、全てを受け入れる覚悟を。私達は、貴方達を阻む壁となる






 ―――私を倒せ、レン」






正直、私は分からなかった

こんな方法じゃなくても良かった気もした。方法はいくらでもあったのに、敢えて私はこの方法を取った

レンが少なからず傷付いてしまう方法を






「お前はまた、俺の前から居なくなっちまうのか…?」






…私に問い掛けてきた、あの言葉と表情が離れない

また、私は同じ事を繰り返す










「…」
《気を病むな。あんな事で奴は主人の元からは離れない》

《そうですよ。ミリ様依存症なレンさんには逆に難しいですよ》

「ははっ、依存症かぁ…」






確かに最近のレンの行動は依存症そのもの。それにしても凄い言われようだ。それだけレンの行動はポケモン達に嫌でも目についていた事になる(まぁ…色々それに近い事はあった様な無かった様な←)蒼華と(刹那の会話を終わらせ会話に混じってきた)時杜の言葉に私は苦笑を漏らした






「(依存症は、私もそうなんだけどね…)」






多分、そう

私も人の事が言えないと思う


いつからだろう、温もりが無いととても寂しい気持ちになってしまうのは。白銀が、声色が、紅い瞳が、とても愛しいと感じてしまうのか

…まるで昔からあった様な、妙な懐かしさもあった。これが何を意味するかは、私は知らない振りを決め込む(そう、ずっと


もし私がレンの立場だったら…、そう考えると自分自身が嫌な女と思ってしまう





あぁ、私もつくづく堕ちたものだ










「……フフッ」






変わったな、私も

こんな事…今まであったかな?


もし、リランさんがいて今の私を見たらどう反応するんだろ。びっくりするかな?笑うかな?…でもリランさんの事だから一言、「良かったわ」って言ってくれそうだ

あ、リランさんと言えば無事フィンさんと式を終えたのかな?目が覚めてしばらく経ってから彼女に連絡を入れた時は確か準備中だった気が…(私の連絡をすっごく喜んでくれた)。リランさんは私の目覚めはもちろん、式はもうすぐあるって言って幸せそうに笑っていた。アレから一週間経っているから、そろそろ終わっている頃かも

…これが終わったら後で連絡を入れよう。それから聞かせてもらおう。リランさんとフィンさんの結婚式を、二人の新婚ほやほやな幸せそうな笑顔を






《?どうかしましたか?ミリ様》

「フフッ、ちょっとね。…そういえば、考えてみたら私…レンと初めてバトルするんだった」

《ほう、そうなのか?》

「…」
《初めてタッグを組んで戦った事は覚えている。…一度奴とは戦ってみたいと思っていた》

《僕もです!》







今日の空は心地がよい

風はとても穏やかで、此所から見える景色はとても綺麗だ。遠くにはアサギシティが見えて、その向こうには見渡す限りの美しい海原が広がっている

今日は、絶賛のバトル日和

















「どうやら役者は揃ったみたいだね」






後ろから現れた四つの気配

後ろを振り返ればそこにいるのはフライゴンの背に乗ったゴウキに、スイクンの背に跨がるレンの姿

二人はそれぞれ背から降りる。その内ゴウキはフライゴンをボールに戻して新たにボールを投げ付けて来る。現れたのは先程のカイリキーで、カイリキーとスイクンは前に出た。対する刹那と蒼華も静かに前に出て二匹と対峙をする


私とゴウキの漆黒の髪とレンの白銀の髪が風に靡く。私は二人を見た。二人は別れた時よりも真剣で、その裏にはバトルを楽しみにしている闘争感が見え隠れしていた。銀灰色と鮮血に近い瞳は真っ直ぐに、鋭く私に向いていた






「逃げなかったんだ?」

「フッ、逃げるとでも思ったか?だったら残念だったな」

「俺達は売られた喧嘩は買う主義だ」






不敵に笑うレンに、ニヒルに笑うゴウキ

二人の笑みを見て私も笑った。…不敵に、妖艶に

これからのバトルが、壮絶になる事を知って






「聖燐の舞姫よ、お前の言うその壁…壊させて貰うぞ。俺の名は鉄壁の剛腕、我が剛腕にして全てをなぎ払わん。…容赦は、しない」

「しっかりとその真実とやらを教えてもらうからな。…俺は白銀の麗皇、手加減無しに全てを氷結させてやろう。覚悟しろ、ミリ」

「…私の名は聖燐の舞姫、今此所で舞わせて貰おう。…全てを無に帰す、死の舞いを」








戦いが、始まった





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