「「―――!!!」」






エルレイドは二人の盾になる様に身構え、レンはミリを腕に抱き留めて、見えない何かに向かって構える






「エルレイド…分かるか?」

「…エル」

「あぁ、そうだな…




 何かが、近くにいる」






近くにいる、気配


自分達を見ている、視線





レンは抱き留めてたミリの身体を抱き上げて、いつでも行動出来る様にする。エルレイドは見えないソレの気配を探るべく集中しだす。レンも回りを気にしながら腰からまた一つのモンスターボールを取り出す

エルレイドの隣に投げ付ければ、そこにはアブソルが現れる。アブソルもエルレイドと同じ様に見えない気配を探るべく、辺りをキョロキョロと見回す






「フー」

「……姿が見えねぇ」

「エル…!」

「…なるほど、この感じる気配の正体はプレッシャーか。…特性なら、コイツの正体はポケモンか」






気配の中に、見えない圧力

それは、そのポケモンが強い証




気配が感じられるのに、ソレは姿が無かった。回りは木々で生い茂っているが、ソイツは木々の中に隠れているのではない


――自分達の、目の前にいた



エルレイドとアブソルは互いに目を合わせ、頷く






「エル」
「フー」

「…こころのめで見るまでもねぇな。エルレイド!アブソル!サイコカッター!」






エルレイドの腕から、アブソルの角から、強靱な刃が降り下ろされ、放たれる




ブゥウン――








「…エルレイドとアブソルのサイコカッターを無効化にしやがっただと…!?」







まるで見えない壁がそこにあるかの様に、二匹が放った刃は不思議な音と共に消えた

二匹のサイコカッターは強い。他のエルレイドとアブソルとは違い、威力は強い筈なのに

刃が何かにぶつかった時に光が振動し、ソレは見えない球体によって守られているのをレンは見た






「エル」

「行け、エルレイド」

「エル!」






レンの言葉に頷けば、エルレイドはその見えない何かに向かって駆け出した

手の拳が光り、腕を大きく振りかぶる――ばくれつパンチを決めようとした


――しかし、





ガキィイン!!






「エルッ!?」

「エルレイド!!」






突進し拳を振り下ろそうとする前に、エルレイドは後ろに吹っ飛び木々に背中を強打する

まるで見えない刃に斬られた様に、衝撃はエルレイドの身体を斜めに与えた。木々に強打したエルレイドは地面にズルズルと落ちていく。かなり威力を受けてしまった様で立つのがやっとらしい。レンはすぐにボールを向けてエルレイドを戻す

それからまた腰からボールを取り出した






「アブソル、お前はミリを安全な場所に移動させてくれ」

「フー」

「俺はコイツを片付ける。…スイクン!」






ボールを投げ付ければ、そこに現れるのはスイクン

咆哮を上げ、見えない敵に構えるスイクン。アブソルは後退し、レンに駆け寄り背中にミリを乗せる。小さく身動ぎするミリにレンは「後で会おうな」と頭を撫でる


行け、とレンが呟けばアブソルは頷き、軽々とした身のこなしで木々の中に駈けて行った






「……何もしてこねぇなんざ、敵さんは随分とお優しい奴なんだな」






アブソルが見えなくなり、気配も感じられないのを見て、レンは見えない敵に視線を移す

相変わらず敵はずっと自分達の目の前にいた。スイクンのプレッシャーと敵の見えないプレッシャーがぶつかりあう。スイクンは相手を威嚇し、レンも臨時体制を取る






「俺達に何の用だか知らねーが、バトルなら容赦はしないぜ?…それにいい加減、姿を現わしたらどうなんだ」






挑発を言いながら不敵な笑みは忘れない

とにかくこの敵をさっさと片付けて先に行ったアブソルと再会しなければ。そもそもこの敵は何の目的で自分達の前に現れたのか――



一向に動こうとしない相手に、ならこちらから仕掛けるぞとスイクンに命令しようとした時、頭の中に声がした






《私はお前達と戦うつもりはない》






声と共に目の前にゆらゆらと姿を現わすソレ

レンは頭に聞こえてきた声にテレパシーか、と冷静に考えていたが……完璧に姿を現わしたソレに、驚きと驚愕の色を浮かべた






「…ッ、お前は……!?」













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