「レンー!早くバトルするよー!手始めにこの自然公園にいるトレーナーを片っ端からぶっ飛ばすよ!!」

「「ブイブイ!!」」

「今までずっとバトル禁止されていたからね!…その鬱憤晴らしじゃあああああ!おらおらおらおらぁあああ!トレーナー狩りだぁあああ!推して参るぅううう!!」

「「ブイィィイイイ!!」」






ドカーン!!






「…別の事には根に持つんだな…」





―――――――
―――――
―――











「レン、ごめん…少しだけ、また休憩しても良いかな…?」





コガネ近くの自然公園からエンジュに入り、少し休憩してアサギに向かう最中だった

かれこれ早朝から三時間は軽く越えていた。お日様は完璧に真上にあり、日光が燦々と照らす。回りには活発に動き回っているポケモンにトレーナーの姿が結構あった


小さく肩で息をする私に、レンは心配そうに私の身体を支えた






「…やっぱりまだ本調子じゃ無かったんだな」

「そう、みたい…」






ずっと療養で寝ていたりしていたから(目覚めなかった時も含めて)体力は勿論落ちる訳で、日光が照らされ私の体力を消耗させていく。…力の関係上、完全に弱くなった身体に鞭を入れても、身体は早く休みたいと訴えている

…今まで蒼華の背に乗っていたから気付かなかったけど、旅ってこんなに疲れるものなんだね(いやいや元病人!






「悪かった、もう少しエンジュで休んどけば良かったな」

「エンジュシティの時までは平気だったけど…お日様の日光が、ちょっと…。大丈夫、少し休んだら復活出来るよ」

「無理をするな。…とりあえず、そこの木陰に休むぞ」






エンジュからアサギまでのこの道は、人は沢山いてもあまり人の手によって作られていない。それが幸いだったか、回りには自然が沢山残っている

良い木陰場所を見つけたみたいで、レンは軽々と私を抱き上げるとその場所に早々と向かう(もう慣れた)。人の目につかない様に木の後ろに回り、私を座らせる。頭を押さえる私の隣りに座り、バックからペットボトルを取り出して私に差し出した






「ほら、これでも飲め。少しは楽になるぜ」

「いやんもしやこれって間接キス?いやー恥ずかしいよ〜」

「フッ、口移しがご志望か」

「無駄に笑顔が素敵なレンさん飲み物ありがとう御座います」






レンの御好意を有り難く受け取って(舌打ちが聞こえたけど気にしない方向で)、ペットボトルってかスポーツ飲料を口に含ませる

…つーか口移しって、既に平然とキスしてくる時点で今更な気がするんだけ(ry!!

少し口に含ませて、咽頭に通らせる。嚥下反射でごくりと鳴らし、しばらく味を堪能してから礼を言い、ペットボトルを返す

ペットボトルを受け取ったレンが私の肩を抱き寄せる。簡単に私はレンに寄り掛かった






「楽だろ?そっちの具合が良くなるまで、しばらくこうしとけ。少しばかり昼寝でもしてくれても構わねーぜ」

「ありがとう…。はぁ、まさか此所でレンの迷惑にかかるなんて…」

「馬鹿、何でお前はそういう思考に走るんだ。これくらい迷惑にもなんねーよ。むしろ頼ってもらわねぇとこっちが困る。……とにかく今は休め。寝れなかったらハピナスに頼ませる」

「強制ですか」






相変わらず逞しい身体はとても居心地良い。私を支える手も温かくて、木陰の涼しい風に抱かれれば、疲れた身体はすぐに眠気を欲する

レンの肩に頭を乗せて、瞳を閉じる






「…なんでだろうね」

「ん?」

「人前では隙を見せる様な事なんてしなかったのに、どうしてレンの前だと安心出来るんだろ…」






この安心を、私は知っている


この温もりを、私は知っている




……どうして?

(ずっと、気になっていた)









「それに、何で…懐かしいと、感じるんだろ…」







私には分からない


記憶に映る男の人も、レンも


どうして酷似しているかなんて






「…俺も、同じだ」






睡魔が、くる



レンの声色が、眠気を誘う







「何だかな。何故かお前といると懐かしい感じがするんだよな。そのせいかお前の事、色々気になるんだ。なぁ、俺達どっかで会った事、あるか?」











そこで、途切れる私の意識






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